おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ロッキー5/最後のドラマ

2023-06-13 08:36:43 | 映画
「ロッキー5/最後のドラマ」 1990年 アメリカ


監督 ジョン・G・アヴィルドセン
出演 シルヴェスター・スタローン タリア・シャイア セイジ・スタローン
   トミー・モリソン バート・ヤング バージェス・メレディス
   リチャード・ガント ジェームズ・ガンビナ トニー・バートン

ストーリー
ソ連の強豪ボクサー・ドラゴを破ってアメリカに帰国したロッキーは、その後会計士の不正により破産。
その上、度重なる激闘により脳に回復不能となるほどのダメージが蓄積しており、妻・エイドリアンの説得もあって遂に引退を決意する。
フィラデルフィアに帰郷したロッキーは、今は亡きミッキーのジムで白人新鋭ボクサーのトミー・ガンを育て、トレーナーとして第二の人生を歩み始めていた。
そこへ現れた派手な黒人プロモーター、ジョージ・ワシントン・デュークに黒人ボクサーのユニオン・ケインとの対戦のために現役復帰を打診されるが、ロッキーは反対する家族の想いを優先させる。
そして次にデュークはロッキーの愛弟子として快進撃を続けるトミーに目を付け、甘い誘惑によりロッキーのもとから引き抜く。
そして、トミー対ケインのタイトルマッチが行われるが、トミーが恩人ロッキーを捨てたことを知っている観衆は不満を抱き、ブーイングやヤジを飛ばすばかりであった。
ケインを呆気なく撃破したトミーは新チャンピオンになるが、観客からは受け入れられなかった。
そのため別人のように変わってしまったトミーは、デュークの提案でロッキーとの師弟対決を望む。
酒場でロッキーの前に現れたトミーは侮辱の言葉を浴びせながら試合を要求する。
それを耳にした義兄・ポーリーが、逆にトミーを侮辱し殴られた事により、ロッキーは遂にトミーに怒りをぶつける。
その戦いは周囲の人々とテレビカメラが見守る中ストリートファイトへと発展した・・・。


寸評
ロッキーはいままでの戦いの後遺症に加え、ドラゴとの一戦が致命傷となり引退を余儀なくされる。
廃人となるのを避けるためにエイドリアンが必死の説得を試みる。
その結果としてボクサーとしてのロッキーの物語は終焉を迎え、ロッキーの試合は描かれない。
おまけにポーリーが詐欺に引っかかってロッキー一家は全財産を失ってしまう。
それは倒されても立ち上がってきたロッキーのボクサーとしての歴史の焼き直しでもある。

ロッキーはミッキーのボクシングジムを引き継ぐが、そこにトミー・ガンという有望な新人が訪ねて来て、ロッキーは彼を鍛えて世に売り出す。
トミー・ガンはロッキーの影を背負いながら破竹の連勝を始める。
トミー・ガンのトレーナーとして生き始め、試合をやらないロッキーに代わって二つの物語が描かれる。
一つはいつまでもロッキーの影武者的な立場でしかマスコミに取り上げあれないトミーの苦悩と苛立ち。
今一つはトミーに夢を託し始めたことで、孤独感に襲われていく思春期に差し掛かったロッキーJrの悩みだ。

トミーはいつまでもタイトル戦をやらせてくれないロッキーに見切りをつけて、黒人プロモーターのジョージ・ワシントン・デュークのもとへ走ってしまう。
ロッキーJrは転向した学校でイジメにあい、父の気を引こうとしても振り向いてくれない父に反感を覚えていく。
ロッキーの試合がない以上、この二つはドラマを作り上げていく上では非常に重要なファクターだったと思うのだが、そのどちらも全くと言い換えてもいいいぐらいに描き切れていない。
トミーの家庭環境を含めて苦労してきたが故の上昇志向と焦りは通り一辺倒な描き方である。
ロッキーとの確執もやけにあっさりしたもので、確執は生じていたのかとさえ思わせる。
ロッキーJrがイジメから逃れるためにボクシングジムで鍛えている姿などは、見せる要素として感じ取れるのだが、ロッキーとの和解はあの程度の会話でなされてしまうものなのだろうか。
トミーが新チャンピオンになりながらも全く評価されず、荒れ狂ってロッキーとポーリーが飲んでいる酒場へ押しかける様子などは、まったくもって盛り上がりに欠ける。

ユニークなのはポーリーがトミーに殴られたことでロッキーとトミーのストリートファイトが発生することだ。
ここでロッキーのテーマ曲が流れるのかと驚いてしまう。
テレビクルーが同道していてその様子がテレビ中継されていて、ロッキーJrとエイドリアンは現場に駆けつける。
ロッキーJrが「やっつけろ!」とロッキーに声援を送る展開となる。
振り返ってみればロッキーJrはテレビで応援していたことはあったが、現場で応援したのは初めてではないか。
結末は予想通りだが、街中の人が「ロッキー、ロッキー」と叫ぶ歓声が今までの作品と重なり懐かしさを覚える。
第一作から始まったロッキーの伝説が終わると言う割には寂しい内容だった。
一作目を監督したジョン・G・アヴィルドセンの復活作品だが、いったい彼はロッキーにどのような思いを持っていたのだろう。
その思いも伝わって来ない凡作になっていたのは淋しい気がする。
邦画タイトルの副題である「最後のドラマ」が描かれていなかったなあ。


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