AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

坐骨神経痛における下腿部治療点の検討 その2

2011-08-03 | 腰下肢症状

5.長腓骨筋への刺針--陽陵泉
総腓骨神経は膝窩尺側に下降(浮ゲキ・委陽)し、腓骨頭直下(陽陵泉)に回る。次に長腓骨筋を貫いた後、すぐに浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれる。腓骨頭前下際で、この長腓骨筋部に陽陵泉をとる。陽陵泉刺針では総腓骨神経を刺激できるが、やや下方に陽陵泉をとるのであれば浅腓骨神経刺激になる。
陽陵泉刺針を長腓骨筋TPsに対する刺針と捉えることもでき、こちらの方が本命かもしれない。

6.短腓骨筋への刺針--懸鍾
外果の上方3寸で長・短腓骨筋前縁に懸鍾(=絶骨)をとる。長短腓骨筋のすぐ前には長指筋があり、これらの筋溝には浅腓骨神経が走行している。浅腓骨神経痛時には、陽陵泉とともに懸鍾に圧痛が好発するが、これは短腓骨筋のTPsと一致した位置になる。

7.丘墟
外果の前下方の陥凹部に丘墟をとることになるが、正確な位置は明瞭ではない。しかし丘墟の「墟」という漢字は、くぼみのことなので、すなわち丘墟とは丘のくぼみの意味をすることから、筆者は、距骨と踵骨の間にある足根洞部に取穴している。この部に筋構造はないが、骨間距踵靱帯がある。
古東整形外科・内科のHPによれば、水色で示した部分に神経終末が集合しており、
「足の目」ともいわれるぐらい、地面から足に伝わる微妙な感覚をキャッチし、脳に伝えているということである。一般的には陳久性の足関節捻挫で痛みを生じやすい部である。
ただしその直下には浅腓骨神経が走行しているためか、浅腓骨神経痛時には圧痛が出現しやすい。

8.前脛骨筋への刺針 足三里~下巨虚
下腿前面の前脛骨筋上には胃経の、足三里・上巨虚・条口・豊隆・下巨虚といったツボが並んでいる。前脛骨筋は深腓骨神経が運動支配支配するが、深腓骨神経が前脛骨筋中に送る分枝は多数あって、上記経穴はどれもモーターポイントとして作用している。鍼灸臨床にあたっては、上記経穴を順に調べ、最大圧痛硬結点に刺針するようにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿