わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 189 乾燥すると変形する理由。

2015-10-28 16:24:48 | 素朴な疑問
粘土で作った作品は、乾燥するに従い、思わぬ形に変形する場合があります。

可塑性を持つ為には、粘土が適度に水分を含んでいる必要があります。乾燥とはこの水分が蒸発し、

可塑性が消滅した状態を言います。実際には、可塑性が無くなってからも作品は若干縮みます。

作品の含水量は、手捻りよりも、轆轤挽きした直後の方が特に大きいです。それ故、手捻りに比べ、

轆轤挽きした作品の方が歪み易いです。その他の理由として、肉厚との関係もあります。

1) 作品は作品完成直後より、乾燥と共に縮み始めます。

 ① 縮み率(量)は制作直後が一番多く、少しづつ量は小さくなっていきます。

  ) 乾燥する方法には、室内に置いて自然乾燥させたり、外に置いて自然の風や日光に当て、

   やや強制的に乾燥させたり、温風器で半強制的に乾燥させたりする場合があります。

  ) 作品の歪みを少なくするには、室内に置いて自然乾燥が一番向いています。半又は強制

   的に乾燥させれば、作品にストレスを与え、変形する恐れが多いです。即ち時間を掛けて

   ゆっくり乾燥させれば、歪み(変形)も少なくなります。

  ) 細目の粘土は粗い粘土より、変形する割合が多いかも知れません。

   粒子が細かい粘土は、粗い粘土より収縮率が大きいのが普通です。但し、細目の粘土は粒子間

   の隙間が少ない為、乾燥がやや遅くなり勝ちです。それ故、変形に対してどちらが良い悪い

   とは、言えないかも知れません。但し、細目粗目に関係なく乾燥し易い土と、乾燥し難い土が

   あるのは自明な事です。

 ② 作品が歪む原因。

  ) 乾燥が均一でない場合。

   a) 上下で乾燥するスピードが異なる。

    当然、作品の上部が早く乾燥し始め、次第に下部へと乾燥が進みます。原因は作品の水分が

    引力に引かれ下部に移動する為と、上部の方が若干温度(室温)が高い為です。

    上下の乾燥速度の差は、特別な形(左右非対称形など)でなけれ作品が歪む事は少ないです。

    但し、底の乾燥が遅すぎる場合、底割れの恐れがありますので、注意が必要です。

    この底割れも、作品の歪みと関係があります。

   b) 円周状で乾燥に差が出ると、作品は歪みます。

    ・ 直射日光や一方からの温風による乾燥の仕方では、必ず作品の形は歪みます。

      それを防ぐには、常に又は時々作品を回転させ、均一当てる様にします。

    ・ 円周状で肉厚に差があると、作品は歪みます。

      例え、自然乾燥であっても、いわんや半、又は強制乾燥であっても、円周状に均等の

      厚みでなかった場合、作品は歪みます。即ち、肉厚の薄い処から乾燥が始まり、徐々に

      周囲が乾燥します。更に、口縁が極端に肉が薄い場合には、慎重に乾燥させたとしても

      どうしても、乾燥に偏りが出易いです。それ故、口縁はある程度肉厚にして置く事です。

    ・ 粘土(作品)は引っ張り合いながら縮みます。当然肉厚が薄い処は、他の場所より早く

      乾燥し、周囲の粘土を強く引き付けます。その為、乾燥の弱い処(肉厚が厚い部分)

      は一方に引っ張られ、変形する事になります。轆轤でまん丸に挽かれた口径も歪んで

      楕円形になる場合もあります。

  ) 修正は早めに行う事。

   a) 乾燥と共に可塑性は減少しますが、速い段階ならある程度修正する事が出来ます。

    但し、轆轤引きの際切糸で切り離した後ですと、轆轤上に再セットが難しいですので、

    手で修正する事になります。

   b) 粘土の記憶性の為、修正しても元の歪みに近付く事がありますので、強めに修正する事

    です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 素朴な疑問 188 手慣らしは... | トップ | 素朴な疑問 190 底削りの際... »

コメントを投稿

素朴な疑問」カテゴリの最新記事