現代針灸治療

針灸師と鍼灸ファンの医師に、現代医学的知見に基づいた鍼灸治療の方法を説明する。
(背景写真は、国立市「大学通り」です)

モートン病による足指間の痛みに床のキズ防止パッドが有効だった例

2019-12-06 | 下肢症状

1.病歴

自経例(66才、男性)。 1ヶ月ほど前から30分ほど歩いている途中から左第2~第4指のMTP関節(=足指指節関節)が痛むようになった。右足は痛むまない。足の横アーチが失われた感じがした。買い物などの短距離歩行では異常なし。 治療として、土踏まず部に足底パッドを貼っても効果なく、中足骨前方にインソールを入れても効果がなかった。 1週間ほど前から、わずかな歩行でも左第2~第3指中足指節間が痛み、ビリッビリッと足指先に放散痛が出現。すなわちモートン病出現。 通常歩行や階段を下りる際の、左中足指節関節を背屈する動作で痛みは増悪した。このままでは数分の歩行さえできず、困った状態。

 

2.足底圧痛点への免荷パッド 

 

歩くと痛いので困り、奮起の会の指導にあたっている小野寺先生に聞いてみると、免荷パッドを使ってみたらどうかとのアドバイスを頂戴した。以前、百均で購入したフェルトのような感触の床キズ防止パッド(直径2㎝、厚さ5㎜、フェルト様)が自宅に残っていたので、圧痛点に貼ってみた。これは失敗でかえって症状増悪した。そこで圧痛点をはさむように第2、第3MTP関節(=中足指節関節)の2点にこのパッドを貼って、日常的な動作を行なうと、足底にパッドの異物感はあるが、痛みが減っているのを自覚できた。なお就寝前にパッドを剥がしたが、翌朝になって階段を下りてみると、痛みが完全消失したのを発見できた。  貼る場所は、坐位で踵を上げた姿勢をとると、中指-指節関節が背屈されるが、その屈曲部を選ぶ。痛む部を1㎝離してその両側に貼る。貼った後、ビリビリ感がまだ残っているようなら、跪座姿勢になってパッドの位置を少々ずらして調整し、歩行できる位置を見つける。

モートン病だからといって必ずしも神経腫ができている訳ではない。神経腫ができていない状態まであれば、フェルト様パッドで十分な効果が得られそうだ。

2.下腿三頭筋の運動針法  

以前から足底筋は下腿三頭筋の緊張と関係深いとみなしていたので、まずが下腿後側をいろいろ押圧して圧痛点を調べると、承筋・築賓あたりに強い圧痛硬結を発見した。ここに鍼するのだが、単に刺しても効果乏しいことは経験済み。自重をつかった安定姿勢下で行う運動針はどうしたらよいかを考え、椅坐位にして下腿後側反応点に浅く刺針し、踵上げと爪先上げの自動運動を行わせるという方法。ただし自分自身で行うには体制的に難しく、とりあえず円皮針を使ったが効果がなかった。とはいえ局所への鍼灸を行っても、ただ刺激痛がきついだけで、よくなりそうな気もしなかった。

 

 

 


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