ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

諸刃の剣の核兵器

2022-02-26 13:22:36 | 日記


「諸刃の剣」という言葉がある。核兵器がまさにそれに当たるだろう。ロシアがウクライナを侵攻したとき、アメリカは武力でこれに対抗することをしなかった。バイデン米大統領はロシアに対して敵意を顕にし、「経済制裁を科す」と述べたが、軍事力に訴えることには明らかに腰が引けていた。「ウクライナはNATOのメンバーではない」などと勿体ぶった理由をあげているが、彼がロシアの核兵器を意識していたことは明らかである。

アメリカが武力に訴えれば、どうなるのか。ロシアは対抗手段として、核兵器に訴えるだろう。これは確実であり、事態はまたたく間に全面的な核戦争へと発展する。この事態を恐れるから、バイデン大統領は軍事力に訴えることができないのである。ここでは核兵器は、抑止装置としての役割を立派に果たしていると言えるだろう。

だが核兵器は、いつも抑止装置として働くとは限らない。それがかえって敵の攻撃を呼び込む(マイナスの)効果を持つこともある。今回のウクライナ侵攻に際して、ロシアが持ち出した正当化の口実の一つは、「(ウクライナの)核物質による挑発を防止するため」ということだった。

思い出されるのは、今から20年前のことである。アメリカは「(イラクが保有する)大量破壊兵器を廃棄するため」として、イラク攻撃を開始した。大量破壊兵器は結局発見されなかったが、今度はロシアがこの口実作戦を真似した格好である。

核兵器はロシアにとって、自己を護る頼もしい抑止の盾ともなり、敵を攻める鋭い口実の矛ともなったが、では、これが自己を害する刃になるのは、どんなふうにしてなのか。

一つ確かなのは、欧米諸国が科す経済制裁の効果である。これによってロシアの国民経済は確実に悪化し、国民の間にたまった不満の声は、徐々にプーチン政権の批判へと向かうことになる。次の記事は、「諸刃の剣」がプーチンに向かう大きな非難の刃と化したことを如実に示している。

「ロシアによるウクライナ侵攻が発表された24日、国内外で『反戦デモ』が同時多発的に開かれた。プーチン政権は首都モスクワで機動隊を投入し、老若男女を問わず参加者を拘束。素早い弾圧の背景にあるのは、自国世論の反発が拡大すれば、作戦遂行に支障を来すとの危機感だ。」
(JIJI.COM 2月26日配信)

「刃」となって降りかかるのは、武力・軍事力だけではない。生活苦を忌避する庶民の怨嗟の声があり、平和を望む市民の悲痛な叫びがある。

それ以外に、こんな報道も目にした。

「ロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻し、国際的な批判が高まる中、国際ハッカー集団『アノニマス』を名乗るグループが2月25日、ロシアに対するサイバー攻撃を行うとする声明をTwitter上で発表し、話題となっている。米国などの欧米諸国を中心とした軍事同盟『NATO』(北大西洋条約機構)がロシアとの武力衝突を恐れ、ウクライナへの軍事介入を表明しない中、同集団は『世界平和だけを望んでいる』としており、サイバー空間を使った、ロシアへの事実上の報復とみられる。」
(ITmedia ビジネスオンライン2月25日配信)

はてさてどうなりますことやら。






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