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2013年上海国際映画祭~日本映画週間とタイ映画ウィークの開幕セレモニー

2013年07月08日 | タイドラマ
6月15日から6月23日まで上海国際映画祭が開催されました。1週間あまりの開催期間中に、約25ヶ国約360作品が上海市内の映画館で上演されたほか、多くの映画関係者が上海を訪れました。中華圏からだけではなく、スーパーマン新作映画「マン・オブ・スティール」のザック・スナイダー監督、主演のヘンリー・カヴィルなどもイベントに参加し話題を呼びました。

上海映画祭では日本映画も多数上映され、6月16日(日)午後2時から「日本映画週間」開幕式が上海影城で行われました。開幕式には日本からのゲスト(映画監督:君塚良一、古澤健、川村泰祐、Claude Gagnon、雑賀俊郎、女優:余貴美子、工藤夕貴)も出席しステージで挨拶をしました。
参考(上海映画祭 日本映画週間オフィシャルサイト):http://cjiff.net/index_jp.html


上海映画祭は、約1週間の開催期間中、市内複数の映画館約10ヶ所で出品作品が上映されます。上海の映画館はショッピングモール内に入っている新しいシネコンが多いですが、歴史建築物を利用しているところもあります(中身はシネコン形式)。
■国泰電影(CATHAY CINEMA)

■衡山電影院

■大光明電影院



■上海影城(メイン会場)


今回の映画祭で特に楽しみにしていたのはタイ映画です。

6月16日の20:45からBie(Bie Sukrit Wisetkaew)というイケメン俳優主演の「愛触摸心」(英語名:The Rainbow In The Night)というミュージカル映画を観る予定になっていました。
公式スケジュールでは20:45から上映とされていたのですが、会場に行ってみると入口に人だかりができていました。警備員の背後で多くのファンが映画のポスターや電飾ボードを持って待機しており、明らかに入り待ちをしているのです。

会場に行ってみて初めて知ったのですが20:45から映画上映だけでなく、タイ映画ウィークの開幕式をやるというのです。開幕式には「愛触摸心」の主演女優Noonaが出席することになっているのですが、まだ到着していないのでファンが入り待ちをしている状態でした。関係者はなかなか到着せず、開幕式が始まったのは9時過ぎでした。

普通、夜の9時から開幕式始めるか・・・?

こんな時間しか場所が取れなかったのか、それともタイ側の事情なのかは分りませんが、日本映画週間の開幕式が日曜日の午後2時というまともな時間に行われたのと対照的でした。しかもタイ映画ウィーク開幕式の会場は映画館の中でも外れた位置にある小さな上映ホールでした。

夜遅くから開催されたタイ映画ウィークの開幕式は、小規模ながらも熱気に満ちていました。
まずはこの種のセレモニーでは必ず行われる、領事館大使の挨拶です。
タイ大使の挨拶がアツかった。
まず、「お忙しいところお集まりいただいたご来賓の皆さま、観客の皆さま、メディアの皆さま・・・」と始まるのはいいのですが、タイ領事館大使はこれに加えて、中央列に固まって座っている入り待ちをしていた女の子たちに向って、

タイ芸能ファンの皆さん、こんばんは!!

と熱意をこめて呼びかけます。

そして、原稿も手にせずにステージを自在に使って、中国語で熱弁をふるいました。
いかにタイ側がこの上海映画祭を重視しているかということに始まり、ドラマも含め、タイ芸能を中国に広めるためのこれまでの努力と成果についても語りました。

そして最後には、「ファンの皆さんの応援があってこそなのです!ファンの皆さんの応援があれば、私はタイのスターを必ず中国にもっと連れてきてみせます!!」

と、大使というよりはどこかの劇場の支配人みたいでしたが、たしかにタイ側は、タイ芸能の中国プロモーションに力を入れており、入り待ちの女の子たちが集まったように成果が表れています。
領事館の祝辞というものは、厳粛な雰囲気のもと行われるものだと思っていたので、タイ大使の熱弁には驚きました。

タイは対中国プロモーションとして、観光・グルメ・エンタメの三つを中心に掲げています。これはタイだけでなく、多くの国が採用する手法で、タイよりも早くこれを徹底して行ったのは韓国です。韓国のPRフィルムでは「イビョンホンが済州島で遊びながら韓国宮廷料理を食べている」といった、スター・グルメ・観光地を一体化した内容のものが作られています。
しかし、ペヨンジュンやソンヘギョ、Rainに相当するような、中国人に広く知られているタイのスターというものがまだ存在しません。そこで、意識的に「タイの顔になるスター」を育てようとしているのだと思います。その足場として、中国でタイドラマを放送できるように中国安徽衛視と協議を締結した経緯もあります。

また、挨拶の中で「芸能を通じてもっとタイに親しみをもってほしい、そしてタイに旅行に来てもらいたい」というメッセージを発しました。

日本領事の挨拶でも同じようなメッセージを発していますが、「映画の舞台となった風景を、実際にも見てほしいと思います」といった奥ゆかしい表現をされていました。タイ大使はもっとストレートに「多くの人にタイを訪れて、タイの食べ物、風景、そしてタイの人情を感じていただきたい!これは映画を見ているだけでは判りません!!」と訴えていました。

タイ映画ウィーク開幕式では更に特別ゲストとして「愛触摸心」の主演女優であるNoonaのインタビューが行われました。しかもインタビューだけではなく、その場でアカペラで中国語の歌をワンフレーズ披露したのです。この映画はもともとミュージカルを映画にしたもので、Noonaは歌手でもあるわけですが、あの場でいきなりアカペラで歌うのはすごいサービス精神だと思いました。フレンドリーなのはタイのお国柄なのでしょうか。集まっていたタイ芸能ファンの女の子たちはNoonaのファンというよりはBieのファンなので、Bieからのファンへのメッセージ動画も最後に放映されました。



日本領事館の挨拶とタイ領事館の挨拶を聞いていて、気になったことがあります。

日本領事館の挨拶では「映画という文化を通じて、両国の理解を深めたい」と語り、映画のことを「文化」と表現しています。
これに対してタイ領事館挨拶では「映画などの娯楽を架け橋として、タイのことをもっと知ってほしい」と語りました。内容的には同じような意味ですが、表現が異なります。日本は映画は「文化」と捉えており、タイは映画は「娯楽」と表現しています。
映画は「文化」かそれとも「娯楽」か・・・上海映画祭でタイ映画を2本観ましたが、たしかに娯楽作品でした。また、タイ領事館代表は映画だけではなく、現在中国で放送されているタイドラマのことも含めて話をしていたので「娯楽」と言ったのかもしれません。

中国では映画は「文化」というより「娯楽」として扱われています。文化を理解し合うより、娯楽をともに楽しむ方が容易く実現できると思うので、言葉の使い方の問題に過ぎないかもしれませんが、「娯楽を架け橋にして交流を深める」方が現実味があるように感じました。

今回の上映作品主演のBieにしても、タイドラマ俳優として中国で最も有名なPongにしても、インタビューなどを読む限り、彼らは中国だけではなく日本にも活動の幅を広げたいと考えているようです。中国だけをターゲットにしているわけではないけれど、日本は進出ルートが開かれておらず、参入が難しいのかもしれません。

日本でタイ芸能は流行るでしょうか?
タイドラマ(ラコーン)は次の展開が気になってしょうがない面白い作品もあります。しかし作り方に雑なところがあるので、大らかな心を持たないと受け入れられないかもしれません。タイドラマは台湾アイドルドラマと似たところがあり、女優よりも美男俳優を中心に据えた作品が多いです。タイ独特の雰囲気を持ったイケメン俳優も豊富です。
F4など台湾アイドルが好きだった、若しくは1990年代の香港スター(アンディ・ラウ、アーロン・クォックなど)が好きだった人は、タイスターに引かれる部分があるのでは。1990年代の香港スターが持っていた、アジア人なんだけど白馬の王子さま的なキラキラテイストがタイ俳優にはあります。かつての香港芸能を懐かしく思う方は、タイに目を向けてみてもいいかもしれません。

Bie Sukrit Wisetkaew(中国では通称Bie。タイのショウ・ルオ的な存在なのでは。)


Tik(Jesdaporn Pholdee)上海国際映画祭上映作品「Super Sarary Man」に出演。軍服を着るシチュエーションが多いのがタイ俳優の特徴か・・・

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (はるみとまこ)
2013-07-09 12:45:58
まさしく・・・90年代は香港と共に生きた私です(爆)
私も次はタイかな?と思ったこともあったのですが、まさかの韓国に行ってしまいました(汗)
香港芸能が大好きでしたが、ユンファはアメリカへ、レスリーやアニタは天国へ行ってしまい、新しいスターが出る事もなく韓国にとって代わられ残念で仕方ありません・・・(涙)
タイ映画もなかなか見る機会がありません。
「アタックナンバーハーフ」くらいしか記憶にありません(汗)
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はるみとまこさん (上海阿姐)
2013-07-10 00:49:57
こんにちは~
香港は本当に若い世代の芸能人がなかなかメジャーにならないですね。全然いないわけではないのですが・・・。
タイは最近勢いあると思いますよ~~ドラマとかはほんとに作りがちょっと雑ですが・・・。
最近のタイは韓国芸能の影響をかなり受けてると思います。韓国のマネというか、韓国にあやかりたいというような。
タイアイドル歌手の雰囲気は90年代香港スターに似てますよ!今見るとちょっとぎょっとしますね・・。
タイ語の歌の発音は広東語の歌の響きに少し似ています。普通に会話するときの響きは似てないですが、歌になると似てます。あと、メロディーも意外とスタンダードなバラードが多くて、そういうところも90年代香港ぽいと思います^^
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はじめまして (ぶんぶん)
2013-07-14 18:59:07
上海阿姐さま

上海メルセデスベンツアリーナの検索から
こちらにきました。
突然の訪問で失礼かとも思いましたが
お尋ねしたいことがあります。

7月20日に行われる
東方神起のコンサートに参加します。
帰りのことを考え、ホテルを会場近くの
イビス上海ワールドエキスポ
にしました。
徒歩30分となっていたので歩いて帰るつもりでしたが
チケット代行業者から送迎バスが4000円で出ています。
徒歩可能な距離なのか、バスの予約をしたほうがいいのか?
自分で調べましたがハッキリ距離が分かりません。
よろしければ、アドバイスをいただけないでしょうか?
宜しくおねがいします。
返信する
ぶんぶんさん (上海阿姐)
2013-07-15 02:29:58
こんにちは!さっそくですが、ご質問の件について、
「イビス上海ワールドエキスポ」は「上海宜必思酒店世博店(IBIS Expo Hotel)」のことでよろしいでしょうか。

このホテルですが、メルセデス・ベンツアリーナから歩くのは無理だと思います。30分では到着できないです。もしかすると30分というのは、直接距離で計算して出された数字かもしれません。ですが、実際の道路は直接距離では繋がっていないので、もっとかかると思います。地下鉄駅で換算すると3~4駅あります。

一番ラクなのは送迎を依頼することだと思います。

送迎バス以外では地下鉄とタクシーを利用するという方法があります。ホテルとは地下鉄6号線の「東明駅」が近いですが、会場からですと2回乗り換えることになります。
タクシーですが、会場は万博会場エリアにあるため会場近辺はタクシーがつかまりにくいです。20分くらいかけて大通りまで歩くと若干つかまりやすくなりますが、相当待たないと掴まえられないと思います。地下鉄8号線で「中華芸術宮」から「成山路」まで2駅移動して、「成山路」でタクシーを拾うという方法もありますが、それでも天気によってはつかまりにくい可能性があります。

個人的には、夜も遅いことですし、送迎を手配されたされた方がベターかと思います。
周辺地図をアップしましたので、以下のURLをクリックしてご確認ください。
返信する
ぶんぶんさん (上海阿姐)
2013-07-15 02:32:36
URLです。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/9b/8c53e8fa5224e98576edd3dd187ccce2.jpg
返信する
ありがとうございます (ぶんぶん)
2013-07-15 15:33:58
上海阿姐さま

詳しい説明をありがとうございます。
普段、日本では3,40分の距離なら歩くので大丈夫かな?と思いましたが外国ですものね^^;
送迎バスの予約をしました。

こうなると回りにコンビにも何もない、会場に近いと言う点のみでホテルを決めたのがアダになってしまいました><
早くにこちらのブログを知っていたらと残念です。

19日の16時頃にはチェックイン出来るので、下見を兼ねて地下鉄で会場に行ってみようと思っています。
6号線で高科西路で乗り換えですがどこ方面行きの地下鉄に乗ればよいか、7号線乗り換え○華路も同じく、何方面行きか、8号線も何方面行きに乗ればよいか?。
教えていただけると助かります。

調子に乗って、お尋ねばかりして申し訳ありません。
当方、初上海で一人行動です。
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ぶんぶんさん (上海阿姐)
2013-07-16 01:48:03
地下鉄のご質問の件ですが、こちらの全体路線図を参照されると分かると思います。
基本的に、終点が行き先になります。
http://www.shmetro.com/zbdt/overall/overall_large.jpg

中国大陸は簡体字という、日本の漢字や繁体字よりも簡略された漢字を使用していますので、地下鉄をご利用になる場合、簡体字に慣れるためにも上記の全体図を把握されておくと、よろしいかと思います。

サイトで路線・駅ごとの終電/始発時間も確認できます。
http://www.shmetro.com/node41/node46/200809/con100172.htm

地下鉄を2回乗り換えて移動する行動力がおありでしたら、コンサートが終わった後も同じルートをたどって地下鉄でホテルまで帰れるのでは・・・と思いました。でも、夜なので送迎バスの方が安全ではありますね。

なお、45分くらい歩けば到着できるかもしれませんが、会場からホテルの間はごく普通の集合住宅地区ですので、夜歩いて楽しいエリアとはいえません。(周りに集合アパートしかないブロックが続きます)
返信する
重ね重ねありがとうございます (ぶんぶん)
2013-07-16 08:46:49
上海阿姐さま

本当に、わかりやすいご説明をありがとうございます。
イビスはどうやら日本語が全く通じないようなのでホテルで聞くのも難しく、日本で調べれることは調べておきたいと、色々検索をかけていましたがどうももうひとつで^^;
こんなにわかりやすいサイトがあったんですね!

終点が行き先表示になるのですね^^
韓国では地下鉄にがんがん乗っているので、上海でも大丈夫かな?とチャレンジしてみます
交通カードも買う気満々です(笑)

20日の地下鉄の最終は思ったより遅く、間に合いそうな気もしますが夜間ですしやはり送迎バスを利用します。

おかげさまでガイドブックやネットでは調べきれないことがわかり、とても参考になりました。
ありがとうございました。
無事に日本に(地下鉄もない地方都市)に戻りましたら、あらためてお邪魔させてください。


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おはようございます。 (hamiruko)
2013-07-18 08:50:29
アジエさん、
おはようございます。
ご無沙汰しております。お元気ですか?
この記事今朝読ませて頂いて、とっても興味深く面白かったです。私は映画は文化だと思っていました。もちろんエンターテイメントの世界なので娯楽ですが、「映画は」ときたら、「文化」「芸術」って頭のなかで出てきます。それだけなんですけど、2PMやジヨン、アジエさんのコンレポの方にコメントさせて頂いている私ですが、それをお伝えしたかっただけです、、なんだか何を書きたいのかわからなくなりました。失礼しました~苦笑。 アジエさんがご覧になったそのタイ映画。観れる機会があったら私も観てみたくなりました。では!
返信する
hamirukoさん (上海阿姐)
2013-07-19 01:39:23
こんにちは~ありがとうございます!!
元気です~暑いですが・・・・

上海映画祭で日本映画も何本か見たのですが、日本の映画は「文化」だと思いました・・・位置付け的に。いろいろな国の映画の中で日本映画を観てみると、改めて独特だと思いました。
中国では、映画を観るという行為自体が「娯楽活動」なので、楽しく派手なものが多いです。
タイ映画は昔の香港映画の雰囲気に似てます。タイ芸能人は欧米系ミックスか、華人系が多いせいもありますが、女優は韓国の影響を受けてて、韓国女優っぽい雰囲気をかもしだしてます・・・メークとか表情とか。
Tik主演の「Super Sarary Man」(超級白領)は香港映画(オフィスラブコメディ)で、一昔前にアンディ・ラウとサミー・チェンがやってたような雰囲気です。

見た本数が少ないので本来比べられないですが、映画のレベルとしてはインドの方がだいぶ上・・・と思いました。
でも俳優はタイの方がかっこいいですね
返信する

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