575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

雀すら愛を語るに梅が宿                 草女

2008年02月15日 | Weblog
 梅は全てを兼ね備えている樹である。花も実も良い。花は品格があり清楚かつ豪華。寒中に咲く力強さに加えて芳香がある。一本でよく、梅林になり賑わっても良い。実は食用から薬用、さらには染物を定着させるばい媒染剤まで広く利用されてもいる。
 自生説もあるが、弥生時代に稲とともに渡来し、奈良時代に広く植栽されるようなったというのが定説。万葉集には118首の梅の歌が詠まれ萩についで二番目に多い。平安時代以降は、桜の陰に隠れてしまったが、再びスポットライトを浴びたのは江戸時代で、300種か作り出されるブームが起こった。
 梅が人々に愛された証拠がある。それは花や葉が梅に少し似ているということでウメという名を取り込んだ植物の多さである。ウメバチソウ・ウメガサソウ・バイカモ・バイカウツギ・バイカツツジ・ウメモドキ・ユスラウメ・ロウバイ等など限りがないほど多い。
 バラ科サクラ属の落葉小高木。基本的には5個の丸い花弁が可愛く、雄蕊がその中を飾る。雌蕊はその中心にあるが遅れて成長するらしく見つけるのは難しい。
 実をとるために栽培されている木でも自家受粉(自分の雄蕊と雌蕊の受粉)で結実することはない。だから、実をつけさせるためには、他の木を傍らに植えてやらねばいけない。
 梅一輪、一輪ごとの暖かさも感じにくい今日この頃の寒さだが、やっと開花の便りを聞くようになった。暦だけの春や光の春ではなく、ほんとうに梅が満開になる春が待ち遠しい。

  東より春は来ると植えし梅           高濱虚子
  二もとの梅に遅速を愛すかな          蕪村
  死が綾なすこの世の梅の白多彩         原子公平

★タイトルをクリックすると写真が拡大し、コメントできます。コメントにURLはふひつようです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする