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監督は『ローザ・ルクセンブルグ』のマルガレーテ・フォン・トロッタ。主演はバルバラ・スコヴァ。ハンナ・アーレント(1906-1975)は第二次世界大戦中にナチスの強制収容所から脱出し、アメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人。『全体主義の起源』などの著作で現代思想界に大きな影響を与えている政治思想家である。600万人とも言われるユダヤ人を強制収容所に送った際の輸送責任者だったルドルフ・アイヒマンのイスラエルで行われた裁判を傍聴したアーレントは、ザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表した。映画では、アイヒマンの裁判の様子を実写で白黒映像が時折挿入される。被告アイヒマンは、自分は命令に従っただけだから、虐殺に責任は無いと言うのである。責任は命令を下した者だけが負えばいいと。ハンナはこれを「悪の凡庸さ」と呼んだ。命令を遵法した官僚に過ぎないとした。あの極悪人を表現するのに凡庸とは何事か、ナチスの加害性を曖昧にするつもりか、と。世間から激しい非難を浴びることになるのである。さらに、一部のユダヤ人組織のリーダーが、少数のユダヤ人を救うためにナチ協力をしたと書いた。アーレントはユダヤ人社会から裏切り者扱いされ、激しい批判に晒された様子が描かれている
ハンナ・アーレントが、学生たちを前に「悪の凡庸さ」の概念について講義する8分間は圧巻である。人間は考えることによって存在するということを強く訴えている。難しい内容の映画ではあるが、考えさせられる映画でもある。
ハンナ・アーレントが、学生たちを前に「悪の凡庸さ」の概念について講義する8分間は圧巻である。人間は考えることによって存在するということを強く訴えている。難しい内容の映画ではあるが、考えさせられる映画でもある。
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