AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

和田清吉の頭髪際針法-山元式新頭針との比較

2012-05-25 | 経穴の意味

山元敏勝氏の新頭針(YNSA)の関連資料を調べていると和田清吉著「新しい針灸臨床入門 」S52.3.1(自費出版)の中に、「頭髪際針法」を発見した。この本は私が30年以上前に購入した本で、いずれ読むだろうと考えてたものであった。山元式も創生期の基本点誕生期の頃は、頭髪際針と呼ばれたこともあるくらいで、両者間に共通点が見いだされる。
両氏の共通点は、始めに焦氏「頭針法」を追試することがらスタートしたが、満足すべき効果が出ないことが、独自の頭皮チャートを生み出す原点となったことである。焦氏の頭針法は、ブロードマンの脳地図を頭皮に投影させたものを理論的根拠としているが、鍼灸治療としては、この刺激ポイントでは不完全であることを示唆している。

 

1.「頭髪際鍼法」の概要
和田清吉氏が「頭皮鍼法」(=焦氏頭鍼法)を追試する中で、頭髪際縁に沿う、一定部位を触診し、一定の方向に横刺し刺激を与えてやると、それぞれの刺針部位が身体の一定の疾患(とくに痛み、しびれ、麻痺、関節障害、分泌異常、血管痙攣など、急性・慢性の疾患)に効果が多く、また中枢性、末梢性ともに効果があることを認めた。

1)主に前髪際から額角および側頭髪際に刺針する

2)上前部から型・背・上肢区・腰腿区・下肢区と区分ブロードマンの脳地図ではなく、經筋的考え方をする。
3)和針3~5番。上行性に刺針(斜刺15°)雀啄。捻鍼しながら機能訓練を加える。

 

 

 

2.和田と山元式の共通点と相違点

類似点:和田と山元の頭針のチャートを比較すると、細かい部分での違いは多いが、前正中線の前髪際から左右に離れるにつれ、対応する脊椎の高さも低位になり、前髪際中央部は頸項に対応し、耳介前髪は腰腿に対応している。

相違点:山元式の基本点は、前髪際~側頭髪際~耳介前髪際と並んでいて、例外的に眉の内端から上方中央にかて胸椎を対応させている。これに対し、和田は、髪際を内臓反応点とし、額中央の高さの横並び線~前頭髪際に体壁組織(骨、筋など)を対応させている。

和田と山元が個別に調べた結果であるとすれば、類似性は高いというべきだろう。