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GWの定番イベント・上海野外フェス「2014草莓音楽節」(STRAWBERRY MUSIC FESTIVAL)に行ってきました。

2014年05月15日 | エンタメの日記
上海に住んで何年にもなるというのに、今年のゴールデンウィークに初めて野外フェスに行きました。中国では音楽野外フェスが非常に流行っています。野外ロック・ジャズフェスが本格的に増えたのは2009年頃からで、年々増加の一途をたどっています。当初は北京、上海などいわゆる都会中心に行われていたのですが、徐々に全国に広がり、現在では雲南省の観光地や杭州の西湖など土地柄を生かした野外フェスも企画されています。

たくさんの野外フェスがありますが、イベントブランドとして確立されているのは、野外フェスの草分け的存在の「迷笛音楽節/MIDI FESTIVAL」「長江国際音楽節/CHANG JIANG」、それから比較的後発ながら全国の都市にネットワークを広げている「草莓音楽節/STRAWBERRY MUSIC FESTIVAL」などです。5月のゴールデンウィーク前後は特に野外フェスが集中する時期です。中国は5月1日メーデー前後に3連休となり、ゴールデンウィークに行われる野外フェスは中国音楽イベント産業の中ですっかり定着しています。2014年は「迷笛MIDI」と「草莓 STRAWBERRY」の北京公演の日程が完全に重なり、北京ではゴールデンウィークの3日間、市内2ヶ所で大型野外フェスが行われることとなりました。

■2014年ストロベリー・ミュージック・フェスティバルは中国10都市で開催(北京、上海、武漢、アモイ、西安、深セン、広州、長沙、成都、長春)。


中国の野外フェスも海外の音楽フェスにならってエコロジーなどをテーマに掲げているものが多いですが、2014年のストロベリーのテーマは「SNS life is rubbish, get a real life!」(SNSはゴミ、リアルライフを手に入れよう)でした。

私はゴールデンウィークの中日の5月2日、「上海・草莓音楽節/STRAWBERRY MUSIC FESTIVAL」に行ってきました。
2014年「上海・草莓音楽節」は5月1日、2日、3日の3日間、上海万博会場跡地の公園で開催されました。

■ストロベリー・ミュージック・フェスティバル上海2014 期間:2014年5月1日/2日/3日(12時30分~21時30分) 場所:世博公園 チケット:180元(前売)※約2800円。


一日遊べて180元(約2800円)は中国都市部の物価からすると良心的な値段といえます。とはいえ、入場料は年々上がっています。会場内での飲食代はやや高めに設定されています。

出演は中国国内のインディーズグループが中心ですが、台湾のバンド「八三夭」(五月天 MAYDAYの兄弟バンド)、蘆廣仲(クラウド・ルー)、香港の黄耀明、そして今年の目玉として香港女優のマギー・チャンが“歌手”としてステージに登場しました。2日目の大ステージのトリはフランスのエレクトロニック・ミュージック・デュオのジャスティスでした。欧米からのアーティストも多く、4分の1くらいは海外ミュージシャンです。

■会場内地図  5つのステージを設置。野外4つ、屋内1つ。屋内ステージは2010年の上海万博の旧パビリオンを改造したもの。


■最も大きいステージ「草莓舞台 STRAWBERRY STAGE」




■旧万博パビリオンを利用したステージ「愛舞台 LOVE STAGE」


■川べりの小型ステージ「星球舞台 PLANET STAGE」


その他、DJ用のエレクトロニックステージ、学園バンドのスクール・ロック・ステージがあり、ステージは全部で5つです。

持ち時間はバンドによって異なり、最短で30分、最長で1時間半です。バンドが交代するたびにセッティングのために20分~30分の休憩が入ります。一番西側の「愛舞台」から東側の「草莓舞台」まで移動すると歩いて15分くらいかかるので、頻繁に行き来すると体力消耗するし、移動している最中にバンドの持ち時間が終わってしまうということもあります。5つのステージを効率よく回るのはかなり難しく、1つか2つに絞らざるを得ません。実際移動していると、途中で出店などに寄り道もしてしまうので、あっという間に時間が過ぎてしまいました。内容的には小型ステージの「星球舞台 PLANET STAGE」が一番面白かったです。

定着したとはいえ、この野外フェスが始まってからまだ5年くらいなので、試行錯誤の企画も多いです。その結果、中には失敗している企画もみられます。それもまた面白いです。ストロベリーは、野外フェスの中でも企業スポンサーの取り込みに成功していると言われており、会場内には協賛企業のブースも多いです。会場内ではフォルクスワーゲンが自動車試乗のスペースを設置し大音量で音楽をかけており、野外ステージでの演奏を若干妨害していましたが、気にしている人は多くなさそうでした。

全般的に言えることは、音響、照明、モニター、ステージ敷設などのレベルは想像していたよりもずっと高かったです。特に音響は、一般客の目からみると悪いと感じる点がなかったです。
会場内運営もボランティアスタッフがあちこちに立って会場内の人の流れを制御しており、遠回りになる場合もありますが、集中的な混雑は回避されていました。また、チケットは完売でしたが、会場内に人を詰めすぎということはなく、ほど良い賑わい方でした。
そして、中国インディーズ音楽の演奏レベルは想像を遥かに上回るレベルでした。今回は本当に「なんとなく」行ってみたので、どういうバンドが出演するのかほとんどまったく前知識がありませんでした。出演する中国バンドは、エレクトロニック・ロック、ポスト・ロック、サイケデリックなど細分化されています。インディーズではフォークがさかんですが、フォークは最も中国テイストが色濃く現れる音楽ジャンルです。

~~5月2日に見たバンド~~
Forget And Forgive」(中国)活動2009年~、ジャンルとしてはエモーショナル・ロック。上海出身のバンド。演奏がものすごく上手かった。曲も良くて歌も上手い、ライブパフォーマンス力があります。固定ファンもいました。CDも聴いてみましたが、ライブの方が全然良かった。
一緒に行った友達は「ONE OK ROCK」が好きな上海人で、このバンドをいたく気に入っていました・・・「ONE OK ROCK」に似ているかも・・・。
香料」(中国)3人組のサイケ・ロック。生演奏とデジタル音源をステージ上で同時操作する手品のようなライブ。
Owlle」フランスの女性シンガー
彭坦」(パン・タン)(中国)中国独立系音楽の中でアイドル性を持つ稀有なミュージシャン。ロック、フォーク、エレクトロニックのミックス。歌唱はフォークっぽいが、楽曲はエレクトロニック色が強い。
Blue Foundation」(デンマーク)バンドだがターンテーブルを取り入れている。
Scream Maker」(ポーランド)メタルバンド。基本は英語で歌っているが、ポーランド語の楽曲もあり。ボーカルのMCが面白い。
張瑋瑋&郭龍」(中国)フォークの2人。フォークは中国インディーズ音楽の中ではさかんな音楽ジャンルだが、意識して聴かない限り、普段の生活では触れる機会がない。それなのに、会場には意外と固定ファンが多かった。
ジャスティス」(フランス)エレクトロニック・ミュージック・デュオ。FUJI ROCKなどにも出演暦あり。
2014年のストロベリーは、音楽ジャンルがエレクトロニック系に偏っていたかもしれません。中国のバンドは演奏は上手いです。曲も悪くないです。ただし、ビジュアル、トークが弱いです。これは好みの問題でもありますが、ファッション性と遊び心に欠けると感じます。

2日目のトリは大ステージのトリはフランスのエレクトロニック・ミュージック・デュオのジャスティス。欧米人の観客がものすごく多かったです。前の方を陣取っているのはほとんど欧米人でした。このジャンルの音楽にはまったく見識がないのですが、ジャスティスからは観衆を引き込むテクニックと洗練された音楽センスを感じさせられました。

最近、中国の音楽専門サイトや大手ポータルサイトの音楽カテゴリでは、中国国内のインディーズ音楽を育てようとする動きが一種の潮流となっています。中国国内のインディーズ音楽に興味がある人がものすごく多いとはいえないのですが、サイト側は力を入れたがっているようです。その中でも音楽専門サイト「蝦米 XIAMI」はインディーズ音楽のプロモーションに積極的で、ストロベリーにも企画・後援サイトとして参加していました。

■音楽サイト「蝦米 XIAMI」のブース「蝦米・凡人演奏コーナー」。弾き語りコーナーでけっこう観衆を集めている参加者もいました。


■SNSアプリ「陌陌 MOMO」が協賛。「SNS life is rubbish, get a real life!」がテーマだが、微信(Wechat)ほかSNSの協賛が多い。


中国の音楽著作権問題は依然として未解決な点、落ち着きどころが見えないところが多いです。中国インディーズ音楽、オリジナル音楽を支持し育てようとしている音楽サイト自身、著作権関係の問題が存在するという矛盾がありますが、ひとつの「過渡期」として見るほかないのでしょうか。
中国では大陸国内バンドに対する関心が低く、軽視されているといってもいいです。とにかく人々は中国以外の海外(香港・台湾を含む)の音楽を好む傾向が強いのです。そのため、バンドが育ちやすい環境とはいえません。しかしながら、ステージ機材、音響などのハード的な条件は格段に進歩しており、イベント運営・企画力も向上しています。中国バンドの年齢層が全般的に高いせいか、野外フェスの観客の年齢層も比較的高く20代がメインで10代より30代が多い様子でしたが、音楽がすごく好きというよりは、野外フェスというイベント自体を楽しみにきているようでした。川べりの万博公園というロケーション、協賛企業のキャンペーン、飲食の出店など、非常に楽しいイベントで、音楽的にも魅力的なバンドが多く、来年は事前にもっと研究してから挑もうという気持ちになりました。


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