扇子と手拭い

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一人前の噺家になるまでに平均15年

2016-11-30 18:19:06 | 落語
 落語の世界は厳しい。歌手やお笑いタレントと違い、落語が上手いからといってすぐ一人前扱いされるわけではない。前座見習いに始まって前座、二つ目、そして真打と噺家の階段を登っていく。

 一人前になるまでに平均15年かかる。落語ブームだからといって若者はすぐにも「高座に上がれる」と思ってやって来る。修行の厳しさに付いて行けず、7割が途中で挫折するという。甘い世界ではない。

 談志没後5年。弟子の立川談笑が日刊ゲンダイで語っている。

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入門した際、談志にこう言われた。「目の前に居る師匠の俺を喜ばせられなくて、見ず知らずの客を喜ばせられるか」と。

 そこで前座たちは懸命に師匠を喜ばせようとするが、なかなか難しい。

「北朝鮮の喜び組のように尽くすわけですが、しくじる者が多いんです。そんな中、私はけっこう師匠にハマって(気に入られて)ました」

 師匠に「最近の話題はなんだ」と聞かれると即座に答えられるよう時事ネタを頭にインプットしていた。元予備校教師だけあって、予習、復習、リサーチを欠かさない。その能力が二つ目昇進試験でも発揮された。

 立川流の昇進基準は、落語50席できることに加え歌舞音曲、講談、太鼓が必須科目である。

「入門して2年目くらいに『二つ目になるか』と言われたんです。落語50席はできましたから、問題は歌舞音曲です。そこで師匠の好きな端唄、俗曲は何か、師匠の著作を読み、師匠と付き合いが長いお友達に好みの唄を聞いたりしてリサーチしました」

踊りは本格的な日本舞踊より「東京音頭」の手踊りや、大衆演劇の役者が踊る当て振りのほうが好まれるとわかった。試験の本番に備え、準備万端整った。

 師匠が唐突に「聞いてみるからやってみろ」と言ったときが試験開始だ。談笑は談志が好きな「品川甚句」を唄い、さらに、好きだけれど歌詞はうろ覚えという「白頭山節」の歌詞を完璧に唄ったら師匠が感心した。当て振りの踊りの評価もまずまずで、その場で合格が決まった。

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