5月30日（土）中国時間20時～「PRODUCE 101」形式のオーディション番組「青春有你2」（Youth With You2）の決勝戦が行われました。
TOP20に残った練習生（訓練生）がグループデビューできる9席を争う決勝戦は、20時から約3時間に渡りライブ配信されました。
「青春有你2」は、最初の数回は練習生とトレーナーが広州のロケ地に集合し、観客も入れて収録することができましたが、新型コロナウィルスの影響を受け、1月末から収録が中断されました。3月以降、収録は再開されたものの、無観客かつ一部のトレーナーはリモート出演という形になりました。
5月30日の決勝戦は、念願かなって観客（ファン）を会場に入れての生配信が実施されました。
グループデビューを果たす9名のうち、1位から8位まではほぼ予想通りでした。
ところが、第9位は予想に反する大逆転でした。9位の発表は非常にドラマチックな展開で、1位、2位を発表したときより、はるかに盛り上がりました。今回の参加者の人材が豊富で、接戦だったことの現れといえます。
9位に最も近い順位にあるとして名前を呼ばれた4名。左から、陸柯燃（K Lu）、乃万（NINEONE）、金子涵（Aria Jin）、王承渲（Sharon Wang）。
予想では、9名のデビューメンバーに入るのは金子涵だろうと言われていました。
金子涵（Aria Jin／Jin Zihan／ジン・ズハン）1999年生まれ、身長172cm、山東省出身。大手事務所「楽華娯楽」（YUEHUA Entertaiment／乐华娱乐）の所属。
「楽華娯楽」（YUEHUA）は韓国にも進出している事務所で、この種のオーディション番組で必ずといっていいほど自社の練習生をデビューメンバーに送り込んでいます。
金子涵は文句のつけようのない正統派の美人で、幼少から習い続けたダンスの実力者です。性格的におっとりしすぎていること、自己主張が弱く起伏に欠けることなどがマイナスでしたが、YUEHUA所属のタレントが一人も入らないとは考え難いので、金子涵がデビューメンバーに入ることは確実視されていました。
その金子涵が、最終順位第11位で終わりました。
台湾出身の王承渲もデビューの可能性は高いと言われていました。前半は常に上位につけており、年齢も若く、貴重な妹タイプのキャラクターで根強い人気がありましたが、最終順位は12位でした。
最終的に9番目のイスを争うことになったのは、陸柯燃（ルー・クラン／Lu Keran／K Lu）と乃万（ナイワン／NINEONE）でした。
乃万は実績のある女性ラッパーで、長年アイドルを目指してきた子たちとは異なる独特のオーラがあります。
しかし、同じくRAPを得意とする練習生の中に、謝可寅（Shaking）という人気も実力もある練習生がいたため、乃万がデビューメンバーに入ることは難しいだろうと言われていました。
同じ理由で、陸柯燃もデビューの可能性は低いだろうと思われていました。
というのは、1位につけている最有力の劉雨昕（XIN Liu）が中性的なタイプなので、一つのグループに二人も中性的な容姿のメンバーが入ることはないだろうと思われていたのです。
陸柯燃と乃万は事務所は違いますが、番組収録中、4人部屋のルームメイトだったこともあり仲が良いです。2人が最後のイスを競い合う場面は、決勝戦の最大の見せ場となりました。
結果として、陸柯燃がデビューメンバーに入ったのですが、ここでにわかに注目を集めたのが、陸柯燃の所属事務所「TOV娯楽」（TOVエンターテインメント）です。
「青春有你」に出場できるということは、中国芸能界においてものすごく大きなビジネスチャンスです。
練習生を一人番組に送り込むためだけに、事務所（会社）を設立することも珍しくありません。人気が出れば大きなリターンが期待できるので、アイドル育成は一種の投資活動でもあります。
TOVエンターテインメントも、たくさんある新参事務所の一つでしかなく、「韓国の事務所」ということを除くと、詳細はよく分かっていませんでした。
決勝戦の慣例として、各事務所の代表が会場に現れます。
21位で惜しくも決勝進出を逃した林凡（リン・ファン）が、各事務所の代表を紹介しました。
そのとき、TOVエンターテインメントの代表「創始者Yoon氏」が初めて公の場に登場しました。
この段階では、まだ最終順位が発表されていなかったので「TOVエンターテイメントの創始者って若い男性なのね」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、最終順位が発表されると、見る目が違ってきます。
「9番目のイス」という最もレアな金塊を掘り当てたTOVエンターテイメントとは何者なのだ－－－？
グループデビューのイスは、各大手事務所が欲しくてたまらないものであり、利権が絡めばお金が動いて当然と思われています。
陸柯燃の順位が発表された瞬間、TOVエンターテインメントの代表にカメラが向けられました。
「Yoon TOVエンターテイメント創始者」というテロップとともに、小躍りし出した男性Yoon氏は韓国人だそうです。
このYoon氏とTOVエンタに関する情報がネットから掘り出されました。
・TOVエンターテイメントは2019年に設立された会社。韓国と中国に法人がある。
・所属タレントは5人しかいない。そのうち4人は、陆柯燃と林凡を含む「FANXY RED」のメンバーで、あと1人が「青春有你2」にも出場していた陳芸文。過去記事：平均身長172cm、4人組の中国“美少年”ガールズグループ「FANXY RED」
・Yoon氏自身がPOPPINのダンサーで、所属タレントに自らダンスを教えている。
・FANXY REDが韓国で路上ライブをやったとき、Yoon氏自ら車を出して音響を担当した。
・中国法人の名称は「北京太富文化传媒有限公司」。
・TOVエンタはYoon氏が自らの出資により運営している。
バックグラウンドのなさそうな会社が貴重なデビューの1席を勝ち取りました。
まさにチャイナドリーム実現の瞬間で、2020年においてもまだこんな痛快な展開が見られるなんて、と思いました。
「青春有你2」の前評判はそれほど高くはなく、参加者の平均年齢が高い、正統派美人が少ないなど文句を言われていましたが、終わってみればとてもよい番組でした。
トレーナーが途中からリモート出演になるという、前例のない事態に直面しましたが、制作側は上手く対応していたと思います。
ダンストレーナーのBLACK PINK Lisaと練習生のコラボステージ「I'm Not Yours」。Lisaは収録現場に来ることができなかったため合成映像です。なかなかよくできています。このコラボステージでの金子涵（Aria Jin）の出来栄えはすごく良かったので、デビューメンバー入りできなかったことを惜しむ声も強いです。別の形でのグループデビューの可能性もあるかもしれません。
番組の最大の功労者は、司会兼プロデューサー代表を務めた蔡徐坤（KUN）です。
むやみに煽ったりもせず、淡々と的確なコメントで番組を展開させるので、見やすかったです。
蔡徐坤は、2018年の「偶像練習生」で1位を獲得し大ブレイクしたタレントです。
1998年生まれでまだ22歳ですが、内面的には非常に大人で、常人離れした落ち着きっぷりです。アクシデントにも冷静に対応できます。
ダンス、パフォーマンスの実力も確かで、手足が長く、独特の色気と安定感があり、余裕を見せることができます。
EllaやLisaなど海外組のトレーナーが現地収録に参加できなくなる中、後半は蔡徐坤がほとんど一人で番組を切り回していました。
番組開始当時の宣伝ポスター。プロデューサー代表：蔡徐坤、ダンストレーナー：BLACK PINK Lisa、ボーカルトレーナー：元S.H.EのElla、RAPトレーナー：Jonny-J。このうち、Ellaは台湾、Lisaは韓国を拠点とするため、出入国制限の影響で撮影現場に来ることができず、リモート参加となりました。
エンタメは虚構の世界であり、視聴者は華やかな夢が見られることを望んでいますが、同時に、ニセモノ・作り物ではない真実を渇望しています。
「青春有你2」は虚構と真実が絶妙なバランスで交差する番組でした。
写真：青春有你 公式Weibo：https://weibo.com/u/5144610553
5月30日に誕生したガールズグループ「THE9」（THE NINE）
1位（センターポジション）：劉雨昕（Xin Liu）、2位：虞書欣（Esther Yu）、3位：徐佳琪（Kiki Xu）、4位：喻言（Yan Yu）、5位：謝可寅（Shaking)、6位：安崎（Babymonster An）、7位：趙小棠（Xiaotang Zhang）、8位：孔雪儿（Snow Kong）、9位：陸柯燃（K Lu）
【おまけ】陸柯燃、林凡、乃万と朱林雨（35位→20位で敗退）は4人部屋の同室で「9号宿舎」と呼ばれて人気がありました。
TOP20に残った練習生（訓練生）がグループデビューできる9席を争う決勝戦は、20時から約3時間に渡りライブ配信されました。
「青春有你2」は、最初の数回は練習生とトレーナーが広州のロケ地に集合し、観客も入れて収録することができましたが、新型コロナウィルスの影響を受け、1月末から収録が中断されました。3月以降、収録は再開されたものの、無観客かつ一部のトレーナーはリモート出演という形になりました。
5月30日の決勝戦は、念願かなって観客（ファン）を会場に入れての生配信が実施されました。
グループデビューを果たす9名のうち、1位から8位まではほぼ予想通りでした。
ところが、第9位は予想に反する大逆転でした。9位の発表は非常にドラマチックな展開で、1位、2位を発表したときより、はるかに盛り上がりました。今回の参加者の人材が豊富で、接戦だったことの現れといえます。
9位に最も近い順位にあるとして名前を呼ばれた4名。左から、陸柯燃（K Lu）、乃万（NINEONE）、金子涵（Aria Jin）、王承渲（Sharon Wang）。
予想では、9名のデビューメンバーに入るのは金子涵だろうと言われていました。
金子涵（Aria Jin／Jin Zihan／ジン・ズハン）1999年生まれ、身長172cm、山東省出身。大手事務所「楽華娯楽」（YUEHUA Entertaiment／乐华娱乐）の所属。
「楽華娯楽」（YUEHUA）は韓国にも進出している事務所で、この種のオーディション番組で必ずといっていいほど自社の練習生をデビューメンバーに送り込んでいます。
金子涵は文句のつけようのない正統派の美人で、幼少から習い続けたダンスの実力者です。性格的におっとりしすぎていること、自己主張が弱く起伏に欠けることなどがマイナスでしたが、YUEHUA所属のタレントが一人も入らないとは考え難いので、金子涵がデビューメンバーに入ることは確実視されていました。
その金子涵が、最終順位第11位で終わりました。
台湾出身の王承渲もデビューの可能性は高いと言われていました。前半は常に上位につけており、年齢も若く、貴重な妹タイプのキャラクターで根強い人気がありましたが、最終順位は12位でした。
最終的に9番目のイスを争うことになったのは、陸柯燃（ルー・クラン／Lu Keran／K Lu）と乃万（ナイワン／NINEONE）でした。
乃万は実績のある女性ラッパーで、長年アイドルを目指してきた子たちとは異なる独特のオーラがあります。
しかし、同じくRAPを得意とする練習生の中に、謝可寅（Shaking）という人気も実力もある練習生がいたため、乃万がデビューメンバーに入ることは難しいだろうと言われていました。
同じ理由で、陸柯燃もデビューの可能性は低いだろうと思われていました。
というのは、1位につけている最有力の劉雨昕（XIN Liu）が中性的なタイプなので、一つのグループに二人も中性的な容姿のメンバーが入ることはないだろうと思われていたのです。
陸柯燃と乃万は事務所は違いますが、番組収録中、4人部屋のルームメイトだったこともあり仲が良いです。2人が最後のイスを競い合う場面は、決勝戦の最大の見せ場となりました。
結果として、陸柯燃がデビューメンバーに入ったのですが、ここでにわかに注目を集めたのが、陸柯燃の所属事務所「TOV娯楽」（TOVエンターテインメント）です。
「青春有你」に出場できるということは、中国芸能界においてものすごく大きなビジネスチャンスです。
練習生を一人番組に送り込むためだけに、事務所（会社）を設立することも珍しくありません。人気が出れば大きなリターンが期待できるので、アイドル育成は一種の投資活動でもあります。
TOVエンターテインメントも、たくさんある新参事務所の一つでしかなく、「韓国の事務所」ということを除くと、詳細はよく分かっていませんでした。
決勝戦の慣例として、各事務所の代表が会場に現れます。
21位で惜しくも決勝進出を逃した林凡（リン・ファン）が、各事務所の代表を紹介しました。
そのとき、TOVエンターテインメントの代表「創始者Yoon氏」が初めて公の場に登場しました。
この段階では、まだ最終順位が発表されていなかったので「TOVエンターテイメントの創始者って若い男性なのね」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、最終順位が発表されると、見る目が違ってきます。
「9番目のイス」という最もレアな金塊を掘り当てたTOVエンターテイメントとは何者なのだ－－－？
グループデビューのイスは、各大手事務所が欲しくてたまらないものであり、利権が絡めばお金が動いて当然と思われています。
陸柯燃の順位が発表された瞬間、TOVエンターテインメントの代表にカメラが向けられました。
「Yoon TOVエンターテイメント創始者」というテロップとともに、小躍りし出した男性Yoon氏は韓国人だそうです。
このYoon氏とTOVエンタに関する情報がネットから掘り出されました。
・TOVエンターテイメントは2019年に設立された会社。韓国と中国に法人がある。
・所属タレントは5人しかいない。そのうち4人は、陆柯燃と林凡を含む「FANXY RED」のメンバーで、あと1人が「青春有你2」にも出場していた陳芸文。過去記事：平均身長172cm、4人組の中国“美少年”ガールズグループ「FANXY RED」
・Yoon氏自身がPOPPINのダンサーで、所属タレントに自らダンスを教えている。
・FANXY REDが韓国で路上ライブをやったとき、Yoon氏自ら車を出して音響を担当した。
・中国法人の名称は「北京太富文化传媒有限公司」。
・TOVエンタはYoon氏が自らの出資により運営している。
バックグラウンドのなさそうな会社が貴重なデビューの1席を勝ち取りました。
まさにチャイナドリーム実現の瞬間で、2020年においてもまだこんな痛快な展開が見られるなんて、と思いました。
「青春有你2」の前評判はそれほど高くはなく、参加者の平均年齢が高い、正統派美人が少ないなど文句を言われていましたが、終わってみればとてもよい番組でした。
トレーナーが途中からリモート出演になるという、前例のない事態に直面しましたが、制作側は上手く対応していたと思います。
ダンストレーナーのBLACK PINK Lisaと練習生のコラボステージ「I'm Not Yours」。Lisaは収録現場に来ることができなかったため合成映像です。なかなかよくできています。このコラボステージでの金子涵（Aria Jin）の出来栄えはすごく良かったので、デビューメンバー入りできなかったことを惜しむ声も強いです。別の形でのグループデビューの可能性もあるかもしれません。
番組の最大の功労者は、司会兼プロデューサー代表を務めた蔡徐坤（KUN）です。
むやみに煽ったりもせず、淡々と的確なコメントで番組を展開させるので、見やすかったです。
蔡徐坤は、2018年の「偶像練習生」で1位を獲得し大ブレイクしたタレントです。
1998年生まれでまだ22歳ですが、内面的には非常に大人で、常人離れした落ち着きっぷりです。アクシデントにも冷静に対応できます。
ダンス、パフォーマンスの実力も確かで、手足が長く、独特の色気と安定感があり、余裕を見せることができます。
EllaやLisaなど海外組のトレーナーが現地収録に参加できなくなる中、後半は蔡徐坤がほとんど一人で番組を切り回していました。
番組開始当時の宣伝ポスター。プロデューサー代表：蔡徐坤、ダンストレーナー：BLACK PINK Lisa、ボーカルトレーナー：元S.H.EのElla、RAPトレーナー：Jonny-J。このうち、Ellaは台湾、Lisaは韓国を拠点とするため、出入国制限の影響で撮影現場に来ることができず、リモート参加となりました。
エンタメは虚構の世界であり、視聴者は華やかな夢が見られることを望んでいますが、同時に、ニセモノ・作り物ではない真実を渇望しています。
「青春有你2」は虚構と真実が絶妙なバランスで交差する番組でした。
写真：青春有你 公式Weibo：https://weibo.com/u/5144610553
5月30日に誕生したガールズグループ「THE9」（THE NINE）
1位（センターポジション）：劉雨昕（Xin Liu）、2位：虞書欣（Esther Yu）、3位：徐佳琪（Kiki Xu）、4位：喻言（Yan Yu）、5位：謝可寅（Shaking)、6位：安崎（Babymonster An）、7位：趙小棠（Xiaotang Zhang）、8位：孔雪儿（Snow Kong）、9位：陸柯燃（K Lu）
【おまけ】陸柯燃、林凡、乃万と朱林雨（35位→20位で敗退）は4人部屋の同室で「9号宿舎」と呼ばれて人気がありました。
