数学者たちの楽園  -「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち-

2016-08-07 09:05:28 | 日記

サイモン・シン著  新潮社刊

アメリカ№1アニメ『ザ・シンプソンズ』『フューチュラマ』に隠された「超難解数学」がどんなものだったか、を解説した本。端的に言えば、その脚本家達の内幕本である。
この二つのドラマでは数学の定理や数式がたくさん登場するのだが、それらがドラマの主題ではない。なんとギャグや洒落に使われているのだ(ピタゴラスの定理、π、無限など)。どうしてこれらがギャグになるのか? 実は、この脚本を作ったのがハーバード大学出身の数学者達なのである(中には博士号を持った人達もいる)。学者の道を捨てて、コメディーの脚本家になったのだ。この辺のところは本書を読んでほしい。
しかし、これは簡単なことではない。数学の知識に加え、ギャグのセンスを持ち合わせた人間がそう沢山いるとは思えない。それも驚きだが、このドラマを見続けたファンがいたことはもっと驚きだ。中には、このドラマがきっかけで数学者の道へ進んだ人達もいるそうだ。
訳者の青木薫氏もこのふたつのドラマのDVDをボックス買いしたそうである。原文を翻訳するだけでは満足できなかったようである。
ただし、このドラマに登場した数式の解題が紹介されているのだが、これがなかなか手強い。しかし、これを見た人達が大勢いるということは……ねっ、ほって置く訳にはいかない。