<水野さんの知(7)。グローバリゼーション、海賊とウォール街>
リーマン・ショックは、近代資本主義を、16世紀当初の資本主義へと、回帰させることになります。
リーマン・ショック以前に、世界を席巻した新自由主義は、15~16世紀の重金主義にあたり、リーマン・ショック後の2010年1月に、オバマ大統領が宣言した国家輸出戦略(今後5年間で、輸出を倍増)は、まさに「ネオ重商主義。」にほかなりません…。
そして、ボルカー・ルールは、新自由主義の『死亡』宣告なのであります。
21世紀のネオ重商主義は、海を航海する必要はありません。
新興国の大半が、ユーラシア大陸に集中しているからであります…。
21世紀の「陸の時代。」における空間は、「全地球のグローバル化。」が行きついた結果、物理的には『狭い』のであります。
例えば、ASEAN+6(日中韓、インドとオーストラリア、そしてニュージーランドを加えた16カ国)は、日本海からアラビア海までを、四方八方、『陸』から『海』を取り囲むことになります。
「陸の帝国。」ローマ帝国が、地中海を『陸』で取り囲んで「環地中海。」帝国と言われたように、「ASEAN+6。」は、「環インド洋。」帝国でもあります。
新しい、「電子・金融空間。」の中で、「略奪的貸し付け。」(サブプライム・ローン)によって、巨額の『マネ』ーを作り出した「ウォール街。」と、英国が、海洋を手に入れる過程で活躍した、「海賊資本家。」(シュミット・カール)は、どちらも資本主義における『主役』という点で、共通しているのであります。
1970年代半ば以降の新自由主義が、支配していた時代、とりわけ、90年代以降のグローバルな「電子・金融空間。」を、ウォール街が支配した「略奪資本主義。」の時代において、2003年から07年迄、世界の実質GDPは、年平均5%成長し、1050年~60年代の資本主義の黄金時代の再来、といわれるほどに、世界経済は高成長したのであります。
16~17世紀、「初期の『略奪』資本主義の、この黄金時代。」と同じでありました。
しかし、海賊資本主義の時代は、終焉を迎えます。
英国が、スペインに勝利したことが決定的になると、海賊は、歴史の表舞台から、葬り去られてしまったのであります。
海賊の「英雄的な時代は、およそ1550年から1713年まで、プロテスタント諸国が、カトリックの強国スペインに対して始めた戦いから、ユトレヒトの平和条約までの時期。」でありました。
この条約をきっかけに、英国はその後、カトリック王国フランスやスペインに対して、優位に立つことができるようになったため、もはや国家にとって、海賊の存在は、邪魔になってしまったのであります。
金融規制の強化を図る、ボルカー・ルールは、21世紀のユトレヒト条約なのであります…。
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