おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

理由なき反抗

2020-07-18 10:31:19 | 映画
「理由なき反抗」 1955年 アメリカ


監督 ニコラス・レイ
出演 ジェームズ・ディーン
   ナタリー・ウッド
   ジム・バッカス
   アン・ドーラン
   ロチェル・ハドソン
   ウィリアム・ホッパー

ストーリー
17歳の少年ジムは泥酔のため、集団暴行事件の容疑者として警察に連行された。
彼は、そこで夜間外出で保護を受けた少女ジュディや、仔犬を射って注意されたプラトン少年と知り合った。
翌朝、新しい学校であるドウスン・ハイ・スクールへ登校の途中、ジムはジュディに会ったが、彼女は不良学生のバズ、ムーズ、クランチ等と一緒であった。
その日の午後、学生たちはプラネタリウム館へ星の勉強に出掛けたが、不良仲間の反感を買ったジムは彼等のボスのバズに喧嘩を売られた。
2人はプラネタリウム館の外でナイフを手に決闘したが守衛の仲裁を受け、その夜、ボロ自動車を崖の端にフル・スピードで走らせる“チキン・ラン”と称する度胸試しをやることになった。
ジュディやバズの不良仲間が見守る中で、ジムは巧く崖際で車から脱出したが、飛び出しそこねたバズは、そのまま谷底へ落ち込んだ。
呆然としたジムはプラトンとジュディに助けられて帰宅し警察へ届けようとしたが、事なかれ主義の両親は許可しなかった。
強いて警察に出向いたジムは少年保護係レイの不在を知り、釈然とせぬまま警察を出て、秘かに空家でジュディと会った。
ムーズとクランチはジムが警察に届けるのを恐れ、プラトンを脅してジムの住居を知った。
プラトンは怒りのあまり、父親の拳銃を持ち出すと闇の中に駈け出していった。
空邸のジムとジュディは、跡を追ってきたプラトンを1室に残し、激しい抱擁を重ねた。
数刻後、ジムを追い求めるムーズたちが空家をみつけ、プラトンは発見された。
彼は家から持ち出した拳銃を追手に放ち、クランチを倒した。
間もなく附近には大掛りな警備網が張られジムやプラトンの家族や、少年保護係のレイも駈けつけた。


寸評
ジェームズ・ディーンはわずか二年のうちに撮った3本、「エデンの東」(1955)、「理由なき反抗」(1955)、「ジャイアンツ」(1956)を残してこの世を去った。
芸歴はたったの4年間、主演俳優になって半年足らずという短いキャリアと突然の死が彼を伝説のスターとした。
顔立ち、雰囲気だけで若者が持つ満たされない精神状態を表現できた稀有な俳優である。
世界的に根強いファンがいるものと思われる。
日本ではよく売られていたジェームズ・ディーンがプリントされたTシャツを着てロサンゼルスに旅行した時、お店の女性にそのTシャツを指さされ「ジミーだ」と言われたことを思い出す。
その女性もジミーことジェームズ・ディーンのファンだったように思われた。

ここでのジムも少し皮肉れたような態度を見せるが、その姿が魅力的である。
ジミーは父親を愛しているが、祖母と妻に頭が上がらない軟弱な父に失望している。
ジミーの祖母と母は父に対して尊大だが、父親は従っておいた方が家庭が円満にいくとでも思っているのか、彼女たちに気を使って生きている。
ジミーはそんな父親を情けなく思うし、意気地がないと感じている。
祖母や母は父に対して高圧的な態度をとるが、父親はそれに反抗せず、口をつぐんで従っておく方が家庭に波風を起こさないと思ているように感じ取れて、どこかでは同情する気持ちもある。
しかし強くありたいジミー、男のプライドを見せたいジミーにはダメ親父に見えてしまう。
大好きな親父なだけに尚更なのである。
一方のジュディはまだまだ父に甘えたい気持ちがあるのだが、父親は「もう大人だから」とそれを拒絶するような所があり、ジュディにしてみれば甘えることが出来る家庭がないとの気持ちになってしまっている。
理由はどうあれ、ジュディの父親の態度はひいき目に見ても間違っていると思うし、そりゃあ反抗するわと思われるような態度で、僕には父親を弁護する気持ちは湧いてこない。

親たちは自分の時代とは変わってしまった子供たちの思春期の気持ちを理解できないでいるが、子供たちはそれなりの関係を築いていく。
それは不良グループのボスであるバズがジミーを認めて気に入った態度を見せることで示されるし、バズが秘かにジミーにリクエスト曲を送っていたことで明確に示される。
しかし男の意地とプライドはそれを許さず、対決姿勢を示さねばならない。
この二人の関係こそが悲劇だ。
プラトンの誤解もあって本当の悲劇が起きるが、それを乗り越えるように親子がお互いを理解し合えるようになったという結末なのだろうが、とてもそのように思えるようなラストにはなっていない。
僕はあのラストシーンを見ると、どうしてもこの親子が分かり合えるようになったとは思えないのだ。
どこかに希望を見せるのがアメリカ映画だとの思いもあるので、どうもこのラストはしっくりこなかった。

ナタリー・ウッドはたくさん出演したけれど、僕には本作とウエストサイド物語だけがあり、その二作で印象に残る女優となっているし、ジェームス・ディーンに至ってはたった三作だけで永遠のスターとなった。


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