わ! かった陶芸 (明窓窯)

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 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 45 なぜ底割れが起きるか1?

2014-12-09 22:11:06 | 素朴な疑問
底割れは、比較的多く起こる現象です。特に底の広い作品や、轆轤挽きした作品に多く発生します。

底割れは、素焼きや本焼きで起こる事もありますが、圧倒的に素地の乾燥時に発生する事が多いです

素焼きや本焼きで突然発生した様に見えますが、実際には乾燥時に確認できない程度の「ひび」が

すでに起きている結果、焼成でよりはっきりと出現する事になります。

例え成形が無事に終わっても、安心は出来ません。乾燥時に突然底割れが現れる事も珍しくは無い

からです。多くの場合、大きく底割れが発生した後に見つける事になります。

又、底割れを起こし易い人もいます。底割れの原因はある程度判明し予防できるのですが、なぜか

どうしても一人の人に集中して起こり勝ちです。多分その人独特の「癖」や習慣が関係していると

思われます。

尚、「底割れ」に付いては、以前に何度か述べていますので、重複するかも知れません。

ご了承して下さい。

1) 底割れの特徴。

 ① 底の中央付近に、一本の直線又はやや曲た線として現れます。割れがひどい場合には、底を

  数mmの幅の溝が貫通しています。程度が低い底割れの場合は、主に内側の中央部分に数cmの

  長さで「Iの字」状に現れます。

 ② 小さな「ひび」が成長して「割れ」へと発展して行きます。

  轆轤挽き直後の濡れている作品には、「ひび」は入っていません。例えこの段階で「ひび」に

  気付いていれば、「皮」や指で撫ぜて補修する事ができますので、「割れ」まで成長する事は

  有りません。

 ③ 一度発生した底割れは、の補修はかなり難しいです。

  ) 素地の乾燥と伴に「割れ」は発生しますので、「割れ」始めを見つける事は中々困難です

   なぜなら、制作し終えた作品を常に監視している事はほとんどありません。

  ) 乾燥以前であれば、「ひび」の周囲の土を「ひび」の方に移動させて、補修する事が

   出来ますが、乾燥している状態では、周囲の土の移動が困難ですので、その「割れ」た部分に

   同じ土を盛る事に成ります。

  ) 当然盛った土は柔らかいですし、乾燥の進んだ作品との収縮に差が出てきます。

   即ち、後から盛った土は大きく縮む事になります。その為、補修しても補修部分に、更に

   「割れ」が起る事になります。

   要するに、確実に「割れ」の溝に新たに土を充填する事ができませんので、補修できない

   訳です。数度の補修を繰り返す事で、どうにか素地の段階での「割れ」を補修できても、

   本焼き時には、作品が縮みますので、弱い補修部分に「割れ」が発生します。

  ) 素地の乾燥時に「割れ」が見付かった場合、素焼きに進まずに、この段階で「お釈迦」

   にします。素焼きを行うとより悪い結果になるからです。この段階ならば、素地を再生する

   事が出来るからです。

2) 底割れの原因は、乾燥時と本焼き時に土が縮む事が原因です。

 ① 土が縮む原理は乾燥時と本焼き時では、若干の違いがあります。

  ) 乾燥と伴に素地の水分は、徐々に蒸発して行きます。同時に体積を小さくしようとする

    現象が起こります。

  ) 体積を小さくする際、各粘土粒子は中心に向かう力が働きます。その為、各粒子は綱引き

    の様に引っ張り合います。引っ張り力の弱い処は、両側から引っ張られ股裂き状態になって

    「ひび」が入り、やがて大きく成長して「割れ」と成って現れます。 

  ) 乾燥時には水分が関係していますが、本焼き時の収縮は水分とは関係なく、粘土自体の

    質的変化の結果起こります。

以下次回に続きます。
  
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