猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

錬金術師の『魔法』

2007年03月24日 23時57分10秒 | 日記
トリノオリンピック以来盛り上がり続ける日本のフィギュア熱。

今日、世界フィギュアの競技最終日を迎え、結果、男子・高橋の銀、女子・安藤の金、浅田の銀獲得で大会に花を飾り、その盛り上がりも最高潮に達した。

トリノの前に、うわごとのように心にもない『楽しんで』という言葉を連発しながら、ちっとも楽しめないどころか、最悪の結果に終わってしまった安藤の復活。
(オリンピック当時に書いた「自分の言葉で語る人」←クリック)

それは何より、本人のために素晴らしい結果だったと思う。

トリノの時の、担当の女コーチとは目すら合わせなかった彼女の険悪な雰囲気と、今回のコーチ、ニコライ・モロゾフとの抱擁はまったく対照的で、素直にコーチに抱きつき、涙を流す彼女の姿は、きっと日本中に感動をもたらしたに違いない。

荒川静香にもオリンピックの金メダルをもたらしたニコライ・モロゾフは、メイク、衣装まで細部にわたって指示を出し、『シニアは「女性」が競技をする場所』と、美しさにとことんこだわるらしいが、その効果はおそらく、彼女達に自信を持たせ、そこからも良い結果を生んだに違いない。

また、日本男子フィギュア界に初めての銀メダルをもたらした高橋のコーチもこのニコライ・モロゾフ。

となれば.....

これはもう、この人物を錬金術師とでも呼びたくなる。

いや。
もちろん、その根底には当の選手の血の滲むような努力と、実力もあるわけだが、やはり以前のコーチでは出来なかったことを選手にやり遂げさせるその力量には、敬服せざるを得ない。

特に、フィギュアスケートにとって最も大切な衣装やメイク、髪型、プログラム構成といったことの細部にとことんこだわるというのは、以前の日本フィギュア界にはなかったものだ。

かつて。
日本フィギュア界の衣装選択、化粧などはひどかった

例のスケート連盟のせいだったのか。
それとも違う誰か.....
とっても趣味の悪い人物の力が働いていたのか。
本人達にあまりこだわりがなかったのか。
コーチが良くなかったのか。

私が専門学校に通っていたはるか昔。
メイクの得意な同級生の男の子が、

「いくらジャンプが飛べたって、あのメイクと衣装じゃ絶対優勝できないよ」

と、ある選手を指して言っていたのを、私は今もはっきりと覚えている。

でもそれは、きっと選手本人が悪いのではなく、客観的にそれを見て、どう演出すればよいのかを指導できないコーチの責任でもあったはず。

しかし今は違う。

以前なら、日本人選手の酷いメイクと衣装を外国人選手の素晴らしいそれと見比べてはため息をついていた私も、今は『ああ可愛い♪』『ん~素敵♪』と安心して見ていられる。

同時に、照れ屋の日本人が演技に『入り込む』ことが出来るようになったのをも見て、なんだか役者が良い監督や演出家に出会って開眼するのと同じようだなぁ、なんて感心の仕方もしている。
(高橋君のナルシストぶりにも「もっと!もっと自分に酔え~」と声援を送る私・笑)

今回の安藤の落ち着き払い方といい、トリノでの荒川静香の、滑走前からの女王然とした美しさといい.....
ニコライ・モロゾフは何か魔法でも使えるのか?

厳しいだけでなく、選手から絶対的な信頼を得るに足りる優しさと人格を備えた魔法使い。

私はモロゾフご本人の人となりを知らないが、きっと彼が魔法使いなら、そんな魔法を使うのではないかと思う。

涙でぐちゃぐちゃになりながら勝利インタビューに答える安藤を、優しく見つめるニコライ・モロゾフの目線に.....

あのトリノでの、女コーチと目すら合わせなかった安藤を重ねてみては、やはり人間はどんなに力があっても、結局は、人対人の関係で大きく変わるのだなぁとしみじみ感じた私である。


        
    こちらは牢屋に入れられてなお、いまだ反省の色の見えない容疑者
      erima捜査官の忍耐をいいことにふて寝を決め込んでいる
コメント (8)
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