575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

北風や縦一列の瞽女に刺す  須美

2023年12月21日 | Weblog

今年最後の句会のお題は「北風」でした。句の締め切りの頃はまだ暖かく体感的に北風の句を作るのが難しかったことと思います。

そんな中10票を獲得した圧巻の須美さんのこの句。

瞽女さんのことはあまりよく知らなったのですが、盲目の女性が一列になって演奏しているのでしょうか?北風に吹かれる様子は何とも辛く悲哀に満ちている気がしました。「刺す」という表現もこの世に生きる厳しさを物語っています。北風という兼題でこのような情景を描写された須美さんはすごいと思いました。

作者の須美さんは、秋田の美術館で斎藤真一の瞽女さんを描いた絵を見たそうです。「厳しい環境の中縦一列に並んで歩く瞽女さんの姿が心に残りました。」とのコメントがありました。恥ずかしながら私は斎藤真一さんのことを知りませんでした。

ネットで調べたら近藤さんは瞽女さんの旅姿と雪国の風景を多く描いています。昭和37年くらいから瞽女に惹かれて盲目の女性を描いています。その後越後に通い越後瞽女をテーマにした個展やエッセイを多く発表されています。確かに雪の中縦一列になって進む瞽女さんの絵画がありました。

 

皆さんのコメントです。

能登さん:瞽女の列に突き刺さる北風、その背景に荒れる日本海。映画の1シーンのようですね。

郁子さん:縦一列の瞽女なんてなかなか出ません(漢字変換も) 向かい風の中行く姿がくっきりと・・日本海の景色でしょうね

童子さん:大好きな斎藤真一の越後瞽女の作品にある、力強さや悲しさを思い出されてくれる句です。縦一列が良いですね。

千香子さん:1枚の絵を見ているような印象です。昔

瞽女を主人公にした演劇を見たことを思い出しました。

亜子さん:瞽女さんは今はもう存在していないと思います。作者は映像か写真か何かで瞽女さんをご覧になったのでしょう。北風の中、列になって進むという瞽女さんたちの強くたくましく生きていく姿。苦労がしのばれるが、歴史を物語る一句。「瞽女を刺す」ではなく「瞽女に刺す」という助詞一つの使い方も高度な感じがする。

竹葉さん:何人位でしょうか。見たことは無いのですが、頭に頭巾を被り白杖持ち白装束で必死に北風に向かう瞽女たちの姿が浮かび「瞽女。。刺す」の言葉で辛さをで表した、北風にぴったりの句だと思います。

          ★★★

童子さんはきちんと須美さんの句を解釈されていましたね。選句するにも知識が必要です。

それにしても一枚の絵画からこのような俳句が生まれることに感動しました。それだけの力ある作品だったのでしょう。

須美さんのトップ賞。今年の575の会の一年を締めくくるのにふさわしい秀句となったと思います。来年もこうご期待!                麗子

 

 

コメント
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