rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

画家のなかの画家、ディエゴ・ベラスケス

2013-12-31 23:42:25 | アート

The Rokeby Venus


Príncipe Baltasar Carlos a Cavalo

今年ももうあと僅か、やはり好きな絵で締めくくらないと気持ちが落ち着かない。
17世紀スペイン・バロックの巨匠、マネに「画家のなかの画家」と言わしめたディエゴ・ベラスケス。
スペイン宮廷の役人も勤めながらの制作は彼を寡作に陥れたが、その作品の完成度は申し分ないものであった。
宮廷画家ゆえ、多くは国王や王族の肖像画が大半を占める。
しかし、その絵は、卓抜した技術や人となりを伝えるだけには終始しない広がりを持っている。
絵の持つ気品ともいうべきものか。
いや、静かな永遠性を湛えているのだ。
本物の王道が、そこにはある。
なりたくてもなれない稀有な境地だ。
ベラスケスの絵の前に立つと、心の池が沸き立ちざわめき、目の奥が熱くなってくる。
数多素晴しい絵はあれども、ここまで心を揺さ振る絵はそう多くない。
私も1枚でいい、誰かの琴線を震わすことの出来る絵が描けたらどんなにかいいだろう。
諦めずに希望を持ち続け、進んで行こう。
美の力を信じて。

餅・セリ・レンコン・ミツバ

2013-12-30 22:34:03 | 食べ物たち
今日は、正月用の餅をついた、例によって約30キロ。
もち米は2日前に研いで水に浸してあった。
今朝は強い冷え込みで外井戸の水道が凍っており、ようやく8時過ぎに水が出るようになる。
一家総出の6人係り、といっても子供たちは竈の焚き付けを少し手伝った程度だが。
釜にお湯を沸かして蒸篭を載せてもち米を蒸かす。
餅つきのちょっとした楽しみに、蒸かしあがったもち米のおにぎりを食べることがあるが、今回もまた皆1つずつ塩だけのシンプルなおにぎりを頬張った。
午前中かかって餅つきをし、お昼はつきたての餅で雑煮を作る。
鶏肉と長ネギの旨みと香りの良い汁に、白い餅が美しい。
今日の餅つきは天気に恵まれ早くできたと感想を述べ合いながら、雑煮とあんころ餅を食べた。
古い母屋の座敷には、お供えの鏡餅と丸餅、伸し餅、紫蘇の実漬けを入れた餅、うるち米を4割混ぜた”たがね”の紫蘇と青海苔にゴマの餅たちが、筵の上にねかされている。

夕食には、知り合いの農家の方々に頂いたレンコンで作ったきんぴらや、セリをふんだんに使った豆腐の味噌汁など、旬の野菜たちが食卓を豊かにしてくれた。
明日は、採れたてのミツバを卵で閉じた澄まし汁に舌鼓を打とうか。
それとも、鴨そばに彩として添えようか。

日本の大方の田舎では、餅つきは大切な行事、ちょっとした祭りなのだと思っている。
しかし、最近では食生活の多様化、家族の少人数化、餅信仰の希薄化に伴って、田舎での餅つきも衰退の一途を辿っているように思える。
近所のスーパーには、ビニールパックに入ったつきたて餅が売っていた。
反面、ホームセンターには大き目の餅つき機も積み上げて売られている。
餅信仰が、餅つき文化が、いま崖っぷちにいるように感じた。
私も20年後自分で餅をついているかと考えれば、たぶんしていないだろう。
時は流れ、人の暮らしも価値観も変わっていく。
それを批難することは、誰も出来はしない。
米信仰、米文化の頂点を占める「餅」は、人の手から機械へと受け渡されることに。

思い立ったが吉日、鹿島神宮

2013-12-29 23:34:38 | 旅先から
朝からよく晴れて気持ちの良いドライブ日和。
昨夜テレビでやっていた鎌倉特集を見て、家人がブツブツつぶやく、「明日は鹿島へお参りに行こうか・・・」と。
それで、今日は鹿島神宮へ子供たちを連れて出かけた。
大晦日と元日を明後日に控え、神宮近辺は参拝客受け入れの準備を始めていた。
年も押し迫った日曜日にしては、思いかけず参拝客がいる。
まずは水舎で禊をし、子供たちを引き連れ、「二礼 二拍 一礼」と丁寧に参拝してあるく。
もちろん「要石」のところにも行き、来年9月に行われるもう一つの要石のある香取神社の祭神が水上で出会う
御船祭(おふなまつり)の話をした。
この祭りは、12年に1度、午年に行われるもので、家人と私にとっては縁のあるものに思えてならない。
出来ることなら一度は見てみたいものである。
そして最後に御手洗池まで行き、参拝の全行程をこなした。

帰りに、神宮近くのコンビニに寄り軽食用の食べ物を買い、おなかが空くと頭痛を起こす家人は駐車場で食べていた。
すると、駐車場にひょっこり現れた三毛猫が、家人の食べているパンをねだってにゃあにゃぁ可愛い声で鳴いている。
家人によっていく動物はあまりいないので、食べ物狙いなのだろう。
食べ物に執着している家人のことだからきっと分けてあげないだろうと見ていたが、3口分ほど与えているではないか。
どうした風の吹き回しかと訊ねれば、「神様に参ってきたのだから、ご利益のおすそ分け」なのだそうだ。
それもあるだろうが、空腹を抱えた獣同士の憐れみといったほうが近いかもしれない。
ともかく、今日の鹿島参りは、家人の第六感によるものだから、その行為は叶ったものだったに違いない。

原生林かと思うほどに古い木々が生い茂る鹿島神宮の境内を歩くのは、とても気持ちのよいものだ。
よくぞ守っていてくださると、人々の信仰心と努力に頭が下がる。
どうかこれからもこの素晴しい木々たちを守り育てて欲しいと願う。
だからまた来よう、1400年の歴史を持つこの古刹に。

台湾の台北

2013-12-28 23:18:16 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」台湾第一の都市台北。
台北の新しいシンボルの台湾101は、509メートルの世界第三位の高さを誇る高層ビル。
迪化街(パーピーリャオ)は、レンガ造りの建物が並ぶレトロなエリア。
龍山寺(ロンサンスー)は、270年以上前に建てられた、台湾最古の歴史を持つ。
度々の戦火や天災により破壊され、現在のものは第二次大戦後のものだ。
この寺院は、月下老人(イェシャーラウラン)の持つ赤い糸が縁結びのご利益があるとして、絶大な人気を持つ。
「彰藝坊」(サンイーファン)は、古典人形劇「布袋戯」(ブーダイシー)から伝統的部分を現代にアレンジした雑貨の店。
台北は、現代的な街並と古いアジアンティックな街並みと文化が同居する活気溢れる街。

では、台北のグルメ。
「福州元祖胡椒餅」(フーゾーイェンズーフージャオビン)は、豚肉の部位の違う2種類の肉と青ネギを生地でくるんで釜の内側に貼り付けて焼く饅頭「胡椒餅」(フージャオビン)が美味しい店。
パリッとした饅頭の皮と溢れ出る肉汁が、たまらなく美味しそうだ。
西門町(シーメンディン)にある「阿宗麺線」(アーソンミェンシェン)は、そうめんのように細い麺「麺線」が定評の店。
この麺は、カツオ出汁のスープで麺を煮込み、豚のモツをのせて、好みでニンニクや唐辛子・黒酢をかけてで
食べる。
「民生炒飯」(ミンシェンザォファン)は、美味しい炒飯の店としてネットで11万人から見事1番に選ばれた店。
特徴は、油を少なめに調理師、飽きのこない味にしている。
この店一押しの炒飯は、菠蘿炒飯「パイナップル炒飯」で、酸味と甘みのあるパイナップルがアクセントになり、最後に振り掛ける乾燥豚肉のそぼろが味の決め手となっている。
旅の醍醐味の中に食べることがあるが、台湾、台北は実にそそられる街である。

台北から北へ来るまで1時間にある烏來(ウーライ)は、温泉スポット。
河原に湧き出た温泉を無料で楽しめる。
温度が熱いので、すぐわきに流れる川に入って身体を冷まし、また温泉に入れる天然温泉地。
さらに北の基隆(シーロン)は、台湾北部の港町。
台湾の街のお楽しみに夜市がある。
ここの夜市は、海鮮グルメが楽しめる。
タコの足焼き、カニのから揚げもシンプルで美味しいが、台湾風おこわ「油飯」とカニスープセットが絶品。
この油飯は、油が多く硬めなので、とろみのあるスープと共に食べると食べやすい。

台湾の男性は、緑色の帽子を被らないのだそうだ。
その昔女性に養ってもらう男性は緑の鉢巻を締める慣わしがあり、それが軟弱な男性の象徴として今も残っているからなのだという。
この風習は、中国の一部にもいまだに残っているらしい。
しかし、ところによって、男達は働かず日がな一日煙草をふかしては談笑し、女達が力仕事も全て行うところがある。
それを、女性蔑視や隷属化と一方的価値基準で非難することは出来ない。
風土によっては、それが合っている場合もあるだろう。
男女平等といっても、生まれ持った体の構造による差異はあるのだし、それによる向き不向きの生じる。
その差を均一化にするのが平等ではなくて、その差を補うよう互いの長所を生かすべく力を尽くし、短所を否定しないというのが真の平等だと思うのだ。
もし女性が生活力が高いのであれば、それに遇する男性は女性を助けるべく出来ることをなすべきで、それは少しも恥じることはない。
時代と共に人の価値観や生き方は変わっていく。
台湾の男性が緑の帽子を被る日も、そう遠くないのではないだろうか。

3つのシューマン”トロイメライ”

2013-12-26 22:26:13 | 音楽たちークラシック

Horowitz plays SchumannTraumerei in Moscow


Mischa Elman plays Schumann's Traumerei


Träumerei, from Kinderszenen, op.15 - Robert Schumann

シューマンの”トロイメライ”は、甘くロマンチックな名曲として広く知られている。
もともとピアノ曲であるが、ヴァイオリンやギターでの演奏もある。
いずれも甲乙附け難く、その時の気分によってどの楽器の演奏で聴くか決めるようだ。
今日のような曇りで寒い日には、素朴な温か味のあるギターの”トロイメライ”がなかなかいい。
ホットミルクを注いだマグカップを両手で包み込むように持ち、手を温めながら聴くのだ。
そうしてこの一年を振り返りながら、来年を夢想するのだ。