あしあとーⅡ

日々のあれこれ、綴ったものが自分の足跡に

「精霊の守り人」の作者・上橋奈穂子さんの言葉

2017年02月10日 | DEAN FUJIOKA
 2017.2.08

禁断の恋と王権――ディーンさんに託されているもの――


今週の土曜日に放送される4話(笑う魔物)で

「トリ~シア~!」

という、あの、ディーン・フジオカさんの絶叫が印象的なイーハンと壇蜜トリーシアの

許されざる恋が描かれます。

ロタ王家の血をひく王弟イーハンにとって決して結ばれてはならぬ相手とのどうしようもない恋。
一生に一度の恋をして悲嘆の底で知ったことがイーハンの人生を大きく変えていきます。


トリーシアとの悲恋によってベールの向こうに隠されているものに気づいたというだけでなく
その経験を、なんとか国政に生かそうとしてきた弟を兄王は心から愛しながらもその行く末を
危ぶんできました。

為政者としては優しすぎるイーハンとチャグムは同じような苦しみを味わい迷いながら歩いていくのです。
ドラマを観ているうちに『神の守り人』を書いていたときの気持ちイーハンが生き生きと躍動しはじめたときの気持ちが思い出されてきたのですが

この新シーズン,イーハンの見え方次第で、伝わるものが変わりそうです。
『神の守り人』を書いてからもう随分と長い年月が経ちました。

偕成社刊の軽装版(ポッシェ版)
『神の守り人』の下巻のあとがきに2001年9月11日の同時多発テロの
一か月前に書き終えていた、と、書いていますから16年近く前のこと、ですね。

その頃、私は、ほぼ毎年オーストラリアでフィールドワークをしていました。
多様な民族がひとつの社会で暮らす、ということそして近代という時代が生んでしまったものについて
考えていた時期でした。


ですから『神の守り人』を書き終えてわずか一か月後
オーストラリアの空港のテレビでツインタワーに旅客機が突っ込む映像を見たときは
大きな衝撃を受けました。

ああ、これまで隠れていたものがこれからは剥き出しになっていくだろうなと、思いました。


あれから16年経ったいま『神の守り人』を描いているこのドラマは
観る人に、どんな思いを伝えているのでしょう。

ロタ王国という南部と北部の分断を抱える国で突如、難しい国政の舵取りを任されて
しかし、人望はまだない。
そういう男が、「自分が良いと思っていることを実現できる圧倒的な権力」を
目の前にぶら下げられたときどうするか。

16年前より、「いま」の方がずっと、このイーハンという男の葛藤が
観る者の胸に迫って来るかもしれませんね。

ディーンさんに託されているものは本当に大きいのです。
 

 


 

明日放送される「精霊の守人」でようやくディーンさんの出番がありそうだ

今まではホンのちょっとしか登場してなくて人寄せパンダか・・・?なんて思ったりしたけど
 
これを読むとイーハンの重要さを作者が語ってくれていてちょっとうれしい
 
明日の放映が楽しみだ