おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

2017-11-28 09:51:06 | 映画
「光」 2017年 日本


監督: 大森立嗣
出演: 井浦新 瑛太 長谷川京子 橋本マナミ 梅沢昌代
    福崎那由他 紅甘  岡田篤哉 早坂ひらら
    南果歩 平田満

ストーリー
東京の離島、美浜島。記録的な暑さが続くなか、中学生の信之は閉塞感を抱きながら日々を過ごしている。
信之は同級生の美花と付き合っていた。
父親から激しい虐待を受けていた小学生の輔(たすく)は信之を慕い、いつも彼の後をついていた。
ある夜、信之は神社の境内で美花が男に犯されている姿を目撃する。
激高し、美花を救うために男を殺してしまう信之。
次の日、理不尽で容赦ない自然の圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てが消滅。
生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった。
25年後、信之は結婚し、一人娘にも恵まれ、穏やかな生活を送っていた。
一方、美花は過去を捨て、華やかな芸能界で活躍していた。
そんなある日、25年前の秘密を知る輔が信之の前に現われる。
封じ込めていた過去の真相が明らかになっていくなか、信之は、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花を守ろうとするのだが・・・。

寸評
一つの犯罪がさらなる罪を生んでいく悲劇なのだが、その悲劇は極めて暴力的だ。
東日本大震災を思わせるような大災害で信之の犯罪は闇に葬られるが、生き残った信之と輔のその後がどうだったのかは不明である。
しかし信之はエリートコースを歩んだようだし、輔は下層の生活になっているらしきことは分かる。
二人の格差が確執となったのかもしれないが、直接的要因はよくわからない。
それでいながら信之、輔、美花に潜む暴力は、原生林の中から生まれてきたような神秘性を感じさせる。
ジェフ・ミルズによる大音量のサウンドと、原生林の巨木が彼等の心証を象徴するように流れ描かれる。
男優たちは静かで冷酷な信之を演じる井浦新、狂気を発散する輔役の瑛太は抜群に良い。
比べると信之の妻を演じた橋本マナミの浮いた演技はいただけない。
亀裂の入った夫婦関係を表現するには物足りない。
美花が篠浦未喜となった長谷川京子にも小悪魔的雰囲気が欲しかったところで、女優がよくないと映画は面白くない。
暴力と欺瞞を描く情け容赦ない映画だが、原始の世界から生み出される生命賛歌のようなものを感じたかったなあ。





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