おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

私をスキーに連れてって

2023-06-24 08:55:35 | 映画
「私をスキーに連れてって」 1987年 日本


監督 馬場康夫
出演 三上博史 原田知世 原田貴和子 沖田浩之 高橋ひとみ 布施博
   鳥越マリ 上田耕一 小坂一也 飛田ゆき乃 竹中直人 田中邦衛

ストーリー
矢野文男(三上博史)はある商社に勤める26歳のサラリーマンで、仕事ぶりも恋もいまひとつパッとしない都会人だが、大学時代からスキー選手として鳴らしてプロ級の腕前、ゲレンデではいつもスターなのだ。
会社ではスキーの名門ブランド“サロット”の販売を、元ワールドカッブ選手・田山(田中邦衛)のプロジェクトで行なっていたが、矢野も部外者ながら手伝っていた。
クリスマス、奥志賀のスキーツアーで矢野はOLの池上優(原田知世)と知り合い、一目ぼれ。
矢野の高校時代からのスキー仲間、正明(沖田浩之)、真理子(原田貴和子)、和彦(布施博)、ヒロコ(高橋ひとみ)の四人もなんとか二人をくっつけようとするが、オクテな矢野はなかなかアプローチすることができない。
ある日、彼は仕事のミスで常務に呼び出され、なんと社内で優とバッタリ。
彼女は同じ会社の常務秘書だったのだ。
田山が企画したサロットの新しいウエアの発表会が、バレンタインデーに万座のスキー場で行われることになり、矢野もその準備に忙しく、せっかくの優とのデートにも遅れたり、行けなかったりした。
矢野は優のためにバレンタインの日は、スキーツアーに参加することにした。
当日、矢野は優や仲間たちと志賀でスキーを楽しむが、万座では田山に反発する所崎(竹中直人)らの陰謀により発表用のウエアが一着も届いていなかった。
頼みは矢野たちの身に着けている6着のみ。
矢野がつかまらないので、真理子とヒロコが車で万座へ向かった。
しかし、それでは間に合わないと思い、優はウエアを着込みスキーで万座を目指したが、志賀・万座間は難所が多くスキー歴の浅い彼女には自殺行為だった。


寸評
この作品でスキーブームが起きたとも言われているが、むしろスキーブームを先取りして撮られた作品だ。
寒がり屋の僕は生涯でたった一度だけスキーに行ったのだが、結構楽しめたことを思い出す。
そして高所恐怖症気味の僕はリフトの恐怖をも同時に思い出すのである。

ストーリーは有って無いようなもので、若者たちが大いにスキーを楽しんで騒いでいるだけと言っても過言でない。
兎に角彼等の無邪気なスキーシーンと、ゲレンデやロッジで騒ぐ楽し気なシーンが繰り広げられる。
若者たちのそんなシーンを見ているだけで、不思議と笑顔が漏れてウキウキした気分になってくる。
青春時代のバカ騒ぎがよみがえって来て、つい笑みがこぼれてしまうのだ。
そのころのスキーはブルジョアの遊びで、プロレタリアートだった僕には無縁のものだったが、あのバカ騒ぎは懐かしいし、社会人になってもそれを繰り広げている彼らが羨ましくもある。
この映画を見た人が触発されたのか、トレイン滑降をやる若者が続出し、危険防止のためトレイン滑降が禁止されたスキー場もあったと聞く。

ドラマがスキーを通じて繰り広げられるというよりも、スキーシーンの間にドラマが展開されると言ったほうがよいような感じだ。
全編を通じてライトな感覚が漂っていて、松任谷由実の歌声が雰囲気を盛り上げる。
「恋人がサンタクロース」はこの映画の挿入歌だが、挿入歌であることは忘れられて今やクリスマスのテーマソングとなっている。
ユーミンはこのほかにも「ロッヂで待つクリスマス」「A HAPPY NEW YEAR」「BLIZZARD」など軽快なサウンドを聞かせてくれて、彼女の歌声が聞こえてくるだけで楽しくなってしまう。
矢野と優のピュアな関係も微笑ましく、優が矢野に「今年もよろしくお願いします」と告げるシーンに思わず笑みがこぼれてしまう。
いくら歳を取っても、さわやかな若者たちの恋模様をみると、自分も若返ったような気分になる。

ドラマの部分はもう何でもありの状態で、女二人が凍った雪道でレーシングをやったり、挙句の果ては渋滞を切り抜けるために大ジャンピングを見せたり、ゲレンデを車で走り回ったりする。
車だと5時間ほどかかる道を、スキーなら短時間で行けると進入禁止の危険なコースを滑りだすのだが、ライトを携帯しているとはいえ、優が難コースを滑り切れるとは思われない。
第一、時間がかかる道路を走り、しかも途中で車をひっくり返らせたヒロコたちが矢野より早く会場に到着しているのは何故なんだ。
途中でビバークなんかを試みていた時間がそんなに長かったということなのかなあ。
若大将シリーズの青大将じゃないんだから、会社の同僚が発表会を妨害するなんて飛びすぎもいいとこだ。
そんないいかげんな描き方も気にならないくらい、明るくてノー天気な映画として、それはそれで楽しめる作品になっていて原田知世にとっても代表作の一本だろう。


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