おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ロミオ+ジュリエット

2023-06-14 05:27:07 | 映画
「ロミオ+ジュリエット」 1996年 アメリカ


監督 バズ・ラーマン
出演 レオナルド・ディカプリオ クレア・デインズ ジョン・レグイザモ
   ポール・ラッド ハロルド・ペリノー ダイアン・ヴェノーラ
   ポール・ソルヴィノ ブライアン・デネヒー ミリアム・マーゴリーズ

ストーリー
ヴェローナ・シティの利権を二分する財閥、モンタギューとキャプレット。
両家の反目は連綿と続き、ストリートでは若者たちの争いが絶えない。
渦中のモンタギュー家嫡子ロミオ(レオナルド・ディカプリオ)の心を曇らせるのは、かなわぬ恋の悩みだった。
親友マーキュシオ(ハロルド・ペリノー)の誘いでキャプレット家の仮装パーティーに潜り込んだのも片思いの恋人に一目会うためだったが、そこで彼は天使の羽を身に着けた見知らぬ美少女と運命の出会いをする。
少女の名はジュリエット(クレア・デインズ)、皮肉なことに、ロミオにとっては宿敵キャプレットの一人娘だったが、一族の因縁も二人の想いを止めることは出来ない。
その夜、キャプレット家の裏庭で、窓辺で、プールで、熱烈に愛を誓い合う二人。
翌日、ジュリエットは、両親の決めた許婚を振り切って教会へと向かう。
秘密の結婚式に立ち会ったのは、神父ロレンス(ピート・ポスルスウェイト)と介添えの少年達だけだった…。
その直後、かねてからモンタギュー家を目の敵にしていたキャプレット家のティボルト(ジョン・レグイザモ)がついに牙をむいた。
ジュリエットとの関係を考え、じっと侮辱に耐えるロミオだったが、見かねたマーキュシオが身代わりのようにティボルトのナイフで命を落としてしまう。
逆上するロミオが我に戻ったときにはティボルトを自らの手にかけていた。
ロミオは街を追放となり、二重の失意に暮れるジュリエット……。
同情したロレンス神父が、一計を案じた。


寸評
僕にとっての「ロミオとジュリエット」は、レナード・ホワイティングのロミオにオリヴィア・ハッセーのジュリエットで撮られた1968年のフランコ・ゼフィレッリ作品であった。
アレンジしたものとしては「ウエストサイド物語」が著名で、僕はミュージカル映画の最高峰と思っている。
本作はその中間的な作品で、時代設定を現代に変えて両家の争いをマフィア同士の抗争に置き換えている。
物語の舞台は架空の都市で、服装がアロハシャツに、モンタギューとキャプレットの城は高層ビルとなっている。
剣による決闘ではなく街を巻き込む銃撃戦が繰り広げられる。
「ロミオ、あなたはどうしてロミオなの・・・」という有名なセリフなどは踏襲されている。
キャプレット家で行われる舞踏会シーンはミュージカルのようでもあり、色彩を初め映像処理は今の映画だ。

この作品の見どころの一つは、ロミオへの手紙が手違いで届かず若い二人が非業の死を迎える場面であるが、何と言っても一番の見どころはバルコニーの場面であろう。
本作におけるバズ・ラーマン監督の演出は彼なりの工夫がなされている。
ロミオは塀を超えジュリエットの部屋の真下に忍び込みジュリエットがバルコニーに出てくるのを待っている。
しかしジュリエットはロミオが隠れているプールのある裏庭に出てきて、ロミオの存在に気が付かない彼女は「ロミオ、ロミオ!どうしてあなたはロミオなの?」と独白をする。
そして「この私を受け取って」と語ると、真後ろにいたロミオが「受け取ります、おことばどおり」と答えて、二人は同時にプールに落ちるのだ。
プールの中での愛の対話は、斬新な演出となっている。
その演出を認めながらも、僕はやはりフランコ・ゼフィレッリの演出に軍配をあげる。
ロミオが塀を越えて木々の間からバルコニーを見上げるとジュリエットがバルコニーに現れる。
バルコニーに近づけるように木々が建物を取り囲んでいる。
ロミオはバルコニーに移ることはしないが、木の上や、バルコニーの外壁にへばりついてジュリエットと抱擁を繰り返すのだ。
おそらく僕が未読の原作はこのように描かれていたのだと思う。
流れるようなりフランコ・ゼフィレッリの演出は、二人の間にある良家の壁と、それを乗り越えようとする二人の思いが伝わってくる名シーンとなっていた。

僕は「ロミオとジュリエット」でオリヴィア・ハッセーを知ったのだが、長い黒髪、つぶらな瞳と東洋的な顔立ちにうっとりとして、演技力の未熟さを吹き飛ばす彼女の魅力が存分に出ていた。
彼女に比べれば本作のクレア・デインズの演技力は確かなものだ。
特に、眠りから覚醒して一人取り残された絶望感とやるせなさを示すところは抜群だ。
ロミオが最後の愛を語りながら毒薬を飲もうとする中で徐々に意識を取り戻していき、目覚めた時にロミオの死を知るまでの表情が何とも言えない。
ベルリン国際映画祭で主演男優賞を受賞している若きディカプリオも負けず劣らずいい雰囲気を出している。
ただストーリーが分かり過ぎていることがサイケな映像と相まって、少々雰囲気と盛り上がりに掛けるところがあったのはやむを得ぬことかと思う。


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