ホー。ホケキョ。

　都営地下鉄浅草線・大門駅。この駅は、大江戸線、ＪＲ線、東京モノレールに乗り換えたり、そして降りる人とけっこうごった返す駅。エスカレーターに乗ってコンコースを足早に人の群れと一緒に・・・。
　この駅、ホー。ホケキョ。とウグイスの鳴き声がします。エレベータ付近で。どこから聞こえてくるのか。エレベータの乗降の注意なのか、発車ベルなのか。ＪＲ鶯谷駅は、ウグイスの鳴き声が発車ベルの代わりだったような。駒込駅も発車ベルではなくて音声（「さくらさくら」だったか？何しろ「ソメイヨシノ」の発祥の地ですから）が。
　大門もウグイスと関係があるのでしょうか。でも、「都庁前駅」でも降りて階段に向かうときに、「ホー。ホケキョ。」と聞こえるような気がします。一瞬空耳なのかな、とも。もし耳鳴りがこの鳴き声ならば、少しは我慢できますが、そうはいきませんね。
　辺りを見回しても、気に留める人もいないようです。はたして何のためなのか。上を見て歩いてかえってエスカレーターや階段につまずく場合もあるのでは、なんて余計な心配をしています。でも、誰にも聞こえず、自分だけが・・・。ホントウは空耳。いよいよ耳までおかしくなったのでしょうか。
　太宰治に「トカトントン」とかいう小説があります。「トカトントン」と主人公の耳に絶えず聞こえてくる話です。たしか敗戦という現実についていけない男のはなしだったか、これこそ、まさに「そら覚え」ですが。