おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

黄色い涙

2022-05-21 10:20:12 | 映画
「き」で始まる映画の3回目です。

1回目は2019年4月3日の「黄色いリボン」からでした。
以下、「祇園の姉妹」「飢餓海峡」「キサラギ」「岸辺の旅」「岸和田少年愚連隊」「傷だらけの栄光」「Kids Return キッズ・リターン」「紀ノ川」「CURE キュア」「吸血鬼」「キューポラのある街」「凶悪」「恐怖の報酬」「嫌われ松子の一生」「桐島、部活やめるってよ」「キリング・フィールド」「キル・ビル」「金環蝕」「金融腐蝕列島 〔呪縛〕」と続きました。

2回目は2020年12月25日の「喜劇 にっぽんのお婆あちゃん」からでした。
以下、「絆 -きずな-」「北国の帝王」「キツツキと雨」「狐の呉れた赤ん坊」「キネマの天地」「きみの鳥はうたえる」と続き、
2021年1月1日の「逆噴射家族」から「Q&A」「教誨師」「魚影の群れ」「斬る」「斬る」「ギルバート・グレイプ」「疑惑の影」「キング・コング」「銀座の恋の物語」へと続いていきました。

バックナンバーから参照してください。
それでは3回目を始めます。

「黄色い涙」


監督 犬童一心
出演 二宮和也 相葉雅紀 大野智 櫻井翔 松本潤
   香椎由宇 松原智恵子 韓英恵 志賀廣太郎
   本田博太郎 田畑智子 菅井きん

ストーリー
東京オリンピックを翌年に控えた1963年の東京。
日本は高度成長期の真っ只中にあった。
東京は阿佐ヶ谷で暮らす漫画家の村岡栄介、歌手の井上章一、画家の下川圭、小説家の向井竜三の4人は、それぞれが夢見る卵たちだった。
彼等はひょんなことから知り合い、栄介の母親を入院させるために一芝居を打つことになる。
その後一度は離れ離れになった彼らだったが、やがて栄介のアパートで共同生活を送ることになる。
夢を熱く語り合う4人だったが、まともな稼ぎもなく、創作活動すらままならない日々が続く。
彼らを心配げに見守る近所の米屋の勤労青年・勝間田祐二と、章一に思いを寄せる食堂の娘・時江。
そんな彼らのひと夏の物語。


寸評
ジャニーズ事務所の人気グループ"嵐"のメンバーになる映画だが、かつてのアイドル映画と違ってしっかり作られているし、アイドル達に演技力もある。
特に二宮和也は稀に見る雰囲気を持っていて役者としてもすこぶるいい。
木村拓哉がテレビデビューをした時にも同じような印象を持ったのだが、その後彼はテレビタレント化してしまって、その雰囲気をなくしてしまったので、是非とも二宮君には今のままで映画の世界に浸って欲しいものだ。

作品としては松原智恵子が病人らしくないのと、香椎由宇がなぜ実家の店を飛び出し水商売で働くようになったのかの説明不足を除けば、青春の群像劇としては及第点の出来だったと思う。
時代的には彼等より10年ぐらい後に、彼等と同じような思いを持ち、酒を飲み、仲間と語らう生活を送った当時を思い出し懐かしかった。
そして彼等と同じように自らの才能の限界を悟り、現実を直視して社会に出た数十年前の自分がよみがえってきた。
そう思うと、彼等が過ごした1960年代と、僕が過ごした1970年代の若者世界の雰囲気は変わっていなかったのかも知れない。

昭和という時代は戦争、正確には敗戦を経験し、復興を遂げた時代だと思うが、60年代からはその敗戦を過去のものとしていく時代の始まりだったのではないか。
そして70年代に入ると「戦争を知らない子供たち」の時代へと代わっていったと思う。
盛んに作られる昭和ノスタルジック映画は、どこか曖昧な希望にもかかわらず、霞の向こうへ向かって行こうとする夢を抱いていた時代への郷愁なのかも知れない。
逆説的に見れば、今はそんな希望や夢を無くしているのかもしれないなあ・・・。

ラストにおける香椎由宇演じる時江の身の処し方もよかったが、二宮の栄介が田畑の西垣かおるに「自分の世界を失くしたくないんだ!」と叫んだ時のキリリとした表情が僕の背筋を伸ばさせた。
こういう表情の変化を出せる二宮がすこぶるいいと思ってしまう。


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