おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!

2020-02-03 11:36:16 | 映画
「ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!」 1963年 イギリス


監督 リチャード・レスター
出演 ザ・ビートルズ
   ジョン・レノン
   ポール・マッカートニー
   ジョージ・ハリソン
   リンゴ・スター
   ウィルフリッド・ブランベル
   アンナ・クエイル
   ノーマン・ロシントン
   ジョン・ジャンキン
   ヴィクター・スピネッティ

ストーリー
リバプールにポール、ジョン、ジョージ、リンゴー(全部本人)ら4人の若者が「ビートルズ」という楽団を作って国中を回り歩いていた。
ポールの祖父ジョン(ウィルフリッド・ブランビル)は彼らをなんとかして世に出したいものと、思案していた。
また、ノーム(ノーマン・ロシントン )は彼らのマネージャーで、大変な行動派だった。
仕事はだんだん忙しくなり、ノームやジョンの働きでテレビ出演の機会も来た。
若者たちは僅かな時間でも、解放されると遊び興じた。
ジョンがかねてからリンゴーの“やわらかさ”を苦々しく思っていたので、彼を除こうと冷たくあたっていたのが、いつのまにかほかの若者たちにも影響し、リンゴーはついにいたたまれなくなって仲間から逃げ出してしまった。
残された3人はすべてを放り出してリンゴーを探しに街にとび出した。
やがてリンゴーは世間の冷たさや、仲間の良さが身に沁みてわかるようになった。
浮浪者として警察に連れて来られたリンゴーは、そこで保護拘留されていたジョンに会い、彼は策略でテレビ局に逃げこむことに成功、皆でリンゴーを救け出し、観客の待ちあぐねたショウは幕をあけた。


寸評
僕はこの映画をビートルズ映画の最高峰、アイドル映画の最高峰と位置付けている。
僕が正しくビートルズ世代だということでも、この作品は感慨深いものがあるのだが、映画的に見ても随分と洗練された作品だ。
一見ドキュメンタリー風でありながら、ウィットにとんだシーンが随所にみられる喜劇性も含んでいる。
ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターという若者たちが、所狭しと暴れまくる青春映画でもある。
ビートルズは音楽史に燦然と輝くグループで、アイドル性はもとより、音楽としても革命をもたらしたと思う。
いまでは違和感を持たないヘアー・スタイルもロング・ヘアーだと、大人たちからは敬遠され不良のように扱われもしたことが、今から振り返ると滑稽な出来事だった。
日本公演が実現してテレビ中継もされ、幸運なことに僕はそのテレビ中継を見ることが出来た。
直前の番組などでは、分かったような音楽評論家がそのスタイルやらをけなしていたのを思い出す。
擁護していたのは僕の記憶では湯川れい子さんぐらいだった。
僕は「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」までのLPをすべて保持していたが、レコードプレーヤーがCDプレーヤーに代わって行ったこともあり、すべてを甥っ子にあげたのだがその後の行方は不明である。

ここに出てくるビートルズの面々はやんちゃな若者たちだが、その若者たちよりも厄介な存在がポールのおじいさんというウィルフリッド・ブランビルが演じるジョンだ。
この爺さんがトラブルメーカーとして騒動を引き起こし続けるのだが、ウィルフリッド・ブランビルの表情がとぼけていて何ともおかしいのである。
オペラのシーンで舞台の下からせりあがってくるシーンなんて包括絶倒だ。
この爺さん、最後のコンサートシーンでもせりあがってくる。
この老人の存在がこの作品を一級のコメディ作品に押し上げていたとも思う。
コメディといっても大笑いを誘うギャグを連発するようなものではなく、ちょっとした小ネタをさりげなく描き込んでいくというもので、その描き方の小気味よさが何とも言えない快感をもたらしている。
トランプをシャッフルするのだが、実はシャッフルできていないと言ったもので、ともすれば見逃してしまいそうなたわいのないものがあちこちに散りばめられている。
そのギャグを発見するだけでも楽しくなってくる。

楽曲はフルコーラスではないが、ビートルズファンなら英語の歌詞の一部分くらいなら口ずさめそうで懐かしい。
いまでこそ郷愁に浸れる作品となっているが、当時の映画館(僕は2番館で見た)は入れ替え制ではなかったので、何回も見るファンがいたし立ち見の客もいて、館内は熱気と若い女性の叫び声で想像を絶するものだった。
その熱狂は娯楽性の強い次作の「ヘルプ!4人はアイドル」で最高潮に達した。
僕はビートルズも魅力的だったが、モノトーンが生み出す映像が時としてニュース映画の様であり、時としてノスタルジックな雰囲気を醸し出すなどの映像にも酔いしれていたことを思い出す。
再見してもこの映像は素晴らしく、作品を単なるアイドル映画に押しとどめていない。


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