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スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」

2011-04-19 23:59:21 | アート


この絵との出会いは、たしか、「日曜美術館」のオープニング画面だったように記憶する。
小学生の頃に。
有名な絵なので、美術の教科書でもとりあげられていた。

大人になって、パリのプティ・パレで、スーラの大回顧展を見る機会を得た。
そこで、スーラを、スーラを通して絵を制作する姿勢を再確認した。
スーラは、その緻密な技法上の理由もあって、下絵を念入りに何枚も描いていた。
その多さに、完成度を上げるための執念の深さに、驚愕した。
充分に構想を練って、構図と色彩の計算をし尽くして、本画に挑んだのだ。
どの画家も、そうあるべきとは言わない。
だが、彼の作品を作り上げる真摯な姿勢に、自らの甘さといい加減さを思い知らされ、反省したのであった。
かといって、そこまで厳しくなりきれるのはとても難しく、スーラを戒めの師一人のとして、心の一角に住んでいただいている。

スーラは、「新印象派」「点描主義」といわれる。
ほかに、ピサロやシニャックがいるが、点描の細かさでは、断トツだ。
細かすぎる点描は、ややもするとグレートーンに陥りやすいが、この「グランド・ジャット島の日曜日の午後」の関しては、この罠に嵌ってはいない。
彼は、この1点の絵で、確実に絵画史の表舞台に燦然と輝くポジションを得たのだと思う。