わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 166 大きな作品はなぜ難しいか1?

2015-07-18 17:35:30 | 素朴な疑問
当然の事ですが、焼き物(陶芸)の作品は、大きいから価値がある訳では有りません。

使い勝手の良い物は、その用途によって適度の大きさがあります。大きな物は展示用などの他、

大勢人が集まった会場や食事、葬儀の花瓶など、特別な場所や特別の時に使われる場合が多いです

それ故大きな作品は使う機会も少なく、作る事も少なくなり勝ちです。しかし、大きな作品を作る

事は、今まで行ってきたやり方では通用しない場合も多いです。

技術力をアップさせたいと思っていたならば、是非大きな作品に挑戦してください。

小物ならば、どうにか処理できる事でも、大物になると狂いが出たり、割れが発生したりする他、

焼成でも失敗する事が多く、小手先では対応できなくなる事があります。

但し、焼く窯があるのが前提で、自分で大きな窯が無い場合には、どなたかに依頼する事になります。

又、窯に収まる範囲の大きさしか作る事が出来ませんから、注意が必要です。

1) 大きな作品は、横方向もそれなりの困難がありますが、縦(高さ)方向に背の高い作品の方が

  より難しくなります。即ち上に乗る重量が大きくなる為、それに耐える強さが必要に成るから

  です。又、作品の狂いも発生し易くなります。

  尚、展示用の大壷などでは、高さが50cm以下が多いです。 大皿なども直径60cm以下が

  多く見受けられます。それ故、ここではこの大きさを一つの目安として考えたいと思います。

2) 大きな作品はどの様に作るか?

 ① 手捻りで作る場合、特に形に拘りなく、大きな作品を作る事が出来ます。

  a) 多くの場合、土を継ぎ足す事で大きな作品に仕上げます。但し、重量の大きい作品は、

   上部の重みに耐える様にする必要があり、その為、肉薄に作る事は難しく肉厚に成り易いです

   又、全体を軽くする為に、強度に関係しない場所はなるべく肉抜きを行います。

   肉抜きの方法は、透彫を施したり、壁の厚みを薄くします。場合によっては筋状の補強(リブ)

   を施し、その周囲を肉抜きします。但し、窯の中や、焼き上がった後でも、安定して置ける

   事が条件になります。高さや台座(底径)のみでなく、左右のバランスを保つ事も大切です。

  b) 部分的に作ってから、各部分を組み立てて大きな作品にする事もあります。

   全体の構想がしっかりし、図面化されていれば、各部品をバラバラに作っても、全体の構想を

   損なう事は少ないです。短期間に仕上げるには向いている方法です。

  c) 下(又は上)部から順番に作り上げる方法もあります。一般的な方法です。

   下部をある程度乾燥させ、その上に土を載せても崩れないと判断できれば、その上に土を

    載せて形を作ります。土の強度を持たせる為、叩き棒で表面を叩き土を締めます。

  d) 全体を作り上げてから、分割して窯に入れる方法があります。

    陶壁と呼ばれる作品は、全体を作り終えた後、各部分を切断する方法が取れられます。

    一塊の状態の方が、全体の形を把握し易い為です。但し、素地が乾燥し過ぎると切断し難く

    なり、もろくなり、壊れ易くなりますので、注意が必要です。

 ② (電動)轆轤で作る場合、ある程度形は限定されます。

  a) 代表的なのが、大皿、大鉢、壷、甕(かめ)、花瓶類で円形を基本とした作品になります。

   轆轤で作る場合、一塊の土から一気に作品に仕上げる方法と、土を後から継ぎ足す方法と、

   土を分割し別々に作り、繋ぎ合わせる方法などがあります。当然一気に挽き上げる方法では、

   大きさに限度があります。

  b) 轆轤作業では、使用する粘土の量により、作品の大きさは大きくなりますが、ある一定量以上

   になると、作品を高く大きく出来なくなります。その高さはその人の技量によります。

 ③ 手捻りと轆轤を組み合わせて作品を作る方法。

  a) 一般に、大きな作品を作る時に使われる方法です。但し、最終的には、轆轤作業ですので、

   作られる作品は上記②と同じ事になる場合が多いです。

  b) 土の種類によっては、轆轤で十分土を伸ばす事が困難な物もあります。その際、紐作りの

   方法で土を巻き上げてから、轆轤挽きして成形します。

以下次回に続きます。
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