わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問 57 轆轤作業で筒上の際、高低差が出来る原因は?

2023-01-23 10:54:22 | 質問、問い合わせ、相談事

Shima様 より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を述べます。

 

こんにちは、初めまして。
教えていただきたいことがありコメントさせていただきました。

ろくろを使ってカップや器を作るときできた器のトップが斜めに出来上がってしまうことが多々あります。穴開けをするとき、上に伸ばすときなるべくゆっくりあげているのですがどこかで間違ったことをしてしまっているのでしょうか?

よろしくお願いします。

 

明窓より

轆轤挽の際、筒状の真上が一方に伸びて仕舞う事は、轆轤に不慣れな方には、一般的に

見られる現象です。

原因は幾つか考えらえます。

1) 土(粘土)の硬さが一定でない場合。

 土の硬さが一定でないと、柔らかい部分は多く伸び、硬い所は上に伸び難く成る為、

 高低差がでます。又気泡や異物が混入している場合も同様です。

 対策は、土を良く練る事です。

 一般には菊練りの技法を取りましが、土練機を使う方法もあります。

 手で練る際には、回数を多くします。

 当然ですが、練る前の土の硬さが均一である事が前提です。

 再生粘土を使う場合、特に注意が必要です。

2) 轆轤上の土の中央に穴が開いていない場合。

 中央に穴が開いていない場合は、一方が肉厚で、他方が肉薄になります。

 即ち、偏肉となり、肉厚部分は高く伸び、薄肉の場合は低くなります。

 原因は以下の場合が多いです。

 A)土殺しが不十分の場合。

  成形に取り掛かる前に、轆轤上の土が振れていないかを確認する事。

  左手で抱え込んだ際、手がピタリと止まっているかを確認します。

  (轆轤の回転方向を右の場合)慣れないと確認は意外と難しいです。

  多く見られる原因の一つです。

  確認が取れない場合、土殺しを続けます。

  指導してくれる方が居れば、その方に「ブレ」が無い事を確認してもらと良い。

 B) 土の中央に穴が開いていない場合。

  中央に穴を開けるには、両手で土の外側を包み込み、両方の親指を揃え、

  土の中央に指先を置き位置を決め、両方の親指で穴を少し掘り込み、その穴に水を

  少量流し込み、手の滑りを良くし、親指の届くまで掘り込みます。

  更に深く掘り込む場合には、右手中指を穴の底に置き、真下に掘り込み底の肉厚を残します

  次に筒の内径を必要な寸法に合わせます。決まれば、筒の内外と上部を両手の親指(内)、

  親指以外の指(外)、両指の間(上)で抑え込み綺麗な円と肉厚を調整します。

  この筒上げ前の準備が大変重要です。

 c)筒上げは両手を用いますが、その際手指を固定せる事。

  特に筒の外側の手が重要です。手の肘を体に密着し、振れない様にし、出来るだけ

  左右の指を連結し、その間隔(隙間)を一定に保ちながら上方に移動します。

 d)ゆっくり回転させる事は必ずしも良い事ではありません。

  ゆっくりさせる事はある意味、相手の狂いに合わせる事とも言えます。

  相手に自分の意志を伝える為(言う事を聞かせる)には、相手に合わせるのでなく、

  回転を若干早くし、狂いが追い付かない様にするのがベターです。

3) 高低差が出来る原因を見つける方法。

 A) 筒状に挽き上げた作品を、剣先や弓で垂直方向に切り裂く。

  高い所と低い所を結ぶ線状で二分します。その端面を確認します。

  端面の左右の肉厚に違いがあるか。端面が一定の厚みに成っているか?

  途中の厚みが不連続な場合、そこに不必要な力が掛かった事に成ります。

 B)筒の途中の円周方向を切断する。(輪切りにする)

  円周上で肉厚に差があるか確認する。肉厚の部分が高く成っているはずです。

  これは、土の中心が出ていない証拠にあにます。

 c)高さの狂いは剣先や弓で切り高さを揃えますが、再度の引き上げで同じ様に狂う

  場合には、肉厚に差がある証拠です。

色々述べましたが、ご自分で原因を見つけて対処して下さい。

数多く轆轤を回す事が、上達の秘訣です。

以上  

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質問56 黄瀬戸が伊羅保みたいに成るのわ?

2022-12-11 16:22:47 | 質問、問い合わせ、相談事
(イチカワ)様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。
黄瀬戸釉が伊羅保みたいになってしまう 
何度焼いても上手くいかない「黄瀬戸釉の調合と焼成の仕方」についてご教授お願い致します。

土灰・長石・藁灰・白石灰石・黄土を調合して黄瀬戸を作りました。
一回目の焼成の時には、艶が少なめで若干乳濁している理想の黄瀬戸になりましたが、
同じ釉薬で2度目に焼成したところ、焼き上がりが伊羅保のようにイライラが出てしまい困っています。


焼成は1225度、15時間程度
釉薬は薄掛けにしました。
粘土は古陶信楽の小粒や石なしを使っています。

色々調べましたが、黄土の量が多いのでしょうか?
それとも、他に原因がありましたらそちらも含めぜひ教えていただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

明窓窯より

1)黄瀬戸は所謂(いわゆる)油揚手と呼ばれ、艶消し釉で微細な結晶が折出 している物が良いと言われています。

表面がややザラザラした肌ざわりです。

2)伊羅保釉は、鉄分の多い結晶釉で、黄瀬戸と同様に黄褐色や茶褐色ですが、やや光沢があり、釉が筋状に流れる事が多いです。

3)黄瀬戸釉は鉄釉ですが、鉄分を弁柄、赤土、黄土、木灰(土灰等)等から選択します。

但し、発色させる為ですので、添加量は僅かです。

当然、鉄分の組成によって発色状態は変化します。

4) ご質問の原因は釉に拠る物と、焼成に起因する物とが考えらえれます。

 ⅰ) 釉に拠る物と思われる場合。

  イ) 艶消し(マット)が出難い場合。

   ・ テカテカ感が有る場合には、土灰を多くして釉を溶け難くする。

   ・ 石灰成分は釉を熔け易くする働きがありますのでやや少なくする。

   ・ 黄土の鉄分は釉を熔け易くする働きがあるので、適宜調節する。

   ・ 釉薬はどんな釉でも、薄掛けにすると茶褐色になる。その為施釉は   薄掛けにする。

  ロ) 伊羅保風に釉が流れる場合。

   ・ 焼成温度高い場合や焼成時間が長くなると、釉は流れ易く成る。

   ・ ねらし時間が長くなると、釉は流れ易くなる。

 ⅱ) 焼成に拠る場合。

   窯の大きさや種類、特に燃料などを使う場合には、焼成は何度行っても、同じ状態に焼き上がる事は稀である。

   一度焼成に成功したとしても、窯詰めや焼成方法、焼成時間その他の原因で、

   再現性が少ない。焼成記録が有れば前回と何処が違うかを確認する。

  ・ やや焼き不足気味の方が、黄瀬戸風になり易い。

  ・ 作品が安定的に焼き上がる為には、試行錯誤が必要になります。

  ・ 焼成条件が記載されていますが、窯の大きさ(作品の量)、電気かガス窯か酸化炎、中性炎、還元炎等により

   異なりますので、この条件から、当方で判断する事は難しいです。

以上 余り適切な答えとは思われませんが、参考にして頂ければ幸いです。

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質問55 電気窯の還元焼成で青磁は焼けますか?

2022-11-29 13:18:13 | 質問、問い合わせ、相談事
「あべ様」 より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。

電気窯の還元焼成で青磁は焼けますか?

東京で開催されている国宝展で、青磁の磁器を見て陶芸に興味を持ちました。

自分で青磁を作ってみたいと思うようになりました。

まず、陶芸教室なりに通って始めてみることが大事とは思っていますが、
まず情報収集というとこでインターネットを見ていましたところ明窓窯さんのブログを見つけ勉強させてもらっています。

1.青磁は、還元焼成という焼き方が必要で、電気窯では普通出来ない。

2.電気窯でもガスバーナーを使い、還元焼成できるものがある。
を知りました。

陶芸を始めたい目的は、「青磁を焼く」です。

電気窯の還元焼成対応品の情報は沢山あるのですが、「電気窯の還元焼成で青磁を焼いた」という情報はありません。

見つかったのは、「電気窯の還元焼成で青磁を焼くのは難しい」、「フチが黒ずんだりする」という情報です。

具体的な質問としては
「小型電気窯に還元用ガスバーナーを付けたもので、青磁や白磁は焼けるのか?」

「青磁を焼いてフチが黒くなるとはどういうことか」
です。

還元焼成により酸素不足の状態を作って、焼いている磁器にある酸素を取り出そうという考えはわかります。

そのためにガスバーナーで炎を送り、燃焼させることで酸素を吸い出そうという考えも理解できます。

しかし、なぜ「電気炉に突っ込んだバーナーの燃焼では青磁が焼けないか」の理由がわかりません。

もちろん陶芸教室に通って少しずつ覚えてというのも判りますが、ゴールを決めて進みたいのです。

もしガス窯でしや焼けないのならガス窯を持っている教室を選ばなければなしません。

自作青磁への路はどの程度厳しいのか知りたいのです。

インターネットには自作青磁と小型電気窯での還元焼成についての情報が少ないのは、結局それは出来ないからなのでしょうか?
お教え下さい。
よろしくお願いいたします。

明窓窯より

1)一口に陶磁器と呼びますが、陶器と磁器は材料や釉及び焼く温度が全く違 います。

 磁器は磁土(石の粉)で、陶器は粘土です、前者は石物、後者は土物と呼び区別します。

 石の粉のため、粘りも少なく制作に熟練を要します。

2)磁器の制作を伝授してくれる陶芸教室の存在は私は知りません。

 多分見つける事は困難かと思われます。一般に陶芸教室は陶器のみです。

3)磁器製作(形作り)は陶器と比べても大変難しく、又焼成温度も1300℃程     必要です。

 但し、半磁器土と言う材料を使えば、制作も磁器より容易で、焼成温度も低く抑える事ができます。白磁に近い色合いを出す事もできます。

4)一般の陶器であれば、1230~1250℃程度ですのが、磁器を焼くには、大変 な時間的な労力を必要とします。

 最後の50℃の温度上昇は大変です。

 尚、焼成時には、状況に応じて、酸化、中性炎、還元焼成に切り変える必要があります。

 最終時には酸化炎にします。いつまでも還元焼成が続と、釉に炭素分が残り、作品が黒くる場合が有ります。

5)又青磁は本来、鉄分を含む(数パーセント)釉を使い、鉄分を還元させて、発色させています。

 あの青は鉄の色です。

 釉の研究も大切で、自分なりの釉を作るには、無限の時間が必要かも知れません。

(例え良い先生に出会えても、秘伝の釉は教えってもらえないでしょうから)

 但し、陶器用の青磁釉は市販されています。この釉を使っても必ずしも良い色が出るとは限りません。

 ご質問の件ですが、電気窯で還元焼成が不可能とは言いませんが、かなりの努力が必要です。

 外部からガスバーナーが挿入する装置が付いた小型の電気窯が有るのかも不確かです。

尚、ガスバーナーで焼成するとの記事は、陶器の場合が多いと思われます。

◎ 還元焼成を室内で行う事は、命に係わる危険性がります。

 換気を十分にしないと、一酸化中毒を起こします。

 又、電熱線は還元焼成に弱く、寿命を縮めます。

国宝展を見たからと言って、作品は簡単には真似する事も出来ません。

又、磁器の制作を伝授してくれる人や、焼成してくれるひ人を見つける事が出来れば幸運です。

以上 参考にして下さい。

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質問54 ビードロ色が出ない件

2022-07-14 15:09:17 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤

「Gsan」より下記のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。

 

全くの趣味で10年ほど焼き物を続けてます。


しかし憧れのビードロが出た試しがありません。

当方灯油の窯を使ってます。


灰が溶けて還元窯変する事は解りますが件の緑がかった窯変に憧れてます。

薪窯でそれも松材でなければ窯変は無理なのでしょうか?


どうかよろしくお願いいたします。過去ブログを見落としてるかもしれませんが・・・

 

◎ 明窓窯より

質問の文面より薪窯による松灰による自然釉の「ビードロ」を目指していると見受け

られます。

1) 「ビードロ」には自然釉と「ビードロ」釉による発色方法が有ります。

 後者はご自分で調合する方法と、市販の釉を使う方法があります。

 市販の釉は酸化、又は還元の両方で発色する物もあります。

 メーカーに拠って発色具合は異なります。

2) 自然釉による「ビードロ」では、重要文化財の伊賀水指の銘「破袋」(五島美術館蔵)

  が有名です。

  自然釉ですので、薪による燃料の赤松灰が自然に降り注ぎ、高温で溶け発色した物と

  考えられている作品です。

3) (Gsan)が如何なる方法で、「ビードロ」を発色させようとしているのか、

 又目標の憧れの「ビ-ドロ」がどの程度の色なのか不明ですので、お答えできません。

 しかし、単に緑掛かった釉がお望みならば、市販の釉かご自分で調合する方法が

 あります。

4) 灯油窯との事ですので、当然薪窯と同等に発色させる事は、ほぼ不可能です。

  薪窯では薪が燃焼時間に幾分かの水蒸気が発生し、その効果が発色に関係している

  のではないかと、考えている人も居るようです。

  窯変は窯の中で複雑に変化する炎と熱の影響と考えられています。

  灯油窯で薪窯同様の現象を期待するのは望薄です。

5)結論

 A) 目標とする「ビードロ」がどの様な色なのか「はっきり」させる事。

 B) 市販又は自作の釉薬で処理するのか、赤松灰(自然、合成)のみで処理するのか。

   水で霧吹きした素焼きの作品に、茶漉しなどで松灰を振りかける方法も有ります。

 C) 薪窯と同等の色はほぼ出ません。

   更に、灯油窯では釉薬に拠っては、窯変が出ない訳では在りませんが、期待すると

   失敗する事が多いです。

以上 参考に成れば有難いです。

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質問 53 大皿が本焼きで底割れした原因とは?

2022-06-29 17:59:54 | 質問、問い合わせ、相談事

「さく様」より 以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。

 

先日ガス窯で還元焼成で焼いた大皿(直径40㎝)が、本焼きで底割れしてしまいました。

高台内側が、高台付近に沿って、4分の3ほど円弧上に割れています。厚みは4㎜ほど。

今回、素焼時点で割れは見当たらず、本焼きでぱっくり割れてしまいましたので、

焼き方に原因があるのかと思いました。

黄土に3号透明釉をかけ、還元焼成。窯の大きさは0・2立米。

950℃~1150℃の間還元でその後1240℃まで中性~酸化です。

尚、熱電対は窯の手前中央にさしています。

焼成が原因だとしたら、心当たりとして、いつもの最高温度は1230℃あたりなのですが、

今回10℃高くなってしまったこと、中性の間に急に上がってしまったこと(1時間で100℃)です

本焼の仕方で割れることはあるのでしょうか。

ご返答いただけますと幸いです。


どうぞよろしくお願いいたします。

 

◎ 明窓窯より

本焼で割れる事は、決して珍しい事では在りません。

今回の件では、原因は幾つか在りそうです。

1) 素地に黄土を使った為

 黄土は酸化鉄が入っています。勿論,含入量の違いによって素地の色も異なります。

 薄黄色から茶色、更にはより濃い茶色から黒色と変化します。

 焼き上がった色はどの様でしょうか?

 又、自然の黄土か、調合した黄土かによっても性質も異なります。

 A) 一般に鉄分は粘土の耐火温度を下げる働きが有ります。

  それ故、白色粘土類より高温で「ヘタル」(柔らかく成る)確率が高くなります。

 B) 鉄分が多いと、土が焼き締まる温度は低くなります。

  それ故、特別高い温度で焼く必要はありません。むしろ一般の粘土よりも若干低い

  温度で焼いた方が良い結果がでる可能性が高いです。

 C) 鉄分の多い粘土は、還元焼成で更に耐火度が弱く成ると言われています。

  還元を強く掛ければ強い程、影響力は強く成ります。

2) 成形時間の問題かも知れません。

 A) 素焼きでは傷は無いとの事ですが、多くの場合些細な傷や割れを見逃している

  事が多いです。素焼き後の目視では見えない傷が有った可能性も有ります。

 B) 些細な傷や割れを見つける良い方法は、素焼きした作品を水にくぐらせて濡らし

   その後の素地の表面が水を吸収し乾燥する様を観測する事で見つける事が出来ます。

   即ち、割れがある部分は、その割れ目に水が浸み込む為、周囲より乾燥が遅く

   はっきりした線状に現れます。

  尚、割れた断面を観察する事で、素焼き前か本焼き中か又は冷め割れにより物かの

  判断がある程度わかる場合が多いです。

  即ち、断面全体に釉が掛かっている場合は、素焼き時に、断面の周囲の場合に釉が残って

  いれば本焼き中に、断面に全く釉が無い場合には、冷め割れの可能性が有ります。

3) 大皿は高台位置を何処に決めるかによって「ひび」が入り易くなります。

  又、鉢類よりも、平たい皿の方が危険度は増します。

 A) 大皿の場合、高台位置を中心側に寄せると、皿の外周側が下に落ち易く成り、

  外側過ぎると、皿中央部が下に落ち易く成ります。

  その際、高台周辺で割れが発生する場合が多いです。

 B) 上記の危険性を回避する為に、大皿の場合二重高台にする事が有ります。

   即ち、大小の高台を内外に設ける方法です。

 C) 割れ予防方法として、高台脇に「R]を付ける

   高台と本体の繋がり部分に「R]を付け、即ちに部分的に肉厚にし、強度を持たせる

   方法です。高台脇をすっきりさせる為には、シャープにしたい所ですが、

   高台内側ではほとんど目に入りません。

   又高台の断面を台形にする方法も有ります。

4) 割れの原因は多肢に渡ります。

  一番の問題は、何らかの歪(ひずみ=ストレス)が発生した結果です。

  それが、熱的歪(収縮歪など)なのか、機械的歪(偏肉など)なのかは、

  作品を見て判断するか、経験によって判断するしかありません。

以上 思い付く程度の事を述べました。参考に成れば幸いです。

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質問52 針金は使えますか?

2021-11-19 13:01:23 | 質問、問い合わせ、相談事

黒田様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。


動物のオブジェをつくっていますが、2本足4本足と動物は不安定さがあって、粘土でつくるとポーズが制限されてしまいます。


それで、足などに針金を入れて焼くことは出来ればと思います。


収縮率が違うので割れてしまうでしょうか?

針金を入れられれば、鳥の羽も作りやすいと思い質問しました。

教室にも行かず1人で陶芸をしている者です。


よろしくお願いいたします。

 

明窓窯より

基本的に針金を入れて焼く事は出来ません。

1) 制作後の乾燥時、素焼き時、本焼き(又は楽焼き)時に問題に成ります。

  何れも、粘土が収縮する事で、必ず「ヒビ」が入ります。

  又、例え「ヒビ」も入らずに本焼きまで出来たとしても、芯に入れた金属が高温で

  脆く(もろく)なり、作品を支える程の強度が出ません。

2) 作品の芯になる代替品は、今のところ見当たりません。

3) 焼き物の置物で、細い4本脚で立った作品をご覧になった事が有りますか?

  多くの作品は、前脚で支え座っているか、寝そべっている物が多いはずです。

  尚、4本脚で立った作品が有るならば、本体と脚を別々に焼いた後、接着材などで

  継ぎ足した物ではないかと思います。

4) 上記は一般的な事ですが、誰かがこの問題を解決する方法をお持ちかも知れませんが、

  その方がその技術を公にする事は、現時点ではあり得ません。

  それ故、ご自分で工夫、研究するしかありません。

以上 余り参考に成りませんが、ご了承下さい。

 

 

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質問51 セラミックのピアス用の釉薬で見本通りの色が出ない件

2021-11-14 15:50:27 | 質問、問い合わせ、相談事

森野様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。

 

はじめまして!

趣味でセラミックのピアスを作りはじめたのですが、何が悪いのか、焼成後の色合いが悪く、

陶芸ショップで見たサンプルと同じような焼き上がりになりません。

釜のサイズは、奥行き20センチ✖️高さ12センチ✖️幅20センチ


釉薬は海外のものでCone6と書いています。

ピアスは小指の爪くらいの大きさで、表面のみ釉薬がかけてあり、裏側は素地のままです。


1、市販の磁土を成形し、素焼きをせず釉薬を塗る


2、3時間乾燥させた1を電気釜に入れ、スイッチオン。


3、釜の温度を、537Cまで1時間かけて上昇させ、932Cまでさらに1時間、998で3分

キープし、1時間かけて693Cまで下げて、スイッチオフ。

この工程のあと、1日待って釜をあけても、サンプル通りの色が出ません。

どこを変えればいいでしょうか。アドバイスいただけると嬉しいです。

 

明窓窯より

当方、Cone6なる釉薬は未知な物ですので、文面より想像してお答えします。

1) 焼成温度と綺麗な色彩をご希望とのことで、Cone6は上絵付け用の釉薬又は

  絵具(顔料)では無いかと推察します。

  焼成温度はご購入の際に添付された通りになされたと思われます。

  尚、窯出しまでの時間は、もっと短くて良いと思います。1日待つ必要は有りません。

  よって上絵付けならば、釉薬自体に問題ありません。

2) 素地の磁器土ですが、これも推奨された物でしょうか?

  若しそうならば、磁器土は本焼き(1250~1300℃)した後、再度1000℃前後で絵付けの

  焼成をする必要があります。

  ① 本件の焼成温度では、磁器土のやや高温の素焼き程度しか成りません。

   その為、土が磁器化せず、吸湿性が生じ、釉薬が素地に吸収され、希望の色に

   ならないと思われます。又強度(壊れ易さ)的にも問題に成り、磁器本来の良さを

   発揮出来ていません。

  ② 一般的に、本焼きは作品を制作、乾燥、素焼き、施釉、高温での焼成と成りますが、

   作品が小さいので、必ずしも素焼きは必要ないと、思われます。

   素焼きは施釉の際と、焼成の際に作品が壊れる(割れる)のを防ぐ目的ですが、

   食器類や多くな器等では、必要です。

   その後に、上絵付へと進みます。

  ③ 施釉は磁器用の透明釉を使います。

   尚、素焼きをしない場合は、生掛け(素地に直接施釉)となります。

   又、施釉せずに本焼きし、高温で焼成する事も可能ですが、仕上がりは若干劣ります。

  ④ 施釉方法は添付の資料に従って下さい、若干厚めに掛けた方が良い場合があります。

3) 上記の如く、可成りの高温が必要に成りますが、お持ちの窯の最高温度は十分満た

 されているでしょうか?

 ① 磁器土を使用する目的は、機械的強度を得る為と、素地が白色なので、色が鮮明に

  成るからだと思われます。

 ② 一つの提案なのですが、磁器土の本焼きと成ると、時間的、経済的にも多きな

  負担となります。そこで、半磁器土を使う事をお勧めします。

  焼成温度を50℃程度下げる事も可能ですし、素地の色も磁器土と同程度に白く

  焼き上がります。但し、強度は若干劣ります。

以上、思い付く範囲での説明と成ります。参考にして貰えれば幸いです。

 

疑問などが有りましたら、再度お問い合わせください。

情報量は多い程有難いです。

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質問50 炭化用黒粘土の販売所に付いて

2021-11-08 10:53:02 | 質問、問い合わせ、相談事

獅子丸様より以下のご質問を頂きましたのでお答えいたします。

 

炭化黒粘土の紹介を拝見して気になりコメント致しました。

どこかで販売しているのでしょうか?

 

明窓窯より

粘土類を取り扱っている多くのメーカーで一般に市販されています。

メーカーのカタログを取り寄せて何処の土が最適か検討して下さい。

 ネーカーによって若干の相違がある場合が多いようです。

 最少量の粘土を購入し、試験焼きをしてから決めて下さい。

 メーカーはネットでも検索可能です。取り扱い店は全国にありますので、電話等で

 問い合わせる際には、お住まい近くのメーカーを選ぶと便利です。

まだカタログ類をお持ちで無いならば数社のカタログを取り寄せて下さい。

粘土以外の釉薬や試薬(鉄、銅、マンガン、錫等の金属族類)、小道具類等の掲載された

総合案内カタログが手元にあれば色々役立ちます。

私の方から特定のメーカーをお教えする事は差支えますのでご了承ください。

 以上

 

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質問49 赤織部の釉薬の危険性に付いて

2021-04-23 13:59:19 | 質問、問い合わせ、相談事

匿名希望の「陶芸作品が好きな方」から以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの回答を

致します。

 

はじめまして。ブログをみさせていただきました。

陶芸作品が好きで、時々買い求めます。

先日赤織部の茶碗をてにし、この釉薬は大丈夫なのかと心配になってきました。

趣味で作っておられるのですが、食事に使っても、大丈夫でしょうか?

わかれば教えてください。よろしくお願いいたします。

 

明窓窯より

赤織部は鉄分の多い赤土を用い、白土などで絵柄を施した作品です。

織部焼きの釉は、酸化銅(青織部)や鉄(黒織部)等の金属を多く含む釉が一般的ですが、

赤織部は、絵柄部分に透明系の釉を施し、他の部分に従来の釉が掛けられ、全体に明るく

赤く発色した作品です。

酸化銅は有毒ですが、その他これらの素材や釉の中に有毒な物質は含まれていません。

尚、酸化銅は有毒では有りますが、釉の表面はガラス質で覆われ、銅が直接露出する事は

有りませんので、食器で使用しても何ら問題ありません。

◎ 釉で危険な物は、鉛(なまり)が含まれた場合です。

釉に鉛が入ると、釉の発色がよくなり、更に釉の熔ける温度を下げる働きがる為、昔は

使われていました。しかし鉛が酢酸(お酢)等の酸で溶け出し、人体に悪影響を与える事が

判明し、現在では、一部楽焼の抹茶々碗にのみ使用する事が認められていますが、

それ以外の作品に使う事事は出来ません。市販の作品や自作の作品であっても同じです。

それ故、市販の釉では抹茶々碗(楽焼)以外の物には、鉛は含まれておりません。

◎結論 食器で使用しても何ら問題ありません。安心してご使用下さい。

 疑問などが有りましたら、再度質問をお受けします。

以上

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陶芸と金属類の関係3

2021-03-02 16:36:25 | 陶芸と金属類

3)金属が独自の色彩を持つ理由。

 各金属はその金属特有の色を発します。

 焼成する以前であっても、焼成後であっても、色を発しますが、焼成前と焼成後では

 同じ場合と、異なる場合が有ります。これは焼成によって高い温度に晒され熱的変化や

 酸化又は還元変化によって化学反応が起こり、色彩が変化する為です。

 ① 陶芸とは直接関係しないですが、金属には炎色反応と言うものがあります。

  ⅰ) 花火の発色は金属の炎色反応による物です。

   この現象は金属の電子が高温により熱エネルギーをもらう事で起こります。

   電子は高いエネルギーをもらうと、より高いエネルギー状態に移行します。

   これを遷移(せんい)と言います。この状態では不安定のため瞬時に元の状態に

   戻ります。その際、余ったエネルギーを光として放出します。

   光は電磁波の一種で波長(振動数)を持っています。エネルギーの強さは波長に反比例し

   紫>藍>青>緑>黄>橙>赤の順に成ります。波長は赤が一番長く、紫が最短に

   成ります。

 ② 金属によって色が異なるのは、結晶構造の違いによる物と思われます。

  物質はその種類に拠って結晶構造が異なります。結晶構造と言うのは、原子の並び方

  の事です。光線が結晶に衝突すると、金属類は、一部は透過する場合も有りますが、

  大部分は結晶原子によって反射されます。その際の反射の違いによって色に差が出ると

  思われています。

 ③ 金属の種類によって、金属の色はおおむね決まっていますが、金属を取り巻く環境

  によって、千変万化します。その為苦労して独自の色(光沢)を開発する人が多いのです。

  ⅰ) 例えば鉄は、純鉄であればステンレスの様に白銀色をしていますが、空気中では

   錆が発生し、赤、黄色、茶褐色、黒色等に変化します。これは酸化作用ですが、水中

  でも起こります。それ故、陶芸では窯の雰囲気や、温度、釉の調合(含有量)によって

   各種の色彩を作り出す事が可能に成ります。  

  ⅱ) 銅で有れば、赤銅色が基本色ですが、酸化作用によって青から緑色へ変化します。

  ⅲ) コバルトは濃紺、青色を基調にしますが、濃淡によって黒色にも出来ます。

  ⅳ) 黄色系であれば、チタンが入っている可能性があります。

    その他、陶芸で使用する金属類は多種に渡ります。

  ⅴ) 二種類以上の金属は高温で混ざり合い、合金を作ります。 

    合金は、発色にも影響します。  

2) 金属結晶釉と金属光沢釉

 ① 釉の冷却時に金属が析出し、結晶化するのが結晶釉に成ります。

  結晶の大小によって結晶構造が見られる物と、見た目では明確な結晶とは確認でき

  なくとも、金属顕微鏡で確認できる細かな結晶が存在すると判る場合が有ります。

  結晶釉と呼ばれる場合、大きな結晶を析出する場合が多いです。

 ② 結晶構造は金属の種類や、結晶時の温度環境や窯の雰囲気によって、千差万別の

  様相を呈します。

 ③ 金属光沢釉とは釉の表面に金属質の光沢が現れる釉です。

  勿論、光沢の無い又は光沢の少ない釉も有ります。これは梨地と呼ばれる場合が有り

  一般にマット釉と呼ばれる物です。

  尚、マット釉では、必ずしも金属が必要と言う訳では無く、ガラス質の成分により

  マット調にする事も可能です。

  光沢は、表面から反射する光の他、釉内の金属結晶からの反射による物です。

  釉内の結晶は大きさと、結晶周辺の色彩によって結晶釉の良し悪しが決まります。

  一方マット釉は表面と釉内に金属結晶が存在していても、表面が滑らかでなく

  細かい凹凸があり、「ザラツイタ」感じの手さわりで有り、光が乱反射してた結果

  光沢が出ません。

以下次回に続きます。 

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