おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

トゥルー・グリット

2021-07-03 09:00:12 | 映画
「トゥルー・グリット」 2010年 アメリカ


監督 ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン
出演 ジェフ・ブリッジス
   マット・デイモン
   ジョシュ・ブローリン
   バリー・ペッパー
   ヘイリー・スタインフェルド
   ブルース・グリーン

ストーリー
牧場主の娘として産まれながらも責任感が強く信念の強い14歳の少女、マティ・ロスの父親が、雪の降るある夜、雇い人のトム・チェイニーに無残にも撃ち殺された。
知らせを受けたマティは、遺体を引き取りにオクラホマ州境のフォートスミスへとやってくる。
一方、チェイニーは、わずか2枚の金貨のためにマティの父を殺した後、逃亡者となって法の及ばないインディアン領へ向かい、お尋ね者のネッド率いる悪党達の仲間入りをすることになる。
フォートスミスで父親の形見の銃を譲り受け、犯人に罪を償わせることを心に誓った彼女は、大酒飲みでアイパッチをした連邦保安官ルースター・コグバーンに犯人追跡を依頼。
最初は子供扱いで相手にもされないマティだったが、決して諦めない執念と報酬の魅力に負け、コグバーンはマティの依頼を受けることにする。
その後、別の容疑でチェイニーを追ってフォートスミスへ来ていた若きテキサス・レンジャーのラビーフも加わり、犯人追跡の過酷な旅が始まが、それはマティにとっても人生初めての旅だった。
しかも最も危険な領域に足を踏み入れることになる辛い経験であったが、チェイニーを捕らえ、罪を償わせることだけしか彼女は考えることができなかった。
そして遂に、3人にとって各々の“真の勇気(トゥルー・グリット)”が試される時が訪れる……。


寸評
話は単純な復讐劇だが一気に見せる。
キャラクターはそれぞれの特徴を持っているのだが、何よりも少女マティ・ロス役のヘイリー・スタインフェルドの存在感が際立っている。
冒頭での大人相手の交渉などは見ていてスカッとして、おもわず「しっかりしてるなあ」とつぶやいてしまう。
宿賃を節約するために棺桶屋で死体と寝る根性も持っている。
何かにつけ弁護士を引き合いに出し、法律関係に詳しい頭の良さもある。
冒頭の一件でマティがどのような状況に置かれ、どのような性格の少女かが理解できる。
だから置いきぼりにされても追いかけて、船での渡河を断られると馬で渡河する根性も抵抗なく受け入れられる。
彼女の前には飲んだくれの保安官のジェフ・ブリッジスもアクションがあまりないマット・デイモンもかすんでしまっていた。
大人びた表情とともに、14歳の女の子らしい優しさや弱さも垣間見せる彼女は、そうした様々な体験を通して少しずつ成長していくという父を亡くした少女の成長物語でもある。

閑話休題。
1969年のヘンリー・ハサウェイ監督作品「勇気ある追跡」のリメイク作品だけれど、酔いどれ老保安官のコグバーンは前作のジョン・ウェインの方がよかったように思う。
流石に西部劇の大御所だけのことはあったのだと痛感した。
最後の銃撃シーンでは彼の雄姿が瞼をよぎった。
今回は2丁のけん銃で挑みかかるが、前作では片手にけん銃、片手にライフルで、そのライフルを見事に操るジョン・ウェインのカッコ良さが強烈な印象として残っている。

前半に小屋でコグバーンがマティに7人相手に戦ったという自慢話を聞かせていて、その時はマティは信じられないホラ話として聞いていたことが伏線となって、カッコイイ決闘場面となる。
マット・デイモンのラビーフは気のいい男でありながら、どこか頼りないところがあったのだが、ここでは自慢の射程距離の長いライフルでコグバーンの窮地を救う。
義侠心にあふれるラビーフとして魅力的に描かれているが、この後にチェイニーによって気絶させられてしまう。
ここからはマティが毒蛇の巣くう洞窟へ落下、彼女の救出、さらに毒蛇にかまれた彼女をコグバーンが遠く離れた医者のもとへ運ぶ姿がテンポよく描かれる。

前作になかった25年経った後日談が付け加えられているが、これは少女の成長物語としての一面に余韻を残す構成にするためだったのだろうが、僕にはこのエピソードは不要に感じられた。
医者にかかったマティの結果、マティのその後の人生がうかがい知れるが、あまりスッキリしない。
西部劇らしい西部劇で終わっても良かったのではないかと思う。

この作品自体で十分楽しめる作品となっているが、前作を見ることが出来た世代人にとっては、懐かしい作品を思い出させてくれてオマケ付きの作品だった。