<生命の誕生ドラマ(ガン発症のメカニズム)>
私たちは、一見するとごちそうを食べ、呼吸をしており、『酸素』がなければ生きていられないように見えます。
ところが、実際は「瞬発力。」を発揮することも、細胞の盛んな『分裂』をうながすことも「酸素なし。」で行われているのですよ!??
この「無酸素。」のエネルギー産生による『活動』は、生命のとても「大事な働き。」なのです…。(そして、このことが、がん発生の原因に大きな関係があるのですよ)
さて、今から20億年前までは、私たちの祖先にあたる生命体には、「解糖系。」のエネルギー産生しかありませんでした。
この頃までの地球上にはまだ酸素は『存在』していませんので、瞬発力と分裂の「解糖系。」だけがすべてだったのです…。
私たちの先祖の姿を維持している生きものは、バクテリアがそれですが、ほとんどは「嫌気性。」であり、解糖系だけで生きていて、酸素が『ある』と生きづらいのです。
その20億年前のこと、「シアノバクテリア。」が進化して生まれて、太陽エネルギーを使っての光合成により、酸素を『発生』し蓄積し『始め』ました…。
酸素なしで生きてきた生命体は酸素の『害』に悩まされていましたが、その一方で酸素の好きな生命体(ミトコンドリア生命体)が発生進化しました。
あるとき、私たちの先祖に当たる「解糖系。」だけの生命体に、その酸素の好きなミトコンドリア生命体が『寄生』したのでありますよ…。
好都合な「共生生活。」が見えてきたものの、いきなりは上手くいかず、8億年間くらいの間はギクシャクして安定したのは12億年前で、「『原核』細胞。」からしっかりした「真核細胞。」が生まれたのです。
これで、ミトコンドリアによって『安定』したエネルギーを得て、また『核』によって、その生命体固有の大事な『情報』を守ることが出来るようになりました。
私たちの体の細胞は、「解糖系。」と「ミトコンドリア系。」の2本立てのエネルギー産生系の両方を使っている細胞がほとんどですが、脳、心臓、そして骨格筋のうち『赤筋』などは、主にミトコンドリアに依存している細胞です…。
これらの部位の細胞は、1細胞あたり「5000。」個のミトコンドリアを含んでいますが、一方、「解糖系。」が働く骨格筋の『白筋』や、皮膚、骨髄などの分裂細胞では、1細胞あたり200個程度しかミトコンドリアを含んでいません。
盛んに『分裂』する『精子』にいたっては、1細胞当たり「100。」個以下でありますよ…。
私たちの身体は、「ミトコンドリア系。」に集中して『行動』するか、「解糖系。」に集中して『分裂』の世界に入るか(ガン発生に関与)を、酸素がたっぷりあるかどうか?(低酸素だとガンに)、温度がどうか?(低体温だとガンに)、つまり冷たいのか、暖かいのか?の「2大要素。」によって決めています。
それはまさに私たちの「生命体。」が出来たときの謎と『直結』しており、今もこの『誕生』のドラマを忘れていないことを(ガン発症のメカニズムにおいても)示しているのですよ…。