湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

池子の森自然公園&色の詩パート4

2016-03-20 15:14:04 | オリジナル
昨日緑地エリアがオープンした池子の森自然公園に行ってみました。新しくできた久木側出入口から池子側出入口までで通り抜けられましたよ。
 土日休日のみ8:45~17:00開園
↓この建物の3階にある池子遺跡群資料館にも立ち寄ることができます。

池子側に米軍ゲートがあった時は、事前に申込手続きした上で当日も仰々しく入らなくちゃいけなくて大変だったことを考えると、さら~っと入館できて嘘みたいです。

では、共通テーマ「色」でAが書いた詩を投稿します。

赤とピンク

舟人に櫂の雫をかけられて
春のうららに花の筏で川を下る
ワンピースについた血の染みを
流れに溶かして流したくて

桜を含めすべての花が
わたしを傷つける自由と権利を
色とりどりに抱えているが
それぞれの色が鮮明に見えない
桜が桜を裏切る可能性もある
目前に迫ってから突然驚く
事件が起きてから泣きわめく
光と神経が嘘ばかり見せるせいだ
空に向かっていくから土の腐色を見ない
花にわたしをいたぶる気はないのだろう

準備よく前もって散っておく
散らされたらなるべく早く消える
なんて
流した鮮血の半透明な美しさから目をそむけることだ
水に透けるワンピースの血はこんなにきれいなのに
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昨日のクイズの答え

2016-03-19 01:52:10 | 文学
Q1の答え B(昭和37年) A(平成2年) C(平成21年)

最も新しい泉鏡花句碑は、山の根の泉名月住居跡に建てられたアパートの駐車場の一角にあります。碑の前には休憩用のベンチが設置されています。
 
泉鏡花の養女だった名月(なつき)が昭和30年から平成20年まで暮らした家があった場所に建つアパートは「ディアコート名月」と命名されています。
Q2の答え
A 秋の雲尾上のすゝき見ゆるなり
B 普門品ひねもす雨の桜かな
C わが恋は人とる沼の花あやめ

それぞれ建立した人や団体の個性、建てられた場所の特色が出ている句だと思います。
ちなみにAを建てたのは逗子市、Bを建てたのは鏡花と交流があった文化人たち、Cを建てたのは名月の従弟です。
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逗子文学クイズその4

2016-03-18 01:36:26 | 文学
なんとなく約2か月おきに出している逗子に関する文学クイズ。今日は泉鏡花句碑に関する問題です。
Q1 初級問題 逗子市内に3基ある泉鏡花の句碑を、建立順に並べてください
 A 大崎公園
 B 岩殿寺
 C 泉名月住居跡
Q2 上級問題 それぞれの句碑に刻まれている句を全て答えてください
正解は明日発表します。
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色の詩パート3

2016-03-16 22:36:04 | オリジナル
共通テーマ「色」でAが書いた詩を投稿します。

ヒポクリッツ・ジャンクション

ものごころと同時に色がつき
わたしたちは狂い初め
姉と弟で置き去りにされ
繋いだ手は転びそう

街はあらゆる色のジャンクション
轢かれた弟の可愛い傷
きれいな蜜色の血を
舐めとってやるつもりだった
轢き逃げした一輪車が
偽善者たちのスクランブルに
滑りこんで消える
混濁の渦で洗われて
破けたズボンに染みが付き
眼と眼の距離が熱を帯び
割れた爪にガスが挟まる
眼と耳と鼻を塞いでいた指を
耐えきれず離すと
透明な赤ん坊の泣き声が
空の一点から飛んでくる
いちばんまっすぐな色は無色

無色透明な姉弟には二度と還れず
喧嘩を始めたわたしたちの浅い胸底は
肉の色して痛く涸れていく
街の底の合成の白い石を
踏んではいけない
それは贋物の白

縦横無尽に行き交いながら
わたしたちも親も傍観者も
交差点でみんなが報いを受けている
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野外活動センター&沈黙の詩パート3

2016-03-15 09:53:20 | オリジナル
ずーっと閉まっていた逗子市野外活動センター(蘆花記念公園内)に人が出入りしているのを初めて見た~

2月13日~3月12日の休日に、この中でCAMP@逗子プロジェクト「旧野外活動センターの活用を考える」連続ワークショップが行われていたのです。

以前は市民グループの合宿などに使われていたのですが、宿泊はダメってことで閉鎖されて約10年。再活用が実現するといいですね。

では、共通テーマ「沈黙」でAが書いた詩を投稿します。

対話

―あなたが大切にしていることは?
「コミュニケーションですね」
私なら「沈黙」と答える

頭を絞って答えても首を傾げられる
話が興味のない方向に逸れる
対話は枝葉
幹は沈黙
私の枝葉は幻想しない
そよがない

沈黙の幹の中で
インタビュアーの私が
インタビュイーの私に訊く
―ほかにあなたが大切にしていることは?
「あなたを愛すること」
「前は嫌っていたよね」
答えられない
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沈黙の詩パート2

2016-03-14 14:29:05 | オリジナル
 久木川上道路で
共通テーマ「沈黙」でTが書いた詩を投稿します。
 
さよなら

窓の外の銀杏の黄葉が
室内を明るくしていた朝
ももを自然骨折し
「痛いっ!」と叫び座り込んでしまったあなたは
それ以来起き上がれなくなった
ベッドの背を起こし
「大丈夫? 痛くない?」
と 問いかけると
あなたは静かに首を振った
痛いはずなのに
それからは何を聞いても
あなたはやさしく笑うだけ
ただ黙って頭を下げ 私を見ていた
まるで言葉がはじめからなかったかのように
そばに行くと
私の手をとり さすった

好きなお寿司を持って行くと
ほんの少しついばむように食べて
私の方へそっと押し戻した
アイスクリームも三口ほど食べると
手でもういい というしぐさをした
汚れた口元をタオルで拭くと
私の頬を両手ではさんで
じっと見つめてうなずいた

裸木の枝が揺れて
空気が入れ替わった その夜
あなたの意識はなくなり
二日後に息をひきとった

この世から去っていく時
言葉はいらない
あなたが私の手や頬にいつまでも残っている
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作詩にあたっての十個条第十条

2016-03-13 17:38:13 | 
昨日のフェスティバルパークキャンドルナイトで。キャンドルで描いた3.11ずしの「.(点)」の部分です。

では、金子光晴「作詞にあたっての十個条」からの引用最終回。第十条です。
スランプのとき、自棄的になることなく、じょうずにそれを手なずけて、つぎのジャンプに備えて、足場とすること。
 筆がとまって、まるで書けない時期というものがあります。それは、だれでも経験することですが、それといっしょに、気もめいり、救いようのない虚無感におそわれ、なにをするのもいやになり、酒をのむ人なら、暴飲でじぶんを忘れていたい気持ちになります。それをスランプといいます。詩人の友人のそういう姿は、私も、なれっこになっていますから、そんなにおどろきはしませんが、いったん、スランプにおちいると、虚無的になり、立ちなおるには、よほどの時間のかかるものです。半年、一年、ときには、二年、三年、さあ、そんなにスランプがつづくと、性格までへんなふうにひずみ、詩の書けないくらいはまだしものことで、生涯を棒にふるようなこともないことではないのです。
 書くことのスランプにもいろいろありますが、じぶんの心境なり、作品の傾向なりがゆきづまって、そのまま書きつづけてもなんとなく無意味におぼえ、変化しようにも、手がつけられないで、まえへも、うしろへも動けなくなるといった状態が、まずふつうです。明らかにそれは、ひとつの転期にさしかかったもので、それを突きぬければ新しい境地がひらけるのですから、進歩の一段階とみることが妥当です。悲観する理由は、元来ひとつもないはずですが、実際には、つぎの段階のめどがつかないで、ゆきづまりになっている状態は、本人にとっては、なによりもつらいものです。
 こういうときは、心の余裕をもつようにこころがけて、むりなあがきをひかえ、しずかに対策を考えるべきです。ゆったりとした気持ちで見まもっていれば、かならず、緒(いとぐち)がみつかるものです。熱くなっては、それが、目にはいらなくなります。スランプをじょうずにやりすごせば、そこを足場にして、つぎの大飛躍が可能となります。

一旦しゃがみこむのは、大きく跳躍するためなのさ
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沈黙の詩パート1

2016-03-12 13:45:52 | オリジナル
共通テーマ「沈黙」でAが書いた詩を投稿します。
 和賀江島
無言でいる

足踏みするばかりになったらその場で倒れる前に方向を変える
無恥の闘いで顰蹙を買ってでもつかえを取る
どのみち風評は風化する

あの日 
難題を解きほぐす願望だけを手一杯に抱え
硬く黒い道を進んでいた
君は共に歩んでくれた
追い詰められた私のあがきをよどみなく信じ
私の主張を肯定し口裏を合わせた

帰る道沿いのフェンスに陽光が反射していた
その向こうで葉が強く揺れ一瞬世界が前転し
濁った気体がふいと躰から出ていく気配がした

無言で手を握る君の体温を
よく見えぬ前へともがき続ける力にした
僅かな希望がひたひたと寄せ続ける朝を
初めて手にしたのはつい最近のことだ

もう言いたくないことは言わなくていい
言わないほうがいいことも言わない
もう君を巻き込んで嘘をついたり暴露したりはしない
私たちはフェンスを越えた場所にいて
心地よく忘れ去られている
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点数で可視化プラン

2016-03-11 18:22:17 | 
逗子駅前で、5年前に被災した東北の方々の生活の復興を祈願。

さて来月から新年度を迎えるにあたって、合評会に投票採点方式を取り入れて分かりやすく進化させようと思っています。
みんなで各作品を採点しちゃうのです。点数が高くても低くても笑って受け止め、次の作品をつくる時真剣に参考にしてください。
加点されるのは…
世界・社会・人生・物事の表層ではなく実相(本質・真実)を捉えている
言葉の選択(独自性・韻・リズム)に工夫がある
表現にオリジナリティ・新しさ・深さ・説得力がある
視点・テーマ・モチーフ・イメージの新しさ・鮮やかさがある
メタファー・象徴・暗示ができている
展開・構成が的確でリズム・余韻がある
減点になるのは…
そのまま過ぎるありきたりな表現
伝統・習慣・通念・常識あるいは平凡な感情の範囲内に留まる個性が感じられない内容
無駄な表現、冗長さ
普通の擬音や直喩の多用
まだ案の段階ですので、採点基準について意見や提案があるメンバーはAにご連絡ください。
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四角い宇宙の中で

2016-03-10 00:00:16 | 
高徳院鎌倉大仏。もうすぐ点検修理が終わって拝観できるようになります。

今日は、下記の詩について合評会で話し合ったことを投稿します。作者は都合により欠席だったので出席者の批評だけになります。
四角い宇宙

色と形の間に風が吹く
線と色の隙間に光さす

向こうへいくのか
こちらへ来るのか

揺らめきながら、浮遊する
意思を持って浮遊する

着地点がわからない

終着駅
または望郷の入り口

気づいたら見つかるかもしれない
見つけるものではないのかもしれない

終わりのためにか
始まりのためにか

色と形は意思を持って浮遊する
目的を持ち、枠の中で揺らぎ煌めきながら

惑星が見えない糸と糸で引かれるように
終わりとも始まりとも言えない
在るべきところの在るべき姿のため

意表をつく題がいいですね。
抽象画を見ているような感じ。作者はこういうふうに絵を描くのかというのがよく分かりました。
でも画家が演説する抽象的芸術論で、読み手が加わる余地がない感じがします。
5連目の「終着駅」「望郷」という言葉は映画のタイトルみたいで大衆的な臭いがしてしまうから避けた方がよかったかな。
 あと最終連「惑星が見えない糸と糸で引かれる」は理屈としても表現としても違和感があります。
どうしてもこんなふうに言いたいなら「惑星と惑星が見えない糸で…」じゃない?
2・6・7連目の「そうなのか違うのか」的な意識の揺れは何だかモヤッとするので、何らかの形で断定してほしいな。
絵画自身には着地点が明確なのだけれど描く人間はそれに導かれているような不思議な感じなんでしょうね。
テーマ「涼」の時に作者が書いた窓や氷が泣いたりバニラアイスが溺れたりする詩の方がよかった。あの路線で書いていってほしいな。
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