AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

起床時に生ずる腰痛の病態生理と治療

2014-03-24 | 腰背痛

※胡子修二様へ:当ブログのコメント欄に病気相談をされても、アドレス不明なのでお返事を差し上げることができません。ご質問は、当治療院である「あんご針灸院」にお願い致します。

 

私は週1回、東洋鍼灸専門学校の非常勤教員をしていて、それも無事に一年が過ぎた。先日卒業謝恩会があり、いっぱいお酒を飲み、愉快な時間を過ごすことができた。

まあ、そこまではよいのだが、その翌朝ベッドから起き上がろうとして腰痛出現していることに気がついた。こうした腰痛は過去にも何回か経験していた。自分で針すれば良いのだが、何となくめんどくさいので放置し、現在3日目でまだ痛む。

この起床時に生ずる腰痛については定説があるが、ネット検索しても、あまり記載がない様子なのでここで説明する。

1.症状

寝ている時は何でもないのに、寝床から上半身を起こす動作で、急に腰痛を自覚する場合がある。重症では継続して痛むが、軽症の場合では昼頃になると自然と腰痛消失し、夜は再び柔らか過ぎるマットレスに寝るので、翌朝は同じような腰痛が再び出現する。 

2.原因

不良な就寝姿勢とくに軟らかすぎるマットレスにより殿が深く沈むことで腰痛前彎の増強→多裂筋 緊張増強となっている状態である。軟らかすぎるマットは元々寝返りしづらいが、とくに深酒した後などでは睡眠が深くなりすぎるので、寝返りも困難になる。この状態は、仰臥位で腰部に手を差し入れるようにすると腰が浮き上がっていることで確認できる。

3.治療
仰臥位で、両手で膝を抱えるようにして、背中を丸めるような姿勢をすると多裂筋伸張体操となる(=ウィリアムズ体操)。
無論、L5附近からの背部一行刺針や多裂筋への運動針をするのが最も手っ取り早い。

昔私が病院勤務だった頃、腰痛で入院した患者には、つぶしたダンボールをマットレスとシーツの間に入れていたことを思い出した。

※今回の腰痛は、発症3日後から、厚いマットレスから薄いマットレスに取り替えた。その後、徐々に痛みは和らぎ、発症後7日で自然治癒した。