おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

義兄弟

2022-05-24 07:30:21 | 映画
「義兄弟」 2010年 韓国


監督 チャン・フン    
出演 ソン・ガンホ
   カン・ドンウォン
   チョン・グクァン

ストーリー
国家情報員のイ・ハンギュは、北朝鮮が送り込んだ工作員の大物“影”の行方を追っていた。
ソウル市内の団地で起きた北朝鮮工作員との銃撃事件でハンギュは多くの死傷者と工作員を取り逃がした責任を問われ組織をクビとなった。
それから6年、イ・ハンギュは、逃げた妻や外国人花嫁などを捜す探偵まがいの稼業で糊口をしのいでいる。
ある日、ハンギュは銃撃事件で目撃した北朝鮮工作員のソン・ジウォンに偶然出くわす。
ジウォンはパク・ギジュンという偽名を用い潜伏生活を続けていたのだった。
彼を見張っていれば“影”に繋がると考えたハンギュは、自分の仕事の相棒にとジウォンを誘う。
ハンギュの熱心な誘いでジウォンは一緒に働くようになったが、彼もまたハンギュが6年前の国家情報員であることに気付いていた。
二人は、それぞれの目的を胸の内に秘めながらも、寝食を共にするうちに次第に心を通わせていく。
だが、それでも対立する立場にある二人はお互いの動向を探り続けていた。
そんな頃、彼らの運命を左右する事件が起こる…。


寸評
韓国と北朝鮮というそれぞれの祖国の宿命を背負う二人が繰り広げるサスペンスドラマであるが、時折ユーモアもちりばめて笑いを誘うエンタテイメント性も持ち合わせていて飽きさせない。
民族の分断、それによる家族の離散などは日本人が経験していない環境だ。
家族を思い国家に忠節をつくす二人の男を見て、朝鮮半島のおかれた計り知れない状況を垣間見た気がした。

ハンギュは離婚していているが、母親の元にいる子供のことがかわいくて仕方がないようで時折電話を入れている。
同じようにジウォンも妻子とその役目のため離れている。
その二人の家族が置かれている状況の対比も全体構成を深みのあるものにしていた。
北の者からすれば南は素晴らしい世界だが、それでも金正日将軍様と国家に忠節をつくす"影"のような男もいて、脱北者を裏切り者として決して許そうとしない。
そのためにふとした事がきっかけで自分も裏切り者のレッテルを張られてしまい苦悩するジウォンのカン・ドンウォンが繊細な表情を見せてなかなか良い。

ソン・ガンホはいつもながらの体当たり演技で相変わらずの硬軟併せての好演だ。
音楽に乗って繰り広げられるエピローグからテンポは全開で一気に観客を引き込む。
この辺りの息をもつかせない展開は韓国映画の得意とするところで全体的なレベルの高さを感じる。
イギリスを目指すラストは最後のオチとして愉快な気分で映画館を出させてくれた。
やっぱり北朝鮮はおかしい!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿