おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

キャット・バルー

2022-06-02 07:53:02 | 映画
「キャット・バルー」 1965年 アメリカ


監督 エリオット・シルヴァースタイン
出演 ジェーン・フォンダ
   リー・マーヴィン
   マイケル・カラン
   レジナルド・デニー
   ナット・キング・コール
   ドウェイン・ヒックマン

ストーリー
教師として赴任先に列車で向かうキャット・バルーが同席した男は牧師ではなく酔っ払いのお尋ね者だった。
男はその列車で護送されている自分のおじさんを助けるためにその列車に乗っていた。
おじさんを逃がす途中でキャット・バルーに一目惚れして口説き始めるが、おじさんを助けた後は別れ別れになり、その後キャット・バルーはワイオミングで教師になり、数年ぶりに里帰りを果たす。
父親のいる牧場は馬がほとんどいなくなり、インディアンのジャクソンがカウボーイになっていた。
父親は土地にある水源を巡って新興の大工場の持ち主と対立しており村八分になっていた。
村の祭りに行くと乱闘騒ぎになり、そこで列車にいたならず者のクレイと再会し、父親の苦境からおじさんのジェドと共に用心棒として納屋に寝泊まりしてもらうことにした。
ただ二人は人を撃ったことはないため頼りないので、凄腕と評判の殺し屋シェリーンを雇うことにする。
いざシェリーンを連れてきて見るとアル中になっていたのだが、シェリーンは相手の殺し屋の名前がストローンであると聞くと表情を変えた。
父親を守ろうとするシェリーンの努力も空しく、ついに父親がストローンに殺されてしまう。
その上、大工場主の男達がやってきて、キャット・バルーたちは家と牧場からも追い出されてしまう。
キャット・バルーは父親の仇を撃つと心に決め、クレイ達と一緒に流れ者の町に逃げ込み、そこで列車泥棒を計画して大工場に持っていく従業員達の給料を盗んだ。
キャット・バルーのもとにストローンがやってきて、「お前が女じゃなければとっくに殺してるぞ」と脅した。
ついにシェリーンが本気でストローンと戦う決意をした。
シェリーンは風呂に入り、髪もジャクソンに切ってもらいガンマンの正装をして、工場主のハリー・パーシバルがなじみの風俗店に行き、一つずつ部屋を開けていきティムのいる部屋に入り、そこでストローンを殺した。
工場主のハリー・パーシバルは大勢の部下に流れ者の町にいるキャット・バルー達を襲いに行かせた。


寸評
西部劇でありながらミュージカルの様でもあり、また喜劇でもある作品である。
キャスティングの筆頭はジェーン・フォンダなのだが、アル中のリー・マーヴィンとストーリー・テーラーのナット・キング・コールが印象深い。
特にのシェリーンのリー・マーヴィンがよれよれの酔っ払いとして暴れまくり画面を圧倒している。
映画はキャット・バルーが牢獄に入っていて縛り首にされるところから始まり、何故彼女が縛り首になるのかを描いていく組み立てなのだが、コロンビアのマークがアニメになってキャット・バルーの説明本のページをめくる形でキャスト、スタッフが示されていくことがこの映画の雰囲気を出している。
キャット・バルーは教師をしていたが父親の牧場に帰ってくると父親は殺され牧場を追い出されてしまう。
この町を支配している大工場を経営するパーシヴァル卿を殺したことで、キャット・バルーは絞首刑にされるのだが、同情を集めても良さそうな彼女が町の人から嫌われている理由が、工場主を殺したので町の半数の人が職を失い給料をもらえなくなったからというのが面白い。
社会を支配しているのは大資本家なのだと言われているようである。
パーシヴァル卿は保安官も抱き込んでいるのだが、この保安官は普通の西部劇ならきっと制裁を受けただろう。
だからこの映画は普通の西部劇ではないのだ。

キャット・バルーの父親であるフランキーは水利権をめぐって嫌がらせを受けているようなのだが、その争いは描かれていないし、変人ぶりで町の人からも嫌われているらしいのだが町の人との争いも描かれてはいない。
そのことは大した問題ではない筋立てであり、フランキーもドラマ的な盛り上がりもなくあっけなく殺されてしまう。
シェリーンとストローンの関係と対決も普通の西部劇なら大いに盛り上がるところだが、それもほとんどと言っていいぐらい描かれていない。
普通なら観客の驚きを狙ってリー・マーヴィンにシェリーンとストローンの二役をやらせないだろう。
だからこの映画は普通の西部劇ではない。
飲んだくれのシェリーンが酒を断ち鍛えていくのは当然なのだが、薄汚い彼が正装していく様が面白くコスチュームも独特なもので、彼のプライドが見て取れるものの滑稽でもある。
いよいよキャット・バルーの処刑が行われると言う時にジェドが牧師に変装して登場してくる。
彼が牧師に成りすましているのは冒頭の牧師姿が伏線となっている。
当然ここは凄腕が蘇ったシェリーンがロープを撃ち抜いてキャット・バルーを助けると思ったら、相変わらず酔いつぶれていて僕の期待は裏切られた。
考えてみれば、そうなれば正当派の西部劇になってしまうから、この映画の内容からすれば当然の結末だった。

彼らは牧場を追い出されてお尋ねものだけが出入りを許される「壁の穴村」へ向かう。
かつてはならず者として恐れられた彼らだが、すっかり歳をとって往年の元気がない。
シェリーンと旧知の仲である酒場の主人は、あの「明日に向かって撃て!」で ポール・ニューマンがやったブッチ・キャシディである。
しかし制作されたのはこちらの方が早い。
ナット・キング・コールは撮影中に病状が悪化していたものの、ストーリー・テーラーとして美声を披露している。


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