湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

冬の詩パート2

2018-11-19 21:57:09 | オリジナル
共通テーマ「冬」でEが書いた詩を投稿します。



子どものころ
夏はうちわが一本
冬はそれが火鉢一個にかわるだけ
特に貧しかったわけではない
ごく普通の暮――
それで通年なんの支障もなかった

一日は朝母におこされてはじまる
しぶしぶ学校へ行く
下校すれば暗くなるまで
遊びまわる
時のめぐりに
春夏秋冬の別はなかった

それがどうだ
生涯という循環の冬をむかえ
ふくらすずめのように
着ぶくれているが
衣服をはげば
骨と皮

かまのふたを開ける
会葬者は唖然とする
なにも骨灰ひとつないのだ
あるのは若いころ
骨折して接骨した金属片が
二つ それだけ
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寺山修司展の言葉オブジェ

2018-11-18 18:07:06 | 文学

寺山修司展 ひとりぼっちのあなたに@神奈川近代文学館に行きました。
寺山の生き方と同様に、展示がユニーク。↓撮影可のオブジェ展示。


「私」の文字の所に横になっているのはこの展覧会のキャラクターことだまくん
文学館の外の港の見える丘公園内にも会期中、彼の言葉のオブジェが潜んでいます。

11月25日(日)まで。ただし明日19日(月)はお休みです。
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疑うの詩パート1

2018-11-17 08:27:50 | オリジナル
共通テーマ「疑う」でTが書いた詩を投稿します。

風の中に

何回かの本の貸し借りがあり
同じ詩人のファンとわかった彼
に たどりつく術だと疑わなかった
独りでの京都行き
その日は彼のためだけの街だった

赤く大きなガラス箱の中に街はあった
吉田山のあたりを歩き
学生時代に通ったという店も探した
店のオーナーから
いくつかの彼のエピソードも聞いた
私の知らない彼がかいま見えた
ガラスの透明度は次第に増していった

縦横に流れていた冷たい風が
あの夕暮れから きょう吹いてきた
はりつめた想いの先など考えもしないで
ただ野放図にひろげていた二十歳の私
今 灯った想いは密やかに眺めるだけで充分
と 風に言った
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11月の湘南句会

2018-11-16 00:12:29 | 文学
一昨日の湘南句会は、兼題三つで六つ投句という形式で。最多得点をゲットしたのは次の二句。
なかなか凛とした作品で良かったのでは? 自画自賛
桐一葉踏まず若武者騎乗せり
冬構済ませて逝きし老庭師


次回は12月19日(水)14:00~@逗子市民交流センター1階市民活動スペース。兼題はポインセチア・師走・共。見学・飛び入り参加歓迎です!
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プレバトで学ぶ切字・接続助詞

2018-11-15 22:54:22 | 文学

今日オンエアされたプレバト!!で、名人10段東国原英夫さんが下記の作品で、永世名人への道をひとつ前進。
炊き出しや並べば遠き秋の雲
上五の切字「や」が、ファーストカットの絵力を発揮したと評価されました。以下、夏井先生のコメント。
平場の皆さんならだいたい上五の末尾を「や」ではなく「に」にしてしまうでしょう。「炊き出しに並べば遠き秋の雲」の方が意味が通じやすいかもしれないけれど、ずるずると1カットで絵が続いてしまいます。切れ字「や」にすることで、炊き出し風景のアップが様々に浮かんできます。切字でカットが切り替わった後に、広い光景に変わる編集効果が出てきます。作者は言葉で映像を描くことがちゃんと分かっている訳です。
また中七の「並べば」を「並んで」とやっても通じますが「並べば」の方が意味合いが広く、3つの解釈ができます。1つめは原因理由。2つめが偶然。3つめに「並ぶ時はいつも」つまり常にという意味。「常に」の解釈を選べば、読み手は主人公の背景や心情を考え始めます。するとこの句が描く炊き出しは、災害時ではなく生活困窮者への炊き出しだと読み取れるようになります。

たった17音の俳句だからこそ、2音でもより深い意味が出せる工夫をしないといけないんですね。
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濁の詩パート1

2018-11-14 18:41:08 | オリジナル
共通テーマ「濁」でEが書いた詩を投稿します。

好意のネットワーク

銀貨を出してスーパーで
一斤の食パンを購う
交番に立ちよって
知人宅を確認する

食パンは銀貨と
交換されたのであり
警察官は職務として
市民に対応するのである

窮して第三者にすがる
懇請する好意は
右のようなわけにはいかない
何を対価にすればよいのか

好意には好意以外に
支払いのしようがない
ボランティア活動に励む学生に
就職活動かと冷笑をそそぐ

君よ
君は帰宅の車中で
席を立ったことがあるか
白杖者に声をかけたことがあるか

世の中に住む
権利と義務だけではあじけない
濁りのない親身の好意
そのネットワークが欠かせない

先がけて陰徳を積む
なるほど これなら
貧富を問わない
ただ今から預けられる
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冬の詩パート1

2018-11-13 00:00:41 | オリジナル
共通テーマ「冬」でAが書いた詩を投稿します。

ふゆの詩

塀の向こうのレモン
苦く酸っぱく
手の届かない眩しさ

忌々しい愛ったら愛
本物ってあるの?
見つける前に飽いてしまった
時の緩慢な流れ

人の言ったこと書いたこと
とけるわけがない
白いページが黙ってるから
ゆうべはすぐに墜落
視覚がよみがえって
閉じたページから読んでたら
嘘泣きのような号泣が
自分から聞こえてきた

うわーん うえーん うわうえーん
わはは

どうしても疑えない愛を
少しだけ足裏に
実は敷いて隠してある

拾い直した時間をねじって
腹に透明な言葉をたくわえ
冬眠してしまおう
正しさからはなるべく遠く
床を敷くのだ

そうはいっても
あしたおそく急上昇して
眼を開いてしまう
同じ季節を寒く引きずって
寝ながら生きている
永遠に続く爆風
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濁&冬&疑の詩

2018-11-12 09:27:43 | オリジナル
共通テーマ「濁・冬・疑う」を全て入れてTが書いた詩を投稿します。

覚悟

朱に映えた飛行機雲は
西の空を切り裂いていく
裸木は小刻みに揺れ
静かな夜は来ない

あなたへの疑惑に乗っ取られると
周囲の濁りは増すばかり
解を得るためには
私をさらけ出し
あなたの底深くのぞき込むこと
あなたの誠意は沈んでいるだろうか

欠片が見つからなければ
あなたを抹殺する
と ひそかに決めた冬の夜
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神奈川新聞文芸コンクール表彰式

2018-11-11 02:31:39 | 文学
昨日横浜で、Aが入賞した神奈川新聞文芸コンクールの授賞式がありました。

前列中央が今回の現代詩部門審査員、H氏賞詩人の中島悦子さん。
授賞式後の講評会では各作品に対するコメントの後に、現代詩の状況についても話が及びました。
現代詩という究極の言葉の冒険に対してシャッターを下ろす人が多いけれど、抽象的で難解でも敬遠せずにたくさん読んで、文学における最先端の表現に目が利くようになってほしいという中島さんの訴えには、きゅっと身が引き締まりました。
詩が趣味や手すさびという意識では立ち向かえない領域にあることを、改めて認識させられました。
講評を聴きたいからまた応募したという受賞者もいるくらい、この講評会はいつも貴重で有益な時間になっています。
中島さんは「最優秀賞を獲ったら卒業して、別に挑戦の場を求めるのが粋な応募ですよ」とも。
Aは現代詩部門で5回目の入賞。短編小説部門との同時受賞もありましたが、どちらの部門でもまだ最優秀は獲得していません。
詩を続けるきっかけになったのがこのコンクールなので、最も愛着があります。講評会目当てに次回も応募しようと思います。
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鎌倉霊園掃苔パート2

2018-11-09 23:14:10 | 文学
一昨日ご紹介した鎌倉霊園の川端康成の墓の近くには、堀口大学と山口蓬春の墓も。すごいメンツが揃っている区画!

堀口大学と山口蓬春は葉山に住んでいました。この区画の近くにこんな墓もあります。

子母澤寛が眠る梅谷家の墓です。
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