おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ベティ・サイズモア

2023-03-08 11:28:26 | 映画
「ベティ・サイズモア」 2000年 アメリカ


監督 ニール・ラビュート
出演 レニー・ゼルウィガー モーガン・フリーマン クリス・ロック
   グレッグ・キニア アーロン・エッカート ティア・テクサダ

ストーリー
カンザス州の田舎町の小さなダイナーでウェイトレスとして働くベティ・サイズモアは、周囲に慕われながらも冴えない人生を送っていた。
夫のデルは浮気を繰り返し、ベティを物のように扱う最低な男。
それでもベティは、自分1人では何も出来ないと思い込んでいるため離婚もしない。
そんなベティの支えは、病院を舞台にした昼メロドラマ「愛のすべて」だった。
特に医師デヴィッド・ラヴェルに夢中で、彼と結ばれることを想像してうっとりしている。
誕生日を迎えたベティは、夜自室に篭もり録画していた「愛のすべて」を堪能していた。
そこに、デルが黒人の親子チャーリーとウェズリーを連れて帰宅した。
彼らはベティが外出していると思っているらしく、きな臭い話を始めまた。
実はチャーリー達はプロの殺し屋で、ドラッグを盗んだデルを尋問するためにやって来たのだ。
デルは助命を乞うが、早とちりしたウェズリーに頭の皮を剥がされてしまい、不憫に思ったチャーリーによって射殺された。
ドアの隙間から一部始終を見ていたベティは、強いショック状態に陥る。
動転した彼女の目にテレビ画面のデヴィッドが飛び込んで来た。
その瞬間、ベティの中で現実とドラマの世界がごちゃまぜになり、デヴィッドは実在すると信じ込んでしまう。
ベティは事件の記憶を失った上に、自分をデヴィッドの元フィアンセだと思い込んだ。
そしてデヴィッドに会うため、単身ドラマの舞台であるロサンゼルスへ向かう。
友人知人は突然失踪したベティを心配し、警察は事件への関与を疑って彼女の行方を捜索しだした。
しかし最も熱心に探していたのは殺し屋親子だった。


寸評
我が家の近くに被害妄想の老人が住んでいるのだが、普段はごく普通の老人なのだが強盗がいるとの被害妄想が起きると大騒ぎとなる。
私が初めて対応した時などは、言っていることが理路整然としているのですぐさま警察に連絡して近くの交番から警官に来てもらった。
二度目からは流石にこちらも心得たものとなったが、老人が信じている妄想の世界は計り知れないものがある。
この作品の主人公ベティは自宅で夫が殺害される現場を見てショックを受けた為に記憶が定かでなくなり、自分が熱中しているテレビドラマの妄想の世界に入り込んでしまう。
まったく信じて疑わないベティと回りの人たちとのやり取りが可笑しい喜劇が繰り広げられる。
もっとドタバタにも出来たと思うが、妄想による食い違いが適度に抑えられていることで上質な喜劇となっている。僕が妄想を繰り返す人と接した経験がベティの振舞いにリアリティを感じさせた。
僕にその経験がなかったらまったく違った見かたになっていたことだろう。

途中で寄ったレストランの女主人は、余りにもベティが真剣に話すので最初は信じていたが、それがテレビ・ドラマの世界のことなのだと気付いても、知らぬふりで励まして送り出してやる。
女主人の優しさがいい。
ロスアンゼルスに到着したベティはいきなり銃撃戦に巻き込まれ、看護婦姿の彼女は撃たれた男性を治療することになる。
テレビドラマが病院を舞台にしており、ベティはテレビドラマで描かれた方法で男の命を救ってやる場面なども、この手の作品における安易な演出と思えるが、あって当然なエピソードとして受け入れることができる。
兎に角この作品におけるレニー・ゼルウィガーが滅茶苦茶可愛いのだ。
モーガン・フリーマンが誰かに電話していて、ベティの人となりを「ドリス・デイのような女だ」と言っていたのだが、超美人ではないがきわめてチャーミングな女性としてドリス・デイを引き合いに出していたのは納得である。
「知りすぎていた男」でドリス・デイが唄っていた「ケ・セラ・セラ」も音楽として用いられている。

ひょんなことからローサ・ヘルナンデスの部屋に居候させてもらえることになったベティは例によって、探し求めるデヴィッド・ラヴェルの話をすると、真に受けたローサは捜索に協力するが、やがてその話がテレビ・ドラマと分かると怒りだし、からかい半分でテレビ・ドラマのスタッフによる事前パーティに連れ出す。
そこでデヴィッド・ラヴェル役の俳優にあったことから再び勘違い騒動が持ち上がる。
分かっている展開とは言え微笑ましくもあり楽しめる。
何と言ってもレニー・ゼルウィガーの表情がいいのだ。
ベティが正気になってからの展開はメリハリが効いていて楽しめる。
チャーリーとウェズリーがローサの家に押し入ってからの展開も面白い。
チャーリーがどうやらベティの写真を見ているうちに情が移ったのか、彼女に恋している風でもあり、最後に彼女を励まして出ていくところなどは、彼女が気に入っているテレビのメロドラマみたいにしているのもホッコリする。
「愛のすべて」に出演することになったベティの姿を、友人達は喜びと感動の中見つめ、ベティが新しく自分の人生を歩み始めたのも清々しいエンディングであった。


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