1.ドレスの色の錯覚
2015年頃、「写真のドレスの色は何色か?」ということで世間を大いに賑わせた。問題となった写真を見ると、私には黄色+白色に見え、それ以外に見えようがなかった。しかし人によっては青色+黒色にも見え、実物のドレスの色も青色+黒色だという。
この謎現象について、非常に理解しやすい絵を発見したので、転載した。
上段の2枚の絵は、左の女の子が青+黒の服を着ていて、右の子は黄+白の服を着ているかに見える。しかし左図の黒色部分と右図の黄色部分は、実は同色である。四角で囲んだ色はどれも同じなのである。
下段の2枚の絵は、上段の図を反転させたものである。つまり補色になっている。青色の補色は黄色、赤色の補色は緑色といった具合に。上の絵で上段のドレスの青色が下段では黄色に変化しているのがわかる。上段の黒色は下段では灰色となるが、背景が濃い灰色なので相対的に白色と認識されるようだ。
2.静脈色の錯覚
これだけの話ならば、改めて本ブログで取り上げるような話ではない。ところがである。
昔から医学書では静脈が青色で示されているのが常識だったが、青く見える静脈は実は灰色だったということが判明してきた。人間の静脈は肌の色との対比による目の錯覚で青く見えているのであって、静脈の画像を物理的に確認しても、静脈の色は青ではなくむしろ灰色に近いという。(立命館大学文学部の北岡明佳教授による)
3.「ドレス色の錯覚」の後日談(令和6年5月14日ニュース)
ドレスの色云々は、単純に面白いトピックだったので世界的なニュースとなった。
このドレスは、スコットランドに住むジョンストン夫妻の結婚式の際に使用するため、娘の母が贈ったものだった(それにしてはカジュアルすぎるが)。その後、夫婦になって11年間、この新郎は家庭内暴力を行い、殺人未遂の疑いで起訴されたことで、「ああ、あの人が・・・」ということになった。つまらないことで二度目のニュースとなってしまった。