おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ギフテッド

2017-12-07 08:42:27 | 映画
「gifted/ギフテッド」 2017年 アメリカ


監督: マーク・ウェブ
出演: クリス・エヴァンス マッケナ・グレイス
    リンゼイ・ダンカン ジェニー・スレイト
    オクタヴィア・スペンサー

ストーリー
フロリダの小さな町。
叔父で独身のフランクと片目の猫フレッドと暮らす一見ごく普通の7歳の少女メアリー。
しかし彼女は数学の才能に著しく秀でた天才少女だった。
小学校に通い出すや、すぐにそのことが発覚し、学校側はフランクに天才児の英才教育で名高い私学への転校を勧める。
しかしフランクは“普通の子として育てたい”とこれを拒否する。
それは、メアリーをフランクに託して自殺してしまった姉の願いだった。
ところがある日、フランクの前に祖母のイエブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため、フランクから引き離そうとする。
だが、フランクには亡き姉から託されたある秘密があった。
メアリーの幸せは、一体どこにあるのか…?
そして、フランクとメアリーはこのまま離れ離れになってしまうのか…?

寸評
7歳の女の子を育てているのが叔父だというのがミソだが、いわゆる子育て愛情物語のお涙頂戴物なのだが、それを臆面もなく正面から丁寧に描いているのがいい。
そしてこの女の子が数学の天才少女だという設定もユニークで、高校の数学授業についていけなかった僕には彼女の解いている問題が何なのかさっぱりわからなかった。
難しい本も理解しているし、大学教授が取り組むような問題にも挑んでいるから僕などが足元にも及ばないのは当然だ。
もしかすると本当に彼女のような天才少女は存在しているのかもしれない。
そのような人をギフテッドと呼ぶらしく、この映画のタイトルになっている。
確かに神がこの世に贈った存在なのだろう。
この少女メアリーのマッケナ・グレイスが繰り出す言葉がやけに面白い。
「大人を訂正してはいけない」などには包括絶倒だ。
それを指導した叔父フランクのクリス・エヴァンスが、メアリーと対をなすように抑えた演技でメアリーを心から愛していること表現し、二人に感情移入させる。
脇役の女教師ボニーのジェニー・スレイトも、となりの人のいい伯母さんロバータのオクタヴィア・スペンサーも必要以上に登場せず、母と子供、祖母と孫、叔父と姪の関係で火花を散らす三人の関係を浮き上がらせる演出は手堅い。

メインはフランクとメアリーの愛情物語なのだが、ぼくの興味は断然フランクの母であり、メアリーの祖母であるイブリンのリンゼイ・ダンカンに注がれた。
彼女は自分の夢を周りの人に求め、それを裏切られてきた挫折の人である。
夫には突然牧場を始められて別居状態だし、歴史に名前を残すかもしれなかった娘には自殺され、大学の准教授だった息子は挫折の人生を歩んでいる。
彼女は失われた自分の夢を孫に託そうとする。
孫を思ってのことなのか、自分の欲望追及のためなのか、メアリーの親権を争う裁判劇における彼女の主張は迫力を増す。
彼女の大演説が作品を盛り上げていた。
親子の確執は他人以上に根深い。
育てられ方に不満を持っていた死んだ姉の行為に背筋が凍る。
死ぬときに今までの不満を残して死ぬなんて・・・。
誰かに先を越されて名誉をなくすリスクを犠牲にしてるんだもんなあ・・・。
あったとしても、僕は妻にそんなこと出来ないなあ・・・。

片目の猫のフレッドはもちろんしゃべりはしないが重要な役割を担っている。
普通の猫ではなく片目というのも面白い。
猫は両眼ではなく、片目でこのゆがんだ家族を見ていたのだろうか。
「ナビエ・ストークス問題」って、ネットで検索してもさっぱり分からない。
僕は凡人である。
ラストでメアリーに理想的な形を与えて、誰もが納得できる温かな余韻を残す演出はご都合主義的だが、それを超えて、叔父と姪の親子を超えた絆にホッコリさせられる映画だ。


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