湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

テーマ「芽」で詩作パート1

2015-03-07 00:12:54 | オリジナル
共通テーマ「芽」でAが書いた詩を投稿します。

ひとつの種子

長い旅をしてから偶然降りた痩せた土地にもぐる
真暗闇で内側から湧き出てくるものが
ゆっくりと私の形を変えていく
頼りないペールグリーンの顔を出すと
風がさっと地上の洗礼を授けてきた
種皮をまとって飛んでいた時には感じなかった冷たさに揺れる
こっちをニコニコ見ている他の小さいライバルたち
芽が笑っていない
環境に向けて必死に念を送っているところなのだ
―ここを選んで芽吹いたんだよ
―愛されるためにやって来たんだよ
地中では細い根っこ同士が小競り合い

無表情だけどよっぽど親切な足許の枯葉と小声で会話する
「ここは水が足りないね」
〈だから根っこを伸ばすんだよ〉
「ここは光が足りないね」
〈だから背を伸ばすんだよ〉
「ここは風が強いね」
〈だから幹を太らせるんだよ〉

私が強く分厚く輝くと
他の緑がざわめき睨みつける
既に胚の中で予想していたことだ
少し離れた地中に兄弟がいて
私が死んだら眠りから覚めることも
確実に予測しているから
独りで強くなっていく

毎月、共通テーマで書いた詩の合評会をしています。
次の合評会は4月6日(月)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする