本を読んでどうする。
何を悩む?/(C)日刊ゲンダイ
就活本は今や、書類の書き方から面接に至るまでテーマごとに細かくマニュアル化されている。
20年前に「面接の達人」が唯一のバイブルだった中年サラリーマンは、豊富な就活情報が手に入る学生がうらやましいが、今年は就活本の傾向に異変が起きている。「働く」という根源的なテーマの本が続々出版され、売れているのだ。
大手通販サイト「アマゾン」で「働く」をキーワードに新刊書籍を検索してみると、今年9月以降だけでも30冊以上出版された。佐々木常夫「働く君に贈る25の言葉」(WAVE出版)など、ビジネス書でも有名な著者が目立つし、海老原嗣生「日本で働くのは本当に損なのか」(PHP新書)など、人事や就活のプロによる新刊も多い。
ところで、就活やサラリーマンの生き方をテーマにしたビジネス本のトレンドは、景気状況を反映して、数年に一度大きく変わってきた。
90年代は、業界研究や面接対策のマニュアル本が相次いで書店に並んだ。2000年代に入ると雇用情勢が厳しさを増したせいで、社内サバイバル本や独立・転職指南本が人気だった。リーマン・ショック後は、厳しい就活事情や給料低下を背景に、副業や週末起業の本が売れた。
■若者たちは何を悩んでいるのか
こう見ると、その時々にもてはやされたのは、あくまで実用本。それだけに、攻略本やマニュアルが大好きな今どきの学生が、「働く」をテーマにした禅問答のような本を読むなんて珍現象である。原因は何か。人事ジャーナリストの溝上憲文氏がこう言う。
「企業の人事担当者に聞くと、就活を控える大学3年生は、ブラック企業やワークライフバランスに対して、かなり敏感になっているようです。がむしゃらに働いて果たして報われるのか、自分の時間を犠牲にしてまで働くべきかなどと、就活のテクニック以前の悩みを多く抱えているのです。本を手に取るのは、誰かに<働く意味>を説いてもらい、背中を押してもらいたいからでしょう」
大学を出たら働くのが当たり前と思って就職した中年サラリーマンには、ちょっと理解不能。結局は、「働く意味」までマニュアル頼りか! とツッコミたくなるが、目を通すとなかなか読めるものもある。
<「自分はこれをするために生まれてきたんだ」と思えるもの、大仰にいえば「天命」や「天職」のようなものは、外を探し回って見つけるものではない。これだけは、はっきりいっておきたい>
これは、寺島実郎「何のために働くのか」(文春新書)の一節。「食べていくためだけの仕事はいずれ行き詰まる」など、親が子を諭すような文章が並ぶ。一方、中澤二朗「働く。なぜ?」(講談社現代新書)はグラフや表、Q&A、箇条書きを多用している。こちらは、理系学生が手に取っているという。
就活解禁を控えるわが子に父親が一冊贈ってあげると、いい励ましになるかもしれない。 』
※本(マニュアル)より、そんな本、100冊読んでもなんに意味もない。「行動(実践)!!」
何を悩む?/(C)日刊ゲンダイ
就活本は今や、書類の書き方から面接に至るまでテーマごとに細かくマニュアル化されている。
20年前に「面接の達人」が唯一のバイブルだった中年サラリーマンは、豊富な就活情報が手に入る学生がうらやましいが、今年は就活本の傾向に異変が起きている。「働く」という根源的なテーマの本が続々出版され、売れているのだ。
大手通販サイト「アマゾン」で「働く」をキーワードに新刊書籍を検索してみると、今年9月以降だけでも30冊以上出版された。佐々木常夫「働く君に贈る25の言葉」(WAVE出版)など、ビジネス書でも有名な著者が目立つし、海老原嗣生「日本で働くのは本当に損なのか」(PHP新書)など、人事や就活のプロによる新刊も多い。
ところで、就活やサラリーマンの生き方をテーマにしたビジネス本のトレンドは、景気状況を反映して、数年に一度大きく変わってきた。
90年代は、業界研究や面接対策のマニュアル本が相次いで書店に並んだ。2000年代に入ると雇用情勢が厳しさを増したせいで、社内サバイバル本や独立・転職指南本が人気だった。リーマン・ショック後は、厳しい就活事情や給料低下を背景に、副業や週末起業の本が売れた。
■若者たちは何を悩んでいるのか
こう見ると、その時々にもてはやされたのは、あくまで実用本。それだけに、攻略本やマニュアルが大好きな今どきの学生が、「働く」をテーマにした禅問答のような本を読むなんて珍現象である。原因は何か。人事ジャーナリストの溝上憲文氏がこう言う。
「企業の人事担当者に聞くと、就活を控える大学3年生は、ブラック企業やワークライフバランスに対して、かなり敏感になっているようです。がむしゃらに働いて果たして報われるのか、自分の時間を犠牲にしてまで働くべきかなどと、就活のテクニック以前の悩みを多く抱えているのです。本を手に取るのは、誰かに<働く意味>を説いてもらい、背中を押してもらいたいからでしょう」
大学を出たら働くのが当たり前と思って就職した中年サラリーマンには、ちょっと理解不能。結局は、「働く意味」までマニュアル頼りか! とツッコミたくなるが、目を通すとなかなか読めるものもある。
<「自分はこれをするために生まれてきたんだ」と思えるもの、大仰にいえば「天命」や「天職」のようなものは、外を探し回って見つけるものではない。これだけは、はっきりいっておきたい>
これは、寺島実郎「何のために働くのか」(文春新書)の一節。「食べていくためだけの仕事はいずれ行き詰まる」など、親が子を諭すような文章が並ぶ。一方、中澤二朗「働く。なぜ?」(講談社現代新書)はグラフや表、Q&A、箇条書きを多用している。こちらは、理系学生が手に取っているという。
就活解禁を控えるわが子に父親が一冊贈ってあげると、いい励ましになるかもしれない。 』
※本(マニュアル)より、そんな本、100冊読んでもなんに意味もない。「行動(実践)!!」