おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

プリティ・リーグ

2021-11-06 09:18:06 | 映画
「プリティ・リーグ」 1992年 アメリカ


監督 ペニー・マーシャル
出演 トム・ハンクス
   ジーナ・デイヴィス
   マドンナ
   ロリ・ペティ
   ジョン・ロヴィッツ
   デヴィッド・ストラザーン

ストーリー
1943年、第二次世界大戦真只中のアメリカ。
プロ野球選手たちも次々と戦場へ駆り出され、大リーグの運営は危機を迎えていた。
オレゴンの片田舎に住むソフトボール・リーグ選手、ドティ・ヒンソンとキット・ケラーの姉妹のところへ、ある日プロ野球のスカウトマンが訪ねてきて、近く発足する全米女子プロ野球リーグに参加しないかと言う。
ドティは戦争に行った夫がいるという理由で断るが、妹のキットは野球をしたいとスカウトマンに詰め寄る。
そうしてドティとキットは入団テストが行われるシカゴに向かった。
入団テストを見事にクリアしたドティとキットはピーチーズに入団が決まった。
しかし、ユニフォームはミニスカート、女性らしさをアピールするために入団早々レッスンを受けることに。
文句を言いながらもドティらはやり遂げて開幕を迎えた。
最初はヤジが飛び、監督であるジミーは酒に酔って試合中でも寝る始末。
そんな状況でも選手たちが一生懸命プレーしながら巡業をしていく姿を見て、ジミーにもやる気が芽生えて選手たちに指示を出すようになった。
スタートはよかったものの観客が入りにくくなり女子リーグは存続の危機に陥る。
観客を集めるためにも、選手たちはファインプレーや観客へのキスのプレゼントなどで魅せる野球をし、客席が満席になるというほど女子リーグは盛り上がりを見せるようになる。
そんな最中、キットのピッチングが限界に近くドティが交代をジミーに伝えたことで喧嘩が起きる。
その喧嘩によってキットは敵チームであるラシーンに移籍することになってしまった。
女子リーグの存続がまたもや危ぶまれている時、ドティの夫であるボブが負傷しながらも無事に帰還する。
その事をきっかけにドティはチームを離れる決心をする。


寸評
12年間存在したアメリカの女子プロ野球に題材を取っているが、物珍しさを狙ったきわもの映画ではなく、実にしっかりと撮られている。
第二次世界大戦中、野球の存続の為に女子プロ野球が組織されるのだが、当時の風潮は女性は家庭を守る存在であるというもので、それを訴える演説が挿入されている。
好奇の目で見られていた彼女たちが認められていったのは事実だろうし、映画としても当然のストーリー展開なのだが、その中に戦争の悲劇や姉妹の確執などを上手く取り入れているので見応えがある。
主人公のドティが女子野球選手たちの野球殿堂入りのセレモニーに出かけるところから始まって、そこから数十年の時を遡り戦時中の若かりし頃の彼女たちの活躍が描かれ、再びセレモニーの場面に戻るのはよくある構成だが、この作品ではそれが見事な感動を引き起こしている。

夫が出征している選手もいて、ベティ・スパゲティと呼ばれていたベティ・ホーンの夫が戦死したことが伝えられ、ドティの夫であるボブは足を負傷して帰ってくる。
そんな夫に寄り添う道を毅然とした態度で選択するドティに、ジミーは「こんなやめ方をすると後悔する」と残留を訴えるが、ドティは大変だからと離脱していく。
そんなドティにジミーは「大変だからやるんだ。そうでなかったら誰でもやれる」と言葉を投げかける。
その通りで、大変なことだからやりがいがあり、大変なことだから成し遂げた時に満足感が得られるのだ。
今の苦労は先の喜びにつながるものとして頑張る気持ちが大切なのだと思う。
そう言えば、トム・ハンクスのジミーは、ヘマをして泣きべそをかいている選手に「泣くな!野球に泣くということはない!」と一喝していたが、これも名言かもしれない。
ベティやボブに起きたことは戦争による悲劇だが、それを訴える作品ではないので深く描いてはいない。
途中でスゴイ球を投げ返す黒人女性が出てくるが、これも人種差別への警鐘だったと思うが、同様の理由でワンカットのみのシーンとなっている。

エンタメ作品として、宿舎を抜け出した彼女たちがビア・ホールでダンスに興じるシーンがあり、ダンサーをやっていたという設定のメイが素晴らしいダンスを見せ実に楽しい場面となっている。
メイをやっているのが歌姫マドンナで流石と思わせた。
マドンナは更衣室の着替えのシーンでも見事な腹筋を見せ、僕は鍛えているなあと感心した。
メイとドリスのコンビは抜群で、メイが観客を喜ばすために「もしもユニフォームがはだけておっぱいが丸出しになったら?」と投げかけると、ドリスのロージー・オドネルが「あんたのは珍しくないでしょ」とツッコミを入れている。
これは当時マドンナがヌード写真集を出版していたことを揶揄したもので、知っている人には笑える会話だ。
トム・ハンクスが第一キャストとなっているが、主人公は女性たちである。
最後にかつての仲間が野球博物館に集まってくる場面はなかなかいい。
監督のジミー、ドティの夫のボブも亡くなり、やんちゃな子供の母親でもあったエブリンも亡くなっている。
整形外科医と結婚して幸せそうな元選手もいて、年月の経過を思わせる。
昔の仲間が集まり、ドティとキットもおばあちゃんとなって再会するが、昔苦労した仲間が集まるのはいい光景だ。
彼女たちは野球を通じて自分たちを磨き上げていたんだなと思うと、僕は感激の涙が流れそうになった。


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