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捕虜時代(俘虜生活) 3 ~収容所~

2010年08月19日 | 人生航海
長い地獄の道程もようやく終わった。

何が何でも、その困難を乗り越えて、帰国できる事のみ願った。

そのせいか、一人の落伍者も出なかったのは不思議なぐらいであった。

着いた所は、ラヤンラヤンというゴム林で、そこが私達の収容所であった。

到着早々、休む暇もなく尋問が始まって、一人づつ個々に調べられる事になった。

特に、戦闘に関しての事を訊かれたが、私達初年兵には、何にも心配もなく終わったのである。

尋問は、一応何事もなく終わり、身体検査と所持品調べになった。

越中褌だけの裸で、野戦郵便貯金通帳を褌の紐に挟んで、他の私物品も調べられた。

腕時計やライター等の珍しいものは殆どが取り上げられて、残されたのは、背嚢と軍服類と毛布に日用品ぐらいであった。

こうして、最後の事情聴取と検査も何とか済んだが、戦犯は、連合軍の判断で三段階に分けられた。

ブラックとグレーとホワイトの三通りのテントがあったが、運良く私達初年兵はホワイトのテントに入れられた。

もし、ホワイト以外のテントならば、重労働が科せられたのである。

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