共通テーマ「冬」でEが書いた詩を投稿します。
冬
子どものころ
夏はうちわが一本
冬はそれが火鉢一個にかわるだけ
特に貧しかったわけではない
ごく普通の暮――
それで通年なんの支障もなかった
一日は朝母におこされてはじまる
しぶしぶ学校へ行く
下校すれば暗くなるまで
遊びまわる
時のめぐりに
春夏秋冬の別はなかった
それがどうだ
生涯という循環の冬をむかえ
ふくらすずめのように
着ぶくれているが
衣服をはげば
骨と皮
かまのふたを開ける
会葬者は唖然とする
なにも骨灰ひとつないのだ
あるのは若いころ
骨折して接骨した金属片が
二つ それだけ
冬
子どものころ
夏はうちわが一本
冬はそれが火鉢一個にかわるだけ
特に貧しかったわけではない
ごく普通の暮――
それで通年なんの支障もなかった
一日は朝母におこされてはじまる
しぶしぶ学校へ行く
下校すれば暗くなるまで
遊びまわる
時のめぐりに
春夏秋冬の別はなかった
それがどうだ
生涯という循環の冬をむかえ
ふくらすずめのように
着ぶくれているが
衣服をはげば
骨と皮
かまのふたを開ける
会葬者は唖然とする
なにも骨灰ひとつないのだ
あるのは若いころ
骨折して接骨した金属片が
二つ それだけ