575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

見上げれば藤波白き山路かな      草女

2007年05月29日 | Weblog
 花が終わり、いよいよ自分の番が来たとばかりに我が家のフジ蔓は四方八方に枝を伸ばし始めた。切っても切っても伸びる蔓は迷惑しごくである。
 我々現代人にとっては、せいぜいリースや花器の素材にする位しか使い道が無いフジ蔓であるが、古代人の人々にとっては生活に無くてはならぬ必需品でありロープとして生活に重要な役割を果たした。また、大変な労力と時間をかけて藤布を織ったりした。
 布は、イチビ、クズ、タイマ、カラムシ、バショウ等のの草やフジ、オヒョウ、コウゾ、等の木の繊維から織られた。藤布もその一つである。
 先日、丹後半島宮津市の郷土資料館で、昭和六十年頃に織られ現存する唯一の藤布を見る事が出来た。
 見ながら脳裏に浮かんだのは古事記の花衣伝説。兄弟神のうち弟神が弓矢と母が織った藤蔓の衣服をまとって求婚に行き、姫の前で弓矢と衣服に満開の藤の花が咲きめでたく結婚できたと言う。この話しは藤布が基になって出来たに違いないと思いつつ、眼前の布の丈夫だが粗く肌触りの悪そうな布と作業着を見つめていた。
 余談だが日本に自生しているフジは二種類。我が家の美しき厄介者はノダフジといって蔓が右巻きで、もう一方のヤマフジは近畿以西に分布し蔓は左巻きである。
 告白すると蔓の右巻き、左巻きが何度説明してもらっても分からず、自分の頭は左巻きだぁと居直っている。
                     

※ 写真は丹後の資料館にあったポスターで、昔のフジ蔓の皮むき作業の様子が写されている。
コメント (2)
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