たくさん書いた「無心」の中から、ポスターに使われたのは
この「無心」でした。
ポスターの原案を頂いたとき、Idaさんが画面左にいらして。
横書きの場合、書の作品ではないので左から右へ書くべきところ、
右に重心をもっていき、「心」の周りの空間を広く印象つけたかったので
あえて右から左へと書きました。
「無心」にもいろいろな無心があるかと思いますが、
私はこのポスターから、優しい穏やかな無心をイメージしていました。
デザイナーのトーマスさんも同じように感じて下さったようで嬉しや。
Idaさんは、カナダのネルソン在住のコンテンポラリーダンサー。
数年前、遠くカナダから禅語を検索していて拙ブログにお越し下さり
なんと同じ小学校に通っていたというご縁もあり、
また、わけのわからない?世界に惹かれるという共通項もあり
今回ポスターでコラボ参加させて頂けて、しあわせ~。
一番下の行にちっちゃくだけど、Japanese Calligraphy:Saori Sakamoto って
ブログを見ている父が喜ぶ?かもなので、失礼して・・
カナダで映画にも出ていらしたり、ネルソンの文化親善大使でもいらはります。
関連記事
■Kicking Horse Culture
■Hiromoto Ida's "Birthday Present for Myself"
■Nelson☆Star
さて、Hiromoto Idaさんから届いた作品への思いを少しご紹介。
BIRTHDAY PRESENT FOR MYSELF
僕が、病院で過ごした父が死に行く前の最後の日々の思いがこの作品になった。
本当に、僕としては訳の分からない変なものをわざと作ろうとしてるのじゃない。
自分に正直に、なんとかしてそのままのナマのものを
人に伝えたいという思いだけで作っている。
この舞台のために一時帰国して京都に行き、貴重な能面をお借りしてきた。
ただただこの舞台のお話とこの能面が何を語っているかを
じっと聞いてそれに合わせて動いていくしかない。
人にあげる贈り物と同じだからそれはもちろん、
何をどういう形にしてあげたら喜ぶかな、という配慮はある。
だけどひょっとしたらこれは完全に自分だけの思いよがりかもしれない。
こんなもの作ってもしょうがないんじゃないか・なんて
ひどく孤独な気持ちになってしまう。
自分ではと思っていることも大多数の人には
別にどうでもいいことなのかもしれない。
それなのに今日も金にならない仕事をしに
コツコツ一人でスタジオに向かい稽古する。 (後略)
私も同じような思いで、日々を生きているような。
書も。人生も。
このブログを始めた頃、禅語の本を読んで、禅語に救われ
禅語があったから、今日までを乗り越えてこれたような。
Idaさんからの届くメールには、どこか禅の世界が広がっていて
目から鱗、ケセラセラ、あっけらかんかんと生きるヒントがたくさん。
昨夏以来、禅語を思うことも減っていたなぁ、とふと。
もっとあれこれ身軽になって、一から始めたいなぁ、とふと、ふと。
さて。
Idaさんのこれまでのコンテンポラリーダンスから1つご紹介。
ほぼ言葉を発することなく、からだとそこに存在する空間で
嬉しい、悲しい、悔しい、切なさや孤独、喜び・・・あらゆる感情を表現する世界。
書でもそんな仕事ができたらいいなぁと、いつも刺激を頂いています。
新作は、どんな舞台なのか、カナダまで観に行けないのが残念ですが
カナダ在住の方、ご旅行で行かれる方、お近くの方、ぜひシアターに
お出かけくださいませ。