わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 83 窯を開けるまで解からない?9

2015-02-22 22:31:13 | 素朴な疑問
3) 焼成方法や焼成温度、焼成雰囲気に関する事項。

 ⑨ 窯出し。

   一般に窯は、特別な場合を除き、自然冷却するのが普通です。

   外気温と完全に一致するまで、冷却するには相当長い時間が掛ります。但し、そうする利点は

   ほとんど有りません。尚、冷える速度は窯の容量と、壁の厚さに関係し、外気温は僅かです。

   逆に扉を開けるのが、早過ぎる場合には問題が発生します。

  a) 窯の扉は何度に成れば可能か?

   イ)ある人は窯の温度が300℃を切れば良いと言う人もいます。但しこの場合は、あくまでも

    扉を開ける事であり、窯出しの意味ではありません。窯の扉を開ける事で、冷却スピードを

    速めるのが目的です。

   ロ) 300℃以上で強制的に窯の扉を開けた場合、作品が割れる恐れがあります。例え割れない

    としても、釉に貫入(ひび)が入り易くなります。逆にこの現象を利用して、貫入の入った

    作品に仕上げる事もできます。

   ハ) 窯出しの温度の違いによって、上記貫入現象を除いて、釉の発色の違には、ほとんど関係

    しません。

  b) 窯出しの温度。

    一般に100℃を切った状態の時に、窯の扉を開け直ぐに窯出しを行います。

   イ) 窯の扉を開けると、外気が入りどんどん温度は下がります。但し作品は100℃近くの温度

    ですので、火傷をしない様に、必ず長袖のシャツと軍手などの手袋を使う必要があります。

   ロ) 窯の中でも、上部は100℃近くの高温ですが、下部は数十度下がっているはずですので、

     出来れば、下部の作品から窯出しする方が良い様です。但し、上扉の場合には、上から

     窯出しを行う事に成ります。

   ハ) 人が窯の中に入って窯出しを行う窖窯(あながま)等の場合には、窯の温度が約40℃

     以下に成らなければ危険です。

  c) 窯出し時の注意点。

   イ) 焼き上がりを確認します。窯の扉を開ければ、自然と窯の中の様子を知る事が出来ます。

    壊れた作品や、倒れ掛かった作品、釉が棚板まで流れ落ちた作品、更に釉の色具合などが

    目に入ってきます。大きな窯の場合には、奥の作品は見えませんが、おおよその事は予想

    出来るはずです。後で記録し参考にする必要がありますので、全体の様子を見てから本格的

    な窯出しに入ります。

   ロ) 作品は両手で取り出す。窯詰めした時より、作品は焼き縮んでいます。作品間の隙間は

    広がっていますので、両手で掴めるはずです。片手の場合手が滑って取り落としたり、

    隣の作品や窯の壁などにぶつかり、破損する恐れがありますので、慎重に外に出します。

   ハ) 意外と多い事故に、棚板の裏側に支柱が貼り付き、棚板を外に取り出す際に、支柱が

     棚板から剥がれ、下の作品の上に落ちる事故です。その際、作品が棚板上から落ちたり、

     作品の角が破損し易いですので、支柱が貼り付いていない事を確認します。

   ニ) 釉が棚板まで流れ落ちている場合は、棚板ごと外に取り出します。

     棚板には、アルミナコーチングが塗ってありますので、棚板の後ろから木槌などで叩くと

     割合簡単に剥がれます。但し、作品の底には、コーチングがこびり付いています。

     こびり付いた物は、「グラインダーやダイヤモンドヤスリ」等で削り取る事に成ります。

     又、作品同士がくっ付いてしまった場合でも、外に出してから離す事です。

     多くの場合、一方は助かりますが、他の片方は壊す事が多いです。

   ホ) 作品は一つづつ「割れやひび」の有無を確認し、釉の熔け具合や発色も確認します。

     大切な事はその作品がどの釉を掛け、どの位置で焼成したかと言う事です。次回の参考

     に成ります。

   ト) 窯出し場所が狭い場合には、窯出しした作品を重ね合わせる事です。その際、作品間に

     紙を一枚敷いておくと、作品同士が直に接触せず傷付く事はありません。

     又、窯出し直後の作品は、雨に当てない事です。

   チ) 窯出し直後に「ピンピン」と音がします。これは外気温に触れて、釉が収縮し貫入が

     入る事でおきます。窯出し直後が一番多く、次第に少なくなりますが、4~5日後でも

     鳴る場合があります。

 ⑩  窯出し後の処置。

以下次回に続きます。
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