わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る49(蓋物7、土瓶と急須、宝瓶1)

2013-03-29 17:15:23 | 陶芸入門(初級、中級編)

土瓶(どびん)と急須及び宝瓶(急須の一種)は、お茶(緑茶、日本茶)を煎れる道具ですが、近年

緑茶を煎れる家庭も少なくなっている様で、ペットボトル入りの日本茶類も多く出回っています。

特に、今では特殊な場合(松茸の時期)を除き、土瓶を見る機会はほとんど無くなってきています。

土瓶自体が重い事と、使用勝手が悪い為、他の道具に取って替わられたと思われます。

但し、陶芸をされている方は、急須を必要としなくとも、一度は、作る事をお勧めします。

急須作りには、本体、取っ手、注ぎ口、蓋作りと、これらの部品を組み合わせて作品に仕上げるという

陶芸の色々な技術が濃厚に凝縮されているからです。

前置きが長くなりましたが、本日の本題に入ります。

土瓶や急須、宝瓶(ほうびん)はお茶を煎れる役目がありますが、それらの道具には、幾つかの

違いがあります。

1) 土瓶と急須、宝瓶の違い。

  ① 形の違い。

   ) 土瓶は器の上部に蔓状の持ち手が付いています。

      一般に持ち手は可動式で、横に倒せる構造になっています。更に、熱が取っ手に伝わらない

      様に、植物の蔦(つた)などの蔓(つる)が巻かれています。

   ) 急須は器の側面に棒状の持ち手が固定されて付いています。

      轆轤成形が一般的な作り方です。

   ) 宝瓶は楕円形又は卵型の器で、片手で鷲掴みする様に持ちますので、特別に持ち手は

      ついていません。但し熱湯の温度が手(指)に伝わらない様に、持つべき処は肉厚を二重

      にしたり、滑り落とす事が無い様に工夫されています。

      宝瓶は、手捻りで作る事が多く、本体と注ぎ口は一体で、本体と蓋の二点から成ります。

   ) 使い勝手の違いで、蓋の構造にも差があります。

      即ち、お茶を注ぐ際、本体を傾けますが、土瓶は蓋を押さえる事は少ないですが、急須は

      反対の手で押さえて注ぎます。その為土瓶では、蓋が簡単に落ちない構造にする必要が

      あります。宝瓶の場合では、器を鷲掴みする際に、同じ手の手の平で蓋を押さえる事に

      成ります。

  ② 大きさの違い。

    ) 土瓶は、急須程度の小型の器から、一度に10人以上の人がお茶を飲める、大容量の

       器など多くの種類が有ります。大物であっても持ち手が器の中心(重心)にある為、安全に

       持ち運びや取り扱いができます。

       ) 急須は、お茶が湯飲みに1~2杯程入る容量です。持ち手の部分が器の重心から離れて

       いる為、容量の大きな急須は見かけません。

    ) 宝瓶は、片手で鷲掴みして使いますので、必然的に小型の急須程度の大きさになります。

  ③ 用途の違い。

    ) 土瓶は当初、薬缶(やかん)と同じ様に、薬(漢方薬)を煎じて飲む為の容器でした。

       やがて煎茶を飲む道具として使われる様になり、更に松茸の土瓶蒸の容器としても

       使われています。

       その為、直接火に掛ける事も可能で、場合によっては酒も温める(お燗)事もした様です。

       尚、特別大きな土瓶は飾り物として置物や、花器として使用する場合があります。

    ) 急須と宝瓶は、煎茶を煎れる道具として使われます。

       他の用途に使う事はほとんどありません。

   ④ 作り方にも違いがあります。

     一般に、土瓶や急須は轆轤挽きで作りますが、宝瓶は手捻りで作る事が多いです。

 以下次回に続きます。

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