湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

ヤサイクル&対話の詩合評

2015-03-21 14:54:03 | 
今日は逗子市役所と亀岡八幡宮でエコ広場まつりが開かれました。

↑野菜即売ブースに出店しているのはヤサイクルさん。↓逗子海岸ロードオアシスに店舗があります。
 八百屋カフェ・ヤサイクル@ロードオアシス
水素水のサービスがあって、水分補給と買物にサイクリストもよく立ち寄ります。

さて今日は、3月の合評会でTの「石庭」について話し合ったことを報告します。
:作者の弁 :評者の弁
井上靖の「石庭」という作品が頭にあって書きました。
龍安寺が舞台なんですね。冬の枯山水の静けさが上手に描写されています。
「凍ってしまった方丈」という箇所はもっといい表現があったんじゃないかと思っています。
その行の後を一行空けて、ラスト3行を別の連にした方がいいですね。
そうですね。そして自分と対話する場面をもっとうまく長めに描きたかったです。

 石庭 (再録)
つくばいの中の天は鈍色に変わり
風に流れて雪が来た
石をすべり白砂に消え
庭のとなりの南天の実をふるわせ
やがて気付けば
山も堂宇も石も白くおおわれ始めた
筧の音もいつしかまろやかになっている
私の中にも雪は降り積もり
凍ってしまった方丈に一人座って
私は私と話しはじめる
白い石庭はひっそりと
私を吸い取っていく


むかし、白い砂の上に十四個の石を運び、きびしい布石を考えた人間があった。老人か若い庭師か、その人の生活も人となりも知らない。
だが、草を、樹を、苔を否定し、冷たい石のおもてばかり見つめて立った、ああその落莫たる精神。ここ龍安寺の庭を美しいとは、そも誰がいい始めたのであろう。
ひとはいつもここに来て、ただ自己の苦悩の余りにも小さきを思わされ、慰められ、暖められ、そして美しいと錯覚して帰るだけだ。

(井上靖「石庭」)
コメント
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