わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

本焼きの注意点1(温度を上げる)

2009-06-29 22:36:07 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
本焼きの方法については、焼成の仕方、窯の大きさ、窯の構造、燃料の差、窯の焚き方など、

人により、そのやり方に、違いが有りますので、ここでは省略いたします。

一般的な注意点を、お話したいと思います。

1) 本焼きで、一番重要な事は、設定温度(必要な温度)まで、温度を上昇させる事です。

  設定温度とは、

 ① 釉が完全に、溶けた状態になる、温度です。

 ② 土が実用に耐える程度、焼き締まる、温度でもあります。(釉を掛けない場合)

   温度が低すぎると、釉が熔けずに(ガラス質にならず)、表面が、ザラツキます。

   熔け不足は、以下の場所で、起こり易いです。

  ) 作品の、外側片面が、熔け不足。

  ) 作品の、内側が、熔け不足。

  ) 背の高い作品では、下部が、熔け不足。

  ) 釉を厚く塗った所が、熔け不足。

  Ⅴ) 全体が、熔け不足。

 熔け不足の原因は、勿論温度が低い為や、「ねらし」時間が、短い為ですが、

 (「ねらし」:設定温度で、数十分一定に保つ方法)

 それ以外に、炎の流れ、温度の伝わり方に、問題が有る場合も多いです。

 ② 熔け過ぎに、注意。

   特に流れ易い(流動性のある釉)や、釉単体では、流れないが、二重掛けすると、

    流れ易くなる釉も、有ります。

   又、釉を厚く掛けて、長時間高温に、晒された場合にも、起こります。

  ) 流れた釉は、棚板に流れ出し、作品が、取れなく成る場合も、有ります。

  ) 釉が煮えた状態となり、釉中に、気泡や、気泡が逃げた痕で、出来上が、綺麗ではありません。

 ③ 窯の中の温度を、なるべく、一定にする。

   倒炎式の窯は、比較的、窯全体の温度が、一定に成り易いですが、窯の大きさや、窯詰めの

   状態などで、窯の中の、温度分布に、バラツキが出る事が、有ります。

   その為、熔け不足や、熔け過ぎが起こり勝ちです。

  ・ 窯の焚き方を、色々工夫して、均一にしたい所ですが、不可能な場合には、釉に強弱を

    付ける事も、必要です。(一般的な釉は、1230~1250℃が多いです。)

    強い釉:比較的高い温度で、熔ける釉薬 (1250℃、1280℃など)

    弱い釉:比較的低い温度で、熔ける釉薬 (1180℃、1200℃など)

    尚、低い温度の釉は、市販されてもいますが、一般的な釉に、酸化亜鉛(亜鉛華)、灰、石灰分、

   アルカリ分(Na、K、Ka、など)を多く入れ、自分で必要な温度に、調合する事も、可能です。
    
   この調合した釉を、熔け不足や、解け過ぎが、起き易い場所に置く、作品にかけます。

参考までに、例えば、1230℃の釉は、その温度に成ると、急に熔け始めると言う訳では有りません。

1230℃以前に、作品表面より、少しずつ熔け始めます。そして1230℃で、ある時間持続すると、

釉が完全に溶けると、言う事です。

即ち、決まった融点(固体から液体に成る、境目の温度)は有りません。その近辺で、熔けると言う

事です。それ故、ガラスは、化学的には、液体に分類されます。

以下次回に続きます。

陶芸の本焼き 

窯焚き 温度上昇
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